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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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トルコ移籍が噂されているメスト・エジルに残された試合は…⁉

プレミアリーグ18試合1ゴール2アシスト。試合に出ると、4本のクロスと1本のロングフィードを記録し、80分にピッチを去るのが彼の平均的なスタッツです。プレミアリーグ35試合6ゴールで、歴代2位の19アシストを叩き出した2015-16シーズンには28本あったビッグチャンスクリエイトは、たった1本となりました。現在のケヴィン・デブライネに勝るとも劣らないパスセンスを見せつけていたメスト・エジルは、確実に坂を下り続けています

2013年9月2日、レアル・マドリードでクリスティアーノ・ロナウドの最高の相棒と目されていた司令塔は、カルロ・アンチェロッティに不信感を抱いて電撃移籍。22節まで首位に立っていた2015-16シーズンは、レスターに優勝をさらわれてしまいましたが、アーセン・ヴェンゲルとメスト・エジルが一緒に成した最大のチャレンジでした。2016-17シーズンからは、2年連続の5位。8ゴール9アシスト、4ゴール8アシストとゴールへの関与数を落としていったプレーメイカーにとって、2018年2月に得たクラブ史上最高額となる週給35万ポンドと、同年の夏に手に入れた背番号10は、既に過分の待遇となりつつありました。

唯一無二の理解者だったヴェンゲル監督と別れた2018-19シーズンは、最初の7試合で3ゴール1アシストと、数字上はまずまずのスタートではありました。2018年10月23日のレスター戦は、エジルらしさを十全に堪能した素晴らしい一戦。1点を先行された試合をイーブンに戻したのは、ワンツーから決めた左足の美しいフィニッシュ。右サイドのベジェリンをフリーにした衝撃のスルーパスと、シュマイケルを引きつけながらアウトサイドで出したラストパスは、オーバメヤンの2発を呼び込む完璧なプレイでした。

プレミアリーグ14戦無敗と好調だったチームと裏腹に、不可解な欠場が増えたのは、11月末からでした。エメリ監督との間に、コミュニケーションロスがあったのか。あるいは、ワールドカップ直前のバッシングで傷心のプレーメイカーを指揮官がかばったという構図だったのか。2月にはレギュラーに戻ったエジルは、2019-20シーズンに入ると、最初の10節でプレミアリーグ出場1試合と戦力外のような扱いを受けるようになります。「彼が来てくれてとてもうれしい。適切なタイミングだったし、全員がハッピーだ。僕たちにはまともなリレーションがある」。以前はチームメイトだったアルテタ監督の就任により、トップ下に復帰したベテランは、これといった結果を出せないまま、プレミアリーグの中断を迎えています。

「彼はアーセナルでとてもハッピーと、もう一度いわせてもらう。契約は残っており、変わったことは何もないが、フットボールの世界では何が起こるかわからない。移籍を予想するなどということは、誰にもできないだろう」

噂されているフェネルバフチェへの移籍について、代理人のエルクト・ソグト氏は否定していますが、サラリーの減額などの調整が図れれば、いよいよプレミアリーグに別れを告げるかもしれません。残り試合は、9かゼロか…。18試合でシュートはわずか9本、オンターゲットは3本のみ。輝きを失った司令塔の足跡を、何度も辿ってきましたが、「彼こそがプレミアリーグNo.1のプレーメイカーである」というあの頃の確信が消えることはありません。


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