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あの感動をふたたび ! N響 ヨーロッパツアー [クラシック演奏会]

来週の22日から、あの2017年以来3年ぶりにN響がヨーロッパツアーをスタートさせる。実際現地で準備期間とかあるから、18日には日本を立つのではないだろうか?


まさかこんな短いインターバルで、また再現するとは思ってもいませんでした。
大変な費用がかかる、と思うんだけれど、N響すごいなぁ。


2017年のときは、本当に燃えたよねぇ。
ヨーロッパのメディア、民衆の心の中に潜在意識として存在する日本のオーケストラに対する差別意識。


そんなのに負けずに、日本魂を見せつけてやれ!

そして結果として、すごい盛り上がったし、大成功をおさめた。
欧州現地メディア、民衆の評価もすこぶる良かった。


今回巡るところは、ロンドン、パリ、ウィーン、ベルリンなどの主要都市に加え、パーヴォの母国エストニアの首都、タリンを訪れるなど、7か国9都市で公演を開催する。


自分の記憶によれば、前回訪問したところが大半だ。

だから自分は前回ほど心配していない。


前回は、胃がキリキリするというか、未知の戦地に飛び込んでいくような覚悟があった。
だからこそ余計、こちらの応援する気持ちも”日の丸を背負って”的な気負いがあった。


今回はすでに知っている経験の地、とてもリラックスできるし、また現地の聴衆も馴染みを感じてくれて温かい目で見てくれるのではないか、と思う。


3年前のツアーの直前、自分はこんなことを日記に書いていた。大成功したからよかったものの、ずいぶん偉そうなことを言っていたもんだ。(笑)


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こうやって日本のオーケストラが、欧州などの海外遠征ツアーに出かけることは、それはお祭り気分で華やかなことしきりだが、じつは、表舞台のその華やかな部分を実現させるための裏の根回し、準備がいかに大変なことか、ということは、あまり知られていない。
 

まず、遠征費用、金が莫大にかかる。


オーケストラの大人数、そしてたくさんの楽器類を国間で、運ばないといけない。航空機代、宿泊、バスチャーター、コンサートホール使用料、現地宣伝費・メディアとの地道なネゴのための準備費などなど。


チケットの販売などは、海外のエージェンシーを使うのがもっぱらになるのだろうが、じゃあふつうに共存する欧州現地の強豪オケと同等に、宣伝してチケットを売りさばくことができるのか?


やはり、そこには、特別の計らいが必要なのだろうと思う。


現地ヨーロッパ市民に日本のオケがどれくらい認知されていて、集客力があるのか?
(それも定期的訪問ではなく、長いスパンが開いて突然訪問する場合なのであるから。)


逆の意味で、ベルリンフィル、ウィーンフィルなど外来オケのブランドがクラシック愛好家の日本市場で高値チケットで旋風を巻き起こす。つまり、クラシックの本場である欧州の名門オーケストラは、そのブランドだけで、十分知れ渡っていて集客力がある、ということ。


そういう意味で、クラシックの本場ヨーロッパ現地で、日本のオケがどれくらいのブランド力を持ってヨーロッパ現地市民を集客力できるのか?という問題がある。


自分たちの日本のオケを相手国によく知ってもらう必要がある。そのためには付け焼刃的に情報を送る、宣伝してもらうだけでなく、事前にヨーロッパ現地のマスコミ、メディア陣を日本に招待して、公演を観てももらうだけでなく、説明会、懇談会などを頻繁に行い、理解の促進をおこなう。


そういうのを何年も前から、種まきをする必要がある、らしい。


そして、彼らが自国に帰ったあとに、現地で、彼らにプロモート宣伝してもらう、その宣伝費用なども、きっと日本側が負担しているのかもしれない。


実際の現地メディア&マスコミとのつきあいにかかる莫大な費用。
 


もちろん資金面だけではない。

それは、現地メディアの公演評。


日本のオーケストラが、クラシック本場の欧州で、東洋人が西洋音楽のクラシックの本場の音楽をやることに、冷ややかな目で、見ている。そういう厳しい論評もあることも確かだ。現に、都響や東響のときも、現地のメディアの辛辣な評価があったことは事実。


でもその評論の内容を見ると、深く考察されていない浅い論評で、彼らの心のどこかに、自分たちの本場のクラシック音楽を、日本のオーケストラが演奏している、という根本的な差別意識が潜在しているとしか、思えない論評もあった。 


実際問題、彼ら海外のオケが日本に来日して、その質の低さにがっかりすることも多い訳だから。小澤征爾さんが、昔インタビューでよく言っていたことは、海外に出て活躍することで、自分はモルモット。東洋人の自分が、クラシックの本場でなにができるのか?どこまでできるのか?常にモルモットだと思っている。


小澤さんは、そういった中で、海外で戦ってきたわけだ。


はたして、N響の今回のツアー、辛口の欧州現地メディアに、どのように論評されるのか、楽しみ。ツアー直前のインタビューで、パーヴォ・ヤルヴィは、「N響は世界クラス!」と堂々と断言!彼らに見事に一泡吹かせてほしいものだ。


