偏愛的プレミアリーグ見聞録

カラバオカップ3回戦、ルートン・タウンVSマンチェスター・ユナイテッド。昨季プレミアリーグで3位のクラブが、チャンピオンシップ19位をねじ伏せるかと思いきや、サポーターのストレスが溜まる展開となりました。最前線には移籍後のプレミアリーグで未だノーゴールのオディオン・イガロ、2列めにリンガード、ファン・デ・ベーク、マタ、中盤センターにはフレッジとマティッチ。主力を外して戦うのは予想通りで、それでも快勝を期待していたのですが、GKシェアがファインセーブを連発し、マンチェスター・ユナイテッドはなかなかゴールを決められません。

44分にボックス左でブランドン・ウィリアムズが倒され、PKキッカーのマタがGKの逆を突いて先制しますが、後半もミドルをGKに読まれ続け、ここぞというフィニッシュが枠にいきません。スールシャール監督は、78分にイガロ、ファン・デ・ベーク、マタを下げ、ラシュフォード、ブルーノ・フェルナンデス、グリーンウッドとゴリゴリの主力を投入。88分に中央のグリーンウッドが左足アウトで落としたボールをラシュフォードが長いトラップで持ち込み、ゴール右隅に決めた瞬間、「結局レギュラーかーい！」と、思わずツッコミを入れてしまいました。

92分には、右サイドからグリーンウッドがドリブルでカットイン。得意のステップから左足シュートを叩き込み、0-3で4回戦進出を決めました。昨季公式戦で44試合17ゴール5アシスト、プレミアリーグ31試合10ゴール1アシストという素晴らしいスタッツを残した18歳のレフティは、その内訳を見ると「下位＆下部リーグ専門」です。プレミアリーグでTOP10相手にゴールを陥れたのはシェフィールド・ユナイテッド戦だけで、残りの9ゴールはクリスタル・パレスを除く12位以下から満遍なくゲット。国内カップの2発はトランメアとロッチデールです。さらなる躍進を期待したい存在ではあるのですが、チャンピオンズリーグで欧州の強豪と戦うクラブがジェイドン・サンチョをほしがるのは納得です。

プレミアリーグの開幕戦でクリスタル・パレスに敗れた低調なクラブは、喫緊の課題を2つ抱えています。ひとつは、補強が進まないこと。もうひとつは、サブの選手を機能させられないことです。サンチョを獲れるかどうかがわからないからか、CBやSBなどの弱点カバーの人選と交渉が遅れており、獲得した新戦力はドニー・ファン・デ・ベークのみ。2億ポンドのチェルシー、スピード獲得のマン・シティ、6人ゲットのアーセナルだけでなく、ツィミカス、チアゴ・アルカンタラ、ジョッタを引き入れたリヴァプールや、ドハーティー、ホイビュルク、ガレス・ベイル、レギロンのスパーズにも先を越されています。

現在、獲得に近づいているといわれているのは、ポルトの左SBアレックス・テレスぐらいで、ライプツィヒのウパメカノは「関心」レベル。エヴァートンのカルヴァート＝ルーウィン、ワトフォードのイスマイラ・サール、アタランタのアマド・トラオレはサンチョを諦めた後のお話で、サミ・ケディラをフリーで獲得というゴシップに現実感はありません。ロホ、スモーンズ、アンドレアス・ペレイラ、ジオゴ・ダロトらを売るという話は進むのでしょうか。残り2週間を切ってからの全員売却は至難の業でしょう。

補強の有無とは別に、イガロ、マタ、リンガード、バイリーらがよりフィットすれば、長丁場を乗り切れる目処が立つのですが、カラバオカップの辛勝を見ると道半ばといわざるをえません。補強、売却、サブの活用のいずれかひとつでも進んでいる実感があれば、チャンピオンシップの下位に対する苦戦も結果オーライで済ませられるのですが…。マンチェスター・ユナイテッドは、デッドラインデーの主役となるのか、昨季と変わらない顔ぶれでレギュラーとサブのギャップを抱えながら不安なシーズンを過ごすのか。期待して見守ろうと決めているのですが、モヤモヤ感が拭えません。とはいえ、「サンチョはもういいから！」ともいえないんですよね。いやー。