前回話した、正直さと誠実さ。

事実を言うのが、正直さ。

言ったことを事実にするのが、誠実さ。


……ボクサーに必要なのは、何か。


正直に、「勝てるかどうかなんて、誰にも分かりません」なんて言うことではない。

「正直さ」は、ボクサーにはいらない。


「絶対に勝ちます!」と言い切り、その言ったことを何が何でも、死にものぐるいでも実現させる、誠実さ。


……「誠実さ」なんて書くと、本当はなんかちょっとニュアンス違うんだけど。笑


ボクシング以外のことに関して、メチャクチャちゃらんぽらんな自覚あるからね俺の場合。笑


……ありのままに率直に言うと。


「俺が『勝つ』と言った以上、必ず勝ってみせる。そうでないと、佐々木基樹の沽券(こけん)に関わる。強気なことを言っておいてそれが守れないなんてのは、佐々木基樹の名にかけて絶対に許せない」。

そういう気持ち。


……。

日本の武士は、「恥」を何より重んじた。

「斬り捨て御免」って言って、「恥をかかされたら、武士はその相手を斬り捨てていい」って法律が昔の日本にはあったんだよ。

……その、「恥」の対象が人ではなく自分なのだけど。

自分の名にかけて、「恥」をかくくらいなら、なんだってやってやる。


……この、「(自分を)許せない」という気持ち。感覚。

これを、俺は特に若いヤツに、大切にしてほしいと思ってる。

それがなければ、何だっていいや、何でもあり、負けたって何だって構いやしない。

自分が重んじるものなんて何もない。

……それじゃダメだろ。

「自分で言ったことを守れないなんて、魂の恥だ。そんなことは、絶対に許せない」。

この感覚。

それは、気持ちの強さとなって試合に出る。

本番力となって、自分に絶大なパワーをもたらしてくれるのだ。


言ったことは、守ろうぜ。

何にでもそうすることが本当は望ましいが、少なくとも一つでいい、自分が「これだけは」と思うもの。

それが例えば俺にはボクシングだった。……たった一つだって構わない。


自分の内側から出てくるものなら、何だって構わない。


自分の基準で、「これだけは」と思うもの。

それは、絶対に守りぬかなければならない。


自分の名にかけて。



そして11年前の昨日、2/15、レブ・サンティリャンを破り、東洋太平洋チャンピオンに。(撮影 koさん)




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