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知ったようなことを・・・と言われそうな感じだが(笑)でも結果として大成功に終わったので、こんな心配はいっさい不要、こんなコンプレックスを持つことなく本当に良かった。大成功を収めてしまえば、こんな心配なんてすべて徒労に終わりますね。


今回のヨーロッパツアーについて、N響の第1コンサートマスターの篠崎史紀氏がインタビューを受けてその記事を大変興味深く拝読した。




すごい興味深いのでぜひ読んでみてください。


ちょっと自分がビビッと来たところを抜粋しますね。全部篠崎さんの発言のところです。


Nkyo[1].jpg


N響は何度か欧州旅行に行っていますが、前回は一番手応えがあった演奏会で、終わった後にすぐ招聘の話が来たのです。欧州に呼びたい、3年以内に呼びたいと。これはN響が世界で認められるところにようやく足を踏み入れたということ。ですから、この海外公演の動きを担っていくのが、日本のクラシック音楽界の未来に対して必要なのではないかと思っています。



ツアーに関して言えば、マーケティング上、世界の中で重要な場所があって。それがニューヨーク、ロンドン、東京。あとメディアに批評が出るところとしてベルリン、パリがあります。ウィーンはオペラなどに関しては批評が出るけれど、それ以外の分野は地中に埋もれてしまう。そういう意味ではロンドン、パリ、ベルリン、そしてオファーが強かったオランダといった場所を回る今回の演奏会は、N響にとっては重要なポジションに位置すると思います。



N響のアイデンティティー


日本の作品を取り上げることに意義があります。武満はアイデアマンで、邦楽の楽器を取り入れ、少ないモチーフでかつ時間的に著作権使用料が上がる手前で曲を終わらせる(笑)。そして日本の響きを少しだけ曲に盛り込んでいるんですよね。それも今まで聴いたことのないような形で。後に出てくる(アルヴォ・)ペルトなどもそうです。ペルトはソ連の一部だったエストニア出身ですが、その曲にロシアの響きはない。グレゴリオ聖歌の古い音楽を新しい響きと融合させているのです。それに近い手法を取っているのが武満。少し数学的ですよね。日本よりも先に西洋で評価が上がり、武満の名前が知られ、演奏される回数が多くなった。だから欧州で演奏するときには武満が良いのではないかということになるわけです。





「お互いの我が出せる」 関係になった


01[1].jpg



お互いのパターンが見えてきた、これはすごく大事です。パターンが見えると何ができるかと言うと、即興が広がる。例えば友達と食事に行くとします。最初の頃は食べ物の好みが分からないから、「何が食べたいですか」とお互い遠慮しながらいろいろなことを探るわけです。でも付き合いも5年くらいになると、「あそこの焼き鳥屋に行こうよ」と言えるようになる。もっと進んで「今日はすっぽん食いに行くぞ」と珍味までいける。そういう段階まできているのが、今のパーヴォとN響の状況。一般的な食べ物の好みもお互い分かっているし、珍味でもちょっと試してみようと言える仲になっている。音楽の七変化が感じられる状態でしょうか。



世界最先端をゆく指揮者と、これから世界に出ていこうとしているオーケストラ。指揮者のアイデンティティーとオーケストラの機能を合わせたものを、21世紀の最新の演奏法で皆さんにお届けしましょうというのが今回の欧州での演奏会です。だから聴き逃さない方がいいよと言いたいところですが、そう言うと押し売りになっちゃうから(笑)、体験してみたい? どう? と聞きたい。演奏会には、分かっていなければならないものはないんです。その空間で、何を感じられるか。ただ、感じに来てほしい。




そうだったのかー。欧州に呼びたい、3年以内に呼びたいと、向こうから招聘があったんですね。


これって凄いことじゃないですか!前回は本当に大成功だった!ということを再認識できました。まさにN響も世界に認知される日本のオーケストラとしての王道の道を歩んでますね。


そして自分が3年前に心配していたことなんて、もう全然古い次元の話で、N響のみなさんはもっとずっと先のヴィジョンを見ているということなんですね。


今回もまたつぶやきでリアルタイム生実況中継をさせていただきます。


本当に楽しみだねー。
ベルギーにも行ってくれるのはうれしいね。



今回のソリストと演目です。



パーヴォヤルヴィ.jpg

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ




チェロ.jpg
チェロ:ソル・ガベッタ



ピアノ.jpg

ピアノ:カティア・ブニアティシヴィリ


演目.jpg

日時・公演地


2月22日(土)7:00pm
タリン(エストニア)[プログラムA]
エストニア・コンサート・ホール
公演情報: https://concert.ee/en/kontsert/nhk-sumfooniaorkester-tokyo-s-gabetta-tsello-dir-paavo-jarvi/



2月24日(月)7:30pm
ロンドン(イギリス)[プログラムB]
ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
公演情報: https://www.southbankcentre.co.uk/whats-on/123941-paavo-jarvi-nhk-symphony-orchestra-2020



