ある日、院長室にて(その1)♯01
その日はバレンタインデーだった。
去年の成果は、大阪パルコープのおばちゃんにもらったチョコパイだけである。
女の人が20人以上居る今の職場ではどうなるのか、淡い期待があった。
普段は病院の奥の「院長室」であれこれ事務をやっていた。
この部屋はカルテやペットフードの在庫の倉庫やらかあり、とにかく人の出入りが多く、白い巨塔に出てくるような「院長室」とは全然ちがう。
院長の娘さんである「モモカ(トイプードル15才♀)」の部屋でもある。
この部屋にドアはなぜか二つあるが、廊下に通じるドアは、犬を幽閉するとき以外に閉めることはほぼない。この日、普通に仕事をしていると、獣看護師Nがにこにこしながら入ってきた。
手に何かもっていた。
(*゚ -゚) 「そこへ直れ」
なんやなんやなんや?
(*゚ -゚) 「はい、義理チョコですよ」
ゴディバのチョコをくれた。
この人は、去年は手作りチョコを院長にあげたそうだが、そのチョコは、今でもちゃんと院長室の棚の中に飾ってある。
(*゚ -゚) 「ちゃんと食べてくだいね」
食べる食べる。
(*゚ -゚) 「で・・・」
お?
(*゚ -゚) 「おかえしですけど、、」
おお?
(*゚ -゚) 「御殿場にアウトレットがあるんですよ」
ここから150キロくらい走るが・・?
(*゚ -゚) 「トリマーの○○さんと買い物に行きたいのでつれていってください。会社の車で。」
無理むりムリ。
(*゚ -゚) 「ガソリン代と高速代は出しますから」
あかんあかん絶対あかん。
(*゚ -゚) 「フン・・・・」
去って行った。
つづく