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千駄ヶ谷は将棋の街 [雑感]

東京渋谷・千駄ヶ谷に来るなんて何年振りであろう。おそらく就職で上京当時に、友人と千駄ヶ谷の東京体育館のプールに泳ぎに通っていたとき以来ではないだろうか?毎週通っていました。


この千駄ヶ谷に東京・将棋会館、日本将棋連盟がある。将棋会館は、大阪や名古屋にも支部があるみたいだが、ここ東京・千駄ヶ谷が本部である。プロ棋士の所属する本部を一度拝見したいと思ったのである。


この将棋会館では、順位戦をはじめ、多くの公式戦の対局が行われ、そしてその対局中の昼・夜の食事休憩時のときに棋士たちが出前を頼む、いわゆる”勝負メシ”のお店がこの千駄ヶ谷の将棋会館の周りにたくさん存在する。


まさに将棋の文化とともに栄えてきた街なのである。


千駄ヶ谷は将棋の街なのだ。


東京に来てからこのご本尊の街に一度も来ていないのは、心残りで、昨今の将棋ブームにあやかって一度来てみようと思ったのである。


いわゆる聖地巡礼である。


JR総武線の千駄ヶ谷駅で下車すると、いきなりこのようなものが。


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この駒は、この千駄ヶ谷に本部が置かれている日本将棋連盟協力のもと、1980年に制作したものである。表面の「王将」の文字は、故・大山康晴十五世名人の書で、裏面には千駄ヶ谷駅の由来が彫られている。


日本将棋連盟の本部がある将棋会館内には、プロ棋士の公式戦が行われる「対局場」の他、お客様同士で将棋が指せる「道場」がある。


日本将棋連盟、東京・将棋会館のHPで確認すると、3階以上は、対局場になっていて、一般人は立ち入り禁止になっているのだが、1階は将棋グッズ関係の販売店、2階が道場になっていて、ここは一般人が入れるみたいなのだ。


よっしゃ!これは行こう!

思いついたら即実行である。


東京・将棋会館は街の奥に入った目立たないところにあった。


東京・将棋会館

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入ると、いきなり大山康晴十五世名人の彫刻肖像画がありました。


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エントランスはこんな感じ。


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入ったら、すぐに将棋グッズの販売店がある。


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いろいろ細かく物色していこう。


プロ棋士の販促グッズで一番有名なのは、この扇子ですね。


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棋士が対局中に、この扇子を持ってパチンとやったりするのだ。


自分は子供の頃、中原誠名人の扇子が欲しくて、欲しくて、将棋会館に注文したことがあった。当時ネットECとかある訳ないので、どうやって送金したのか、全然覚えていないのだが、送られてきたときは、嬉しくて、子供心にプチ宝物であった。


書いてあった文字は、40年以上前の自分の記憶では、確か”誠”だったような気がする。


中原さんグッズは、掛け軸と色紙があった。


中原さんの掛け軸 ”無心”、称号は永世十段。

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中原さんの色紙。”盤上天地”、称号は十六世名人。

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藤井くんの扇子もある。
”大志”

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藤井くんは、いまや将棋界の稼ぎ頭であるから、藤井グッズはたくさんありました。


数々の貴重な写真も展示されていました。

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中原誠、大山康晴、米長邦雄、加藤一二三。


この写真の数々を見て、やっぱり将棋といえば、この世代だよな、とちょっとオジサン目線ですみません。


将棋の駒。
143,000円。じゅ、じゅうよんまん!!(滝汗)

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将棋盤
50万から100万。ひゃ、ひゃくまん!!(滝汗)

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ひぇ~、やはり道具からしていいものを使うと、それだけ気が入って強くなるんでしょうね。



本も買いました。
加藤一二三九段と渡辺明三冠(名人、棋王、王将)による
「天才の考え方」これが天才たちの頭の中だ!藤井聡太とは何者か?


