【醤油ラーメン 680円 + 大盛 100円 + 味玉 100円】
むかしむかし、琵琶という楽器の名人がいました。
その名も「耳なし芳一」。
かつて悪霊に憑りつかれ、体中にお経を書いて逃れようとしたのですが、ついうっかり耳にだけお経を書き忘れ、そのために耳をちぎり取られた、という恐ろしい過去を持っていました。
以来、この事件は彼にとって癒されがたいトラウマとなり。
「ちっきしょー!ソコじゃない!本当はアッチの方が良かったんだー!失敗したー!!」と意味不明な独りごとを言うようになりました。
そんなある日の事です。
夜遅く、芳一の家に誰かが訪ねてきました。
「(トントントン)ごめんください」
誰だろう?
突然の訪問者に、眠い目をこすりながらガラリと扉を開けると、なんとそこには。
おねーちゃんが!!!
芳一、大喜び♪
いそいそと家の中に招き入れました。
しかしこのおねーちゃん、よく見ると体が変。
なんとなく半透明。
(あり?)
(これってひょっとして、幽霊じゃね?)
しかし芳一は思いました。
(まあいいや、おねーちゃんだし♪)
芳一はすぐに受け入れました。
だっておねーちゃんなんだから!
そのままおねーちゃん霊を客間に通し、自分は別室へと移動。
そしてニヤリ。
(これは千載一遇のチャンス!今こそあの時の無念を晴らしてやる!)
そうつぶやいて裸になり、体中にお経を書き始めました。
こうすれば芳一の姿はおねーちゃん霊からは見えなくなります。
しかし1ヵ所だけ、わざとお経を書きませんでした。
そう、あのとってもとっても大事な、「男の勲章・宇宙戦艦ヤマト」にだけはお経を書きませんでした。
そのまますぐにおねーちゃん霊のいる部屋に戻り、目の前に仁王立ち!
(ふっふっふ・・今おねーちゃん霊の目には「宇宙戦艦ヤマト」しか見えていない)
(きっと怒り狂ったおねーちゃん霊は、腹いせにこの「宇宙戦艦ヤマト」にとってもひどいコトをするに違いない)
(あんなコトとか、こんなコトとか、いっぱいいっぱいすごくひどいコトをしてくれるに違いない!)
(ああ・・早く・・早くひどいコトしてーー!!!!)
そうです。
芳一は死ぬまでに一度、こんなプレイをしてみたかったのです。
そういう趣味の愛好家だったのです。
しかし動揺した様子のおねーちゃん霊。
「芳一さん、どこ?どこに行かれたのですか?」
(いや、だからココ、ココにあるでしょ、「宇宙戦艦ヤマト」!)
「どこですか?今どこにいらっしゃるのですか?」
(いやだからココだって、ほら目の前に見えるでしょ?「宇宙戦艦ヤマト」、見えるでしょ?)
「一体ドコに行かれてしまったのですか?」
(?????アレ?)
ここで芳一、はたと気付く。
(ま・・まさか見えないのか?)
(お経書いてないから見えてるはずなのに、見えないのか?)
(ひょっとして”小さすぎて”見えないのかーー????)
そうです、芳一くん、とっても小っちゃいのです。
小っちゃすぎて、小っちゃすぎて、見えてても気付かないくらい、すんごく小っちゃいのです。
だから見えないのです。
やがて涙目になるおねーちゃん霊。
「素敵な琵琶を聴かせていただいたお礼に、せっかくあんなコトやこんなコトをして差し上げようと思っていたのに」
「一生忘れられないファンタスティック・ドリーミング・エクスタシー・ミッドナイトをプレゼントしてあげようと思っていたのに」
「この日のために、あの世の超ベテランおねーさま達から直伝してもらった昇天絶頂失神極限テクニックをいっぱい用意してきたのに」
「・・残念です・・・・(涙)」
そう言って、悲しげに立ち去ってしまいました。
(ちょちょちょちょっと待てーーー!!!!おねーちゃん霊!!!)
(いるいるいるココにいる!!!ココにいるぞーーー!!!)
