Pile driver | 偽・乱筆記~himagine~

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当たり障りのない日常の日記や雑記の類です


《前回のあらすじ》
昨年末から自動車免許を取得すべく教習所に通っていたが、
無学の状態からでなかなか上達せず罵声を浴びる日々が続いていた。
そして卒業検定の直前に…


…全く未経験の状況から約3ヶ月半教習所通いをして、
ようやく卒業検定受験の許可が出た2日後に
コロナ禍に拠る緊急事態宣言が発令されて、
通っていた教習所もそれから2ヶ月間休みになってしまった。

それからの2ヶ月間は空白の期間になってしまった。
同時期に通っていたジムも休業になってしまい、
仕方なく自宅で腹筋だけは続けたが、
車の運転は当然できないので、
しかたなく教本を見ながらネットに掲載されてる
過去問題を解きまくっていた。
怪我の功名ではないが
それである程度は知識面の地力が付いたと思う。

問題は技能試験だった。
筆記試験は家でも勉強できるが、
技能は実際に乗らなきゃ身に付かない。
何事においてもだがだいたい理屈が分かってきたら、
あとは“慣れる”ことが重要になってくる。
動作の反復を何度も繰り返して
その経験を脳に擦り込み、身体に刻み込んで、
習慣化した動作が反射的にできるようにするのだ。
特に車の運転は即座の判断が必要で、
それができないと人が死ぬこともある。
死ぬのは自分だったり他人だったりだが、
何れにしろ取り返しのつかない事態になる。
それで2ヶ月間の自粛休業後すぐに卒業検定前に
“見極め”と言われる模試のような試験を受け、
合格ラインに達していたため、
その場で翌週に卒業検定を受ける予約を取った。

卒業検定の日

自粛休業があったということで、
検定前に1時間無料で乗車練習させてもらった。
車に乗るのは2ヶ月半振りになる。
乗ってすぐアクセルとブレーキを踏み間違える
幸先の悪い走り出しだった。
それでも走り出してから少しすると
数ヶ月間身体に染み込ませてきた感覚が戻ってきた。
そしてその状況で本試験を迎えた。

本試験前にその日の受験生が小部屋に招集された。
3人の若者と彼らとは歳の離れた私の4人が受験生で、
マニュアルの生徒は私だけだった。
試験内容と気構えについて解説があり、
実際に走るコースの説明があった。
走るコースはそれまでも教習で何度も走ったコースだった。
それから2人ずつに分かれて、
先ずはオートマ車に乗り込み若者の試験から始まった。
さすがに若者は無難に乗りこなし、
滞りなくミッションを完了した。
それから私のために用意されたマニュアル車に乗り換えて、
私のミッションが始まった。
開始早々はまぁまぁの滑り出しだったのだが、
交通量の多い右折の場面でやってしまった。
右折指示も出る信号機があるのだが、
対向車線の車が完全に途切れたと思い、
右折指示を待たずに青信号で行こうとしたら、
教官にブレーキを踏まれてしまい、
「早いよ!右折が出るまで待って」
と咎められてしまった。
その直後も右折指示が出た後に走り出して、
1速、2速、3速とギアを変えていったつもりが、
3速でなく1速に戻っていた。
しかもそれに気付かずにしばらくガタガタ車体を震わしながら走って、
教官に「ギア変えたら」と冷たい感じで言われてしまった。
試験本番中に運転を指摘されるのは中々無いことで、
かなりの減点だったのではないかと思った。
それから後はまぁまぁ上手く走りきった。
その後教習所に戻ってからバック駐車をして、
それもまずまず上手くいった。
それで試験は終了だった。
恐らく落ちただろうと思った。

私と若者は小部屋の前で待たされて、
少ししたら教官が戻ってきた。
「まぁ二人とも合格なんだけど、
この後これから免許取得までの手続きについて
説明するから中に入ってて」と言った。
「え゛っ!?」
唐突な合格発表に私は驚いて声が出てしまった。
「いや、あれエンストしてたら減点だったんだけど、
減点対象じゃなかったからねぇ。
落としたくても落とせなかったんだよ」
と教官は笑って言っていた。
とにかくなんとかなったみたいで、
ようやく一安心できた。
それから別のスキンヘッドの教官が来て、
卒業証書や若葉マークを頂いてから
免許試験場の説明などをしてくれた。
それで教習所での全行程が終了し、
教習所通いもそれで最後になった。

それから約1ヶ月後に江東区の試験場に行った。
平日の昼間で受付時間の小一時間前に到着したにも関わらず、
その日はかなり混み合っていて
私の受付の順番が回ってきたのは
受付終了時刻の7、8分くらい前で
結構ぎりぎりだった。
試験の教室は縦に25メートルくらいの長さで、
私は後ろの方の席だった。
そして試験前に試験官がマイクで試験の説明をしていたのだが、
声がハウリング気味で話の半分くらいは
聞き取れずよく分からない状況で
筆記試験は始まった。
時間を余して全回答を終了したので
試験終了時間を待たずに教室を出る。
それから再び試験終了時間から
少しして教室に戻った。
そこですぐに合否が発表された。
私は“合格”し、その日の受験者の1/3ほどは
不合格で一足早く教室を退室した。
それから免許証の写真撮影などをして、
前手続きが終了したのは夕刻の時間だった。
それでも夏の夕刻はまだ日が高く、
私は試験場の近くのラーメン屋で
ラーメンを食べてから家路についた。
そして結局それから1度も車を運転していない。





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