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2階の道場にも寄ってみました。


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なんか普通の雑居ビルみたいですね。(笑)
自動販売機がすごく多かったのが印象的でした。
このショットの裏側にもたくさんの自販機があります。
やっぱり対局中はどうしても飲料が必要なのでしょうね。



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この道場では、一般人でも誰でも好きにふらっと寄って、見ず知らずの人と対局できる仕組みです。本当に将棋の好きな人は、そうそう相手も見つけるのは大変ですが、ここにこれば、本当に将棋好きな人なら誰でも相手を見つけられる仕組みですね。


ボクもちらっと寄って見学だけのつもりで入りましたが、いきなり入り口の係の人に、「5分くらい待ってください。」と言われました。きっと相手ができるまで5分という意味なのでしょう。慌てて出てきました。(笑)



この将棋会館の対局場で、プロ棋士たちは順位戦など、日々戦い、精進して生活していく、まさに厳しい勝負の世界を繰り広げていくわけだ。



この将棋会館では、自分の子供の頃にどうしても忘れられない対局がおこなわれた。
自分の心の根の深いところに鮮明に刻まれている。絶対に忘れることができない。


中原誠名人×加藤一二三十段の第40期名人戦


中原名人9連覇で、ついに名人位10連覇か!という1982年。自分が忘れもしない高校生3年生。


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名人戦というのは、普通七番勝負、先に四勝したほうが勝ちだ。でもこの戦いは持将棋に千日手2回と決着がつかない戦いが3回もあって、全部で十戦も戦った。名人戦のようなタイトル戦は、普通は旅館などを貸し切ってやるものなのだが、ここまでもつれるとは誰も思わず、旅館の予約が出来ず、最終戦は、ふつうの将棋会館でやる羽目になったのだ。


いまのようにネット中継とかなかった時代だから、もうドキドキしながらずっとその結果を待っていた感じである。


最終日も深夜におよぶ大熱戦の末、加藤さんが中原さんを撃破して、ついに中原名人十連覇を阻止。


加藤一二三新名人の誕生となった。


これは本当に悔しかったねぇ。いまでも忘れられないです。


加藤さんがこれほど輝いて見えたときはなかったです。
当時の将棋界でかなり衝撃的なできごとでした。


9年間も名人はずっと中原さんの中原時代だっだから、自分には加藤名人というのがどうしても受け入れ難かったです。


自分はこの頃の凄い加藤さんのことをよく知っているから、とても”ひふみん”とは呼べないです。(笑)


加藤一二三さんは本当に凄い棋士だったのである。


藤井くんが六十数年ぶりに次々と破る年少記録は、全部加藤さんが打ち立てていたもの。「神武以来の大天才」と呼ばれ、いかに加藤さんがすごい記録を持っていたか、ということが藤井くんがその記録を破ったときに、はじめていまわかる、みんなに認知されるという感じなのだ。


加藤さんの偉大さがよくわかる。


やはり中原誠、大山康晴、米長邦雄、加藤一二三の面々が、自分の時代の絶対的な将棋界の象徴だった。


加藤さんは、その当時からいい意味でちょっと変わっている人というか、ちょっと天然入っている感じで愛されるキャラクターでした。


その40期名人戦でも、1日目の対局が終わって封じ手が済んだら、中原さんも加藤さんも囲碁が好きだから、夜のオフに2人で囲碁対局をやったりしたそうですが、「本番勝負でもない、ただの遊びの囲碁なのに、加藤さん、すごい長考するんだよね。(笑)」って中原さんがなんかのインタビューで答えていたのをよく覚えています。


当時からそういう天然入ったキャラクターだったので、いまの”ひふみん”路線はあながち無理筋ではない想定できた路線だったのかもしれないと、いま自分は思います。



今回、将棋会館を訪れるにあたって、もうひとつの楽しみがあった。


それは将棋会館で棋士たちが対局中の昼・夜の食事休憩をするとき、いわゆる出前を取る訳だが、これは将棋界の業界用語で、”勝負メシ”と呼ぶ。


加藤さんは、棋士生活60年に及んで、一貫してずっと昼も夜もうな重だったのである。1局も例外がなかった。これはとても有名な話である。


自分は、この加藤さんが愛したうな重をどうしても今回味わいたいと思ったのである。


いまでは、インターネット中継で、棋士が昼ごはん・夜ご飯に何を頼むかは視聴者のクイズになるほどの人気コンテンツになっているらしい。(笑)