2月25日(火)8:30pm
パリ(フランス)[プログラムC]
フィルハーモニー・ドゥ・パリ
公演情報: https://philharmoniedeparis.fr/en/activity/concert-symphonique/20411-nhk-symphonyorchestra-tokyo-paavo-jarvi?date=1582659000



2月27日(木)7:30pm
ウィーン(オーストリア)[プログラムC]
ウィーン・コンツェルトハウス
公演情報: https://konzerthaus.at/concert/eventid/57065



2月28日(金)8:00pm
ケルン(ドイツ)[プログラムA]
ケルン・フィルハーモニー
公演情報: https://www.koelner-philharmonie.de/de/programm/s-gabetta-nhk-symphony-orchestra-tokyo-pjarvi-bruckner-schumann-takemitsu/122798



2月29日(土)8:00pm
ドルトムント(ドイツ)[プログラムA]
コンツェルトハウス・ドルトムント
公演情報: https://www.konzerthaus-dortmund.de/de/programm/29-02-2020-sol-gabetta-nhk-symphony-221993/



3月2日(月)8:15pm
アムステルダム(オランダ)[プログラムB]
コンセルトヘボウ
公演情報: https://www.concertgebouw.nl/en/page/41451#581ffb57eae47db881558b389f1d9b196bf67b27



3月3日(火)8:00pm
ベルリン(ドイツ)[プログラムC]
ベルリン・フィルハーモニー
公演情報: http://www.musikadler.de/konzerte-karten/termine.html?tx_mckonzerteadler_pi1%5Bconcert_id% 5D=594&tx_mckonzerteadler_pi1%5Bdisplay_code% 5D=concert_description&cHash=7d81f6ae9910b3e2b8060e72dff71788



3月4日(水)8:00pm
ブリュッセル(ベルギー)[プログラムD]
パレ・デ・ボザール
公演情報: https://www.bozar.be/en/activities/150908-nhk-symphony-orchestra-tokyo-paavo-jarvi



後日追記。(2020.2.26)


N響ヨーロッパツアー2020、さっそく初回はパーヴォの故郷であるエストニアのタリンで公演をし大盛況だった模様。シューマンのチェロ協奏曲で、チェロソリストのソル・ガベッタと。前半は武満徹のハウ・スロー・ザ・ウィンド、そしてこのシューマンのチェロ協奏曲、そして後半は、ブルックナーの交響曲第7番でした。


エストニアカーテンコール.jpg


このカーテンコールの写真は、N響さんのSNSから拝借しているものですが、3年前の2017年時のツアーのときは考えられなかったです。あの当時は、N響さん側も手探り状態だから、コンサート終演時のカーテンコールの写真なんてなかった。自分はどうやって、写真を都合しようか、あの当時、毎回mixiのつぶやきで報告するのに、すごい苦労してやりくりしていた記憶がありますから。それが、今回はこうやってプロのカメラマンを同伴してのツアー。各地の公演では、かならずこのようなカーテンコールの写真を拝見することができます。本当に感慨無量です。


2020/2/26時点現在で、タリン→ロンドン→パリと3公演終演。そしていまウィーンに向かっています。



後日後記。(2020.3.5)


3月4日、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィと7カ国9都市をめぐるN響ヨーロッパ公演が、ベルギーの首都ブリュッセルで幕を閉じました。このツアー最終公演は、ベルギー国立管弦楽団の本拠地にして、エリーザベト王妃国際音楽コンクールの会場としても知られるパレ・デ・ボザールで開催され、武満徹「ハウ・スロー・ザ・ウィンド」、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」、ラフマニノフ「交響曲第2番」が演奏されました。ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」のソロは、パリ、ウィーン、ベルリンに引き続きカティア・ブニアティシヴィリが務めました。


ベルギー公演.jpg



(c) Lorraine Wauters(公演写真)


本当にご苦労様でした。N響ヨーロッパツアー2020大成功で終わったようで本当によかったです。今回はプロのカメラマンを同伴したことで、つねに終演後のカーテンコールの素晴らしいシーンが拝見できて素晴らしかったと思います。そしてもうひとつ素晴らしいと思ったのは、現地の公演評をすかさず翻訳して提供してくれたこと。つねに現地メディアで公演評が出ているかどうかをチェックして、出ていればその場で翻訳する、という体制が整っていたんですね。これも前回にはなかったことでした。今回はカーテンコール写真と公演評翻訳と、とても準備万端で素晴らしいと思いました。


本当に残念だったのは、このツアーのタイミングで、日本のみならず世界中が新型コロナウィルス騒動一色になってしまったことですね。みんなそれどこじゃなかった。自分も全公演ともレポートすると約束しながら、雰囲気的にそんな感じになれなかったのが本当に申し訳なかったと思います。本当にタイミングが悪かったです。でもみなさんの大活躍は、しっかりと我々の心の中に刻み込まれたことは間違いないです。そして、どこの国の公演評も大絶賛であったということ。これは真にN響、日本のオーケストラの実力の高さをヨーロッパ本場に認識させることができた、と自負しています。日本国民として、あなた方は本当に日本の誇りです。


ほんとうにありがとう!








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