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意思による楽観のための読書日記

金子と裕而 五十嵐佳子 ****

2020年4月から放送予定のNHK連続テレビ小説「エール」のモデルとなった作曲家古関裕而とその妻、金子(きんこ)の半生。明るく前向きな内山金子は、大正元年愛知県豊橋に生まれ育った。音楽、特に歌が得意だった。金子は家業を手伝いながら独学でオペラ歌手を夢見る。ある日、新聞で目にしたのが、国際的作曲コンクールで入賞した青年の記事。金子は、意を決して古関裕而に手紙を出し、二人の大恋愛がはじまる。

金子は、母に早く見合いをするように勧められていたが、自分はまず自分のやりたい音楽をしてみたいと考えていた。親戚の家が名古屋にあり、そこから仕事に通うことを許された。金子と裕而は文通を続けた。ある日、裕而から突然の電報、明日五時に、名古屋駅で待つ。金子は駅に駆けつける。そのまま駅前の旅館で三日間を過ごす二人。慌てた名古屋の親戚は、電話で駅前の旅館に連絡した末に、二人の居場所を突き止め迎えに行く。

豊橋からは母も来て大騒ぎになるが、二人の意思は固く結婚することになる。二人は、裕而の実家、福島に行く。福島での生活では、裕而の仕事がない。二人は上京を決意。東京で裕而は売り込みに奔走する。時代は昭和恐慌から満州事変へと進む。早稲田大学の応援歌を作曲したことで、裕而の名が知られるようになる。そしてコロンビアに仕事を得た裕而。そこからは徐々に仕事が増えてくる。その頃には二人には子どもが授かっていた。

裕而に、戦地慰問の要請が来る。中国上海、満州、金子は心配でならない。いよいよ戦争が始まる。裕而には度々戦地慰問の要請が来るので家は金子が留守番。金子は立派に留守番を果たす。インパール作戦への戦地慰問で裕而は九死に一生を得る。戦地の悲惨さも体験し、金子が思っているような勝ち戦とは程遠い現実を知る。二人の住む世田谷にも空襲が来て、周りは全焼する。

戦争は家族や知り合いに深い爪痕を残す。しかし二人は戦後も音楽を続ける。金子にもオペラを歌うチャンスが巡ってくる。ラジオでのたった一回のチャンスを金子は立派にものにするが、自分は裕而の妻。それ以上は望まなかった。裕而は東京五輪の行進曲を作曲、立派な音楽家として大成する。内山金子という、あらゆる困難に立ち向かい、明るく前向きに突破する、という物語。「エール」が楽しみだ。

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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