将棋界では2016年から対局中の外出を禁止しており(スマートフォンなどによるカンニング防止の一環)、昼食や夜食に出前を取る棋士が増えた。


将棋の話題によく出てくるお店と、棋士の注文などで名物になったメニューが以下である。全部、千駄ヶ谷の将棋会館のそばのお店たちばかりである。



●みろく庵


将棋の勝負メシの定番店である。昼はそば屋、夜は居酒屋として営業している。藤井四段が新記録の29連勝目で食べた「豚キムチうどん」が話題になったことで有名。


●そば ほそ島や


蕎麦とカレーのセットが人気という蕎麦屋「ほそ島や」。このお店では、羽生世代のトッププレイヤーの一人・丸山九段がタイトル戦の挑戦者決定戦の夕食で、冷やし中華のチャーシュー3枚増し(計5枚)を2杯頼んだことが伝説になっている。(笑)


●千寿司


実は、将棋界にはこの店の特上にぎりをサビ抜きで食べる棋士が多いと言われている。勝負の世界なので、強い棋士の真似をしたのかもしれないし、何かのげんかつぎなのかもしれないが、その真偽は不明である。


●紫金飯店 原宿店


ボリュームたっぷりで創業50年を誇るこちらのお店。藤井四段の29連勝目の食事として話題になったお店である。夕食に藤井四段はこちらで五目チャーハンを注文し、品切れだということでワンタン麺を頼んだ。


将棋ブームで繁盛する老舗店


千駄ヶ谷には、長い間経営しているお店が多く、そもそものファンもいるのだが、昨今の将棋ブームで「棋士と同じメニューを頼みたい」と訪れるファンも増えてきているのだそうだ。


また、棋士の頼むメニューはトッピングや量が個性的でもあり、思わず真似したくなってしまうのが特徴だそうだ。まさに将棋ブームで繁盛する千駄ヶ谷の老舗店、というところであろうか。


情報引用元:【棋士とメシ】名人ほど食事がユニーク?将棋関係者が愛する聖地・千駄ヶ谷の名店たち




そしてボクの今回の最大の目的である加藤一二三九段が愛した、うなぎのふじもとをここに紹介しよう。”うなぎのふじもと”は、将棋会館の近く、歩いて5分くらいのところにある。


うなぎのふじもと。


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店内。


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加藤一二三九段のうなぎ好きは有名。この”ふじもと”で、昼はうな重の竹を、夜は松を食べるのが「定跡」だったそう。


彼が約40年もの間、愛用しているお店が、ここ”ふじもと”なのである。
また、米長邦雄さんも愛したと言われている。


これが今回の最大ミッションだったかもしれません。(笑)


女将さんに、「じつは将棋会館の聖地巡礼にきたついでに加藤さんが贔屓のこのお店に来たんです。」と話しかけたら、「あらぁ~そうなんですか?うれしいわぁ~」ってたいそう喜んでくれました。


すごい話が弾んで、


「スポーツで野球やサッカーが流行れば、自分の子供にそれを目指せさせるとか、最近は将棋ブームだから、じゃあ子供にはプロ棋士にさせよう、とか世の中の親ってかなり単純なのよね~。(笑)ほら、将棋をやらせれば子供の頭がよくなると思っている人多いんですよ。(笑)」


「つい最近、羽生さんも寄ってくれたんですよ。羽生さんはテレビで見ると大きく見えるけれど、実際お会いするととても小柄な方で驚きました。」


棋士って対局中は、カメラで映されると、とても大きな偉大な人に見えるけれど、実際お会いすると、本当に思ったほど大きくなく小柄で驚くんでしょうね。


女将さんは、加藤さんが来店してくれたときに、将棋盤にサインをしてくれたのを見せてくれた。


「喜んで生きる。加藤一二三」

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羽生さんもこの将棋盤にサインしてくれて、でもそのとき小さなペンしかなかったから、こんな感じで失敗したわ。(笑)

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そして、これが、加藤一二三さんが愛した”ふじもと”のうな重の”松”
4800円!!!


