☆ 白バラの祈り・ゾフィー・ショル最期の日々 (2005) 独 | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

マルク・ローテムント監督。

 

 

第二次世界大戦中 

ミュンヘンの大学生たちで 組織されていた

実在した反ナチ運動グループ 「白バラ」の最期を描いた作品です。

 

こういう重い映画も いいものですね。


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ゾフィー・ショル (ユリア・イエンチ)


1943年のミュンヘン。

 

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ミュンヘン大学の 学生・ゾフィーは
兄のハンス、友人のクリストフらと共に
反ナチス抵抗組織 「白バラ」のメンバーとして

ナチスへの抵抗と 

戦争の早期終結を 呼びかけるビラを作成し
各地へ郵送する活動を行っていた。

 

 

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兄・ハンス (ファビアン・ヒンリヒス)

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クリストフ (フロアン・シュテッター)

 


ある日、ゾフィーと兄は 

大学構内で ビラを配置しているところを見つかり
身柄をゲシュタポに引き渡される。

 

 

 

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取り調べにあたる 

尋問官のモーア (アレクサンダー・ヘルト)


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ここからは、長い尋問のシーンが続きますが
その緊迫したやりとりに 息を呑み 
まったく時を忘れ 見入ってしまいます。


当初ゾフィーは 
自分がノンポリであることを強調、無実を訴え


その一環した主張、態度に 一時は釈放寸前までいきますが

その頃 兄妹のアパートから
大量の切手、ビラの原稿など 証拠品が押収され 


ゾフィーは 兄が自白したことを知らされる。
続いてビラの草稿をした クリストフも逮捕。


観念したゾフィーは 
一転、「白バラ」の正義を主張しはじめる。
 

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耐え難い恐怖を抱きながらも 
高い誇りと信念を持つ ゾフィーの姿に

ベテラン尋問官であるモーアは 不可思議にも 
次第に敬意にも似た気持ちを 持ちはじめる。


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この二人の俳優さんの演技が 実に見事で

場面に釘付けになってしまうのです。


そして 3人の裁判がはじまる。

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ローラント・フライスラー判事 (アンドレ・ヘンニッケ)


「寄生虫!」「恥知らずの犬め!」
被告の言葉をことごとく遮り ヒステリックに罵る 

この実在した フライスラー判事は 

ナチス活動家を裁く 特別法廷の長官を務め

 

不法な見せしめ裁判で 数千人に死刑判決を下し

「死の裁判官」と言われた。

 


やがて、死刑が確定。


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「僕らを処刑しても、明日はおマエらの番だ!」

 

 

三人はそれぞれ、別室に移されるが

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暗く、寒々しい部屋の 粗末な机の上には 紙と鉛筆が一本。
すぐに、お別れの手紙を書くよう言われる。 

 

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ここではじめて、ゾフィーは慟哭します。

両親との面会。


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「お前は正しい。私たちは誇りに思うよ」


特別に許された 兄ハンス、クリストフとの 
最後の喫煙、最後の抱擁。

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廊下で 簡単な本人確認が終わり 
無造作に次の部屋の ドアが開けられると 

 

しらじらと明るい がらんとした 殺風景な部屋の
真正面にギロチン台が見える。

執行室までの 道のりも無ければ 十三階段もない。

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心の準備の為の いっさいの余裕も持たせない
これは本当に 恐ろしい光景です。



大学構内で逮捕されてから わずか5日後のことでした。



        あじさい
 
なんとも重く、やり切れない想いが胸に残るのですが


でもこの映画のラストシーンは 
そんな 暗く冷酷な印象とは
また違った感情を 観る者に抱かせて終わります。

真っ暗な画面の後には 
綺麗な歌声と共に セピア色の写真が次々に映し出されます。

 

 

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溌溂と若い顔、笑っている顔、 憂い顔・・・
ゾフィー・ショル、本人の写真です。

捕らわれた「白バラ」のメンバーのうち 
最初に処刑された唯一の女性 21歳でした。

 

 

この年のベルリン国際映画賞・金熊賞

監督賞、主演女優賞を受賞しました。