(待ってくれー!!帰らんといてくれーー!!!)
(カ・カ・カ・カムバぁーーック!!!おねーちゃあーーーーーん!!!!!)
(うぉぉぉぉーーーー!!!!!)(大号泣)(大号泣)(嵐のような大号泣)
こうして芳一は、二度に渡る悪霊の攻撃を無事退け。
幸せな生涯を過ごしたのでした。
良かったネ♪
めでたし、めでたし。
2020年9日目、そろそろラーメン食いに行くべと、ようやく重い腰を上げました。
選んだのは昨年末にオープンしたばっかのラ~メンちゅるちゅる。
初訪問です。
まず迷ったのが駐車場。
店の正面に停めるのかと思ってたら、のぼりが立ててあって停められない。
ありゃー?とそのまま通り過ぎ、Uターンして、再度確認してもやっぱり停められなくて、どうしようかと思いながら建物の横に回り込んだら、あららこんなトコに駐車場。
発見難易度高っ!
店内に入り、メニューをチェック。
レパートリーは塩と醤油、あと限定のホワイトラーメンってののみ。
サイドメニューも激少な。
でも値段は安くて、塩と醤油は今時珍しい680円。
メニューを絞ることで原価抑えて、その分値段安くしてんのかね?
オススメは塩ってなってたけど、醤油の方が好きなのでこの日は醤油をチョイス。
大盛りに味玉も付けて、いたらきま~す。
スープは半濁の赤茶色。
液温あつあつ。
甘いですね。
醤油の甘~いコクと油の甘みが合わさって、のっぺりまったりゆる~い甘み。
その上に香味とうま味も重なって。
ゆったりしたスローな味。
味の中盤からはネギですかね、ツンとした植物香も。
醤油のニュアンスに独特のハーブ感を付加し、さっぱりとした風味がふわんと抜ける。
麺はストレートの細麺。
茹で加減柔らかめ。
しんなり食感の麺は舌触りしとしと。
ちゅぱっと唇を滑り、つるんと喉を落ちる。
高加水ゆえに味わいみずみずしく、味の流れがスピーディーかつスムーズ。
抵抗なくさらさらとすすり込める。
チャーシューは小振りのものが3枚。
肉質ぎゅっとハード系。
むっちりわっしりタフな噛み心地。
印象としてはボンレスハム的な感じ。
味にもしっかり力があって。
凝縮したワイルドテイスト。
重い肉の味がずっしりと沈み込む。
味玉はハーフにカットしたものが1個分。
黄身は完全に液状。
濃密な甘みがとろ~りと流れ込む。
一方で白身はぷるぷるつるり。
漬け込んだつゆの味がほんのりしみ出し、優しい香味で鼻を撫でる。
終丼。
ラ~メンちゅるちゅるの”醤油ラーメン”。
正直~に言うと。
ややインパクトに欠けるかな、という印象でした。
濃厚白湯系ラーメンが主流の昨今、この手のソフトなスタイルはなかなか難しいと思う。
別に淡麗ダメって話じゃなく、このスタイルで行くならもう少し色々表現方法を模索すべきかなと。
特に麺に関して、もうちょっとコシが欲しい。
スープが淡い上に麺までへったりしてると、どこにも芯のない平たんな味になってしまう。
ちょっと麺をキリッとさせるだけで、今よりずっと緊張感が出るはず。
その辺のメリとハリをもっとはっきりさせて欲しい。
チャーシューの扱いもなんか違う気がする。
厚すぎね?
スライサーでぺらっぺらにスライスして、その分枚数増やした方がいいんでないかな?
ここのラーメンスタイルなら重い肉をずしっと乗せるより、薄くてライトな肉をぱらぱらっと沢山乗っけた方がいいと思う。
まあやってみな分からんけどね。
いずれにせよ太くて重くて輪郭のハッキリしたラーメンが主流の現在、その裏を行くなら、それはそれで徹底的にバランスと洗練性を追ってかないと。
アピール弱いんでねーかなー・・・。
ごちそうさま。