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いやぁ本当に美味しかったです。


自分もうな重を食べ始めたのは、つい最近の10年ぶりで、うな重ってこんなに美味しいものなのか!という感じでちょっとマイブーム。


でもUberEatsのお取り寄せで頼むおらが街の1980円のうな重とは、もう天と地の違い。もううなぎの味、香りからして全然違うという感じです。


やっぱり高級品は全然基本が違う。

本当に美味しかったです。


藤井くんが四段になり、プロデビュー戦が最年長の加藤一二三九段との対戦。

加藤さんはこの対局に負けて、引退を決めた。

ここから藤井くんの連勝が始まって、藤井フィーバーが始まり、
その一方で加藤さんは引退し、”ひふみん”としてメディア界で大活躍することになった。


新しいスターが生まれて、入れ替わりに巨星が去っていく。


ひとつの時代が大きく移り変わった瞬間ですね。


もう藤井くんのことでコメント、解説するのは、いまや加藤さんの役割。

加藤さん言うには、藤井くんの仕事しか来ない、と言っていますが。(笑)


ひふみん、藤井二冠と対戦したら「互角に戦えます、控えめに言って」。「まだ(藤井二冠は)2つぐらい研究してない形があるんです、身につけてない形がある。」


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これは最高に嬉しかったねぇ。やはりこうでなくっちゃ。新しい強いスターが出てきて躍進中のとき、そこに冷や水を浴びせるような存在がいなくっちゃ面白くありませんね。


それは加藤さんくらいの実績、立場だから説得力がありますね。


加藤さんがSNSや、報道で話すコメントが、すごく沁みますね。


厳しい勝負の世界に生きていたからこそ、わかるような、本当に悟りの境地というか、本当に自分に響いてくる言葉の数々、心に染みます。


加藤さんはクラシック音楽にも大変造詣が深くて、最近、音楽の友でインタビューを受けていましたね。


ひふみん、加藤さん、ぜひ今後も末永く頑張って、将棋界の使徒として頑張ってほしいです。



最後に、スポーツ雑誌Numberが将棋特集を組んで話題になった。


「棋士もアスリートである。」


初日即完売で大変な話題になり、自分も増版でやっと入手しました。

とても興味深く楽しく拝読しました。


自分が食い入るように読んだのは、もちろんこちら。


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中原さん、お元気そうでなによりでした。
近影を見れてうれしかったです。

いまは趣味の囲碁と競馬で悠々自適の毎日のようです。

「18歳の羽生と藤井」という命題で語っています。


その他、佐藤康光が語る、「大名人、この一局。」が面白かったですね。


「中原先生は、AIの影響を受けた現代の将棋に一番融合しそうな気がします。何より大局観がすごい。全体のバランス感覚というか、手の作り方、主導権の握り方が卓越していますね。」


「自分の将棋に「絶対」の自信を持たれているのが、加藤先生です。他の棋士の参考にされたイメージがまったく感じられません。」


さすが同業者のプロから見るところは、鋭いところを突いているなと思います。読んでいて感心したところです。


確かに、中原さんのバランス感覚は自分も憧れましたね。


受けの〇〇、とか攻めの〇〇とか、極端に個性の強い棋風という感じでなく、いわゆる本当に自然流で、本当にバランスがいいんですよね。それで相手のアクの強い形をどんどん破っていくところがすごい格好良かったです。



自分の時代になくていまあるのが、棋士がAIを駆使するようになったということ。


でも自分が思うのは、将棋って、いろいろな強烈な個性を持つ人間棋士同士の戦いだからこそ、そこに、その個性のぶつかり合いというドラマが生まれるわけで、観ていてそこに面白さを感じるわけです。


将棋を知らない人でも、この棋士とこの棋士との戦いに、勝ち負けがついて、そこにドラマを感じて面白く感じるのではないでしょうか?


そこに表情のないプログラミングされた正しい棋譜だけの世界では、そのような面白味を作り出すことはできませんね。


AIはあくまで棋士のトレーニングのためのツールという位置づけなのではないのでしょうか?








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