障害者衣服の制作課題に参加協力してみた | ジョイスティックカーと車いす日記・明日へのバリアフリー(最新記事・トップページへ)

障害者衣服の制作課題に参加協力してみた

年度としては一昨年になりますが、私が衣服の関連でお世話になっている大学の先生から、その年度に卒業する1人の生徒さん(以降はNさん)の卒業課題として、障害者の衣服制作をテーマにするので参加をどうですかと、お話を頂きました。自分の経験や現状が、これからの社会に向かう若者のお役に立てるならと、大学とNさんの協力を1年間させて頂くことになりました。

 

始めてNさんに会う打合せは同年度の6月でした。少し緊張されている様子でしたが、お話をしてみて、私の方も限られた時間の関りでも、現状を知ってもらいNさんの将来に繋がることがあれば嬉しいなと改めて感じました。テーマへの方向性も決まり、実際に私の特殊な身体に合わせて卒業までに服を作るということになりました。具体的には、ボタン付の前開きで脱ぎ着がしやすい上着に決まりました。

 

それからの打合せのペースとしては1、2か月に1回程度と決して頻繁ではなく毎回が貴重な時間です。市販の衣服は修正をしないと、ほとんど合わない私の身体ですが、今回は制作課題に合わせゼロからのオリジナル制作なので採寸から生地選び、仮の縫製を繰り返す調整をしていきました。

 

▼ゼロからの制作のため、古くからある地元の専門店に出向き、生徒さんと生地選びから。

 

頻繁に打合せが出来なかった理由のひとつに、Nさんは子供の頃から続けている、とあるスポーツで非常に優秀な選手で大学でも代表選手として活躍されています。卒業前の大きな大会を控えている時期ということもあり、制作課題も最優先には出来なかった事情もあります。大会に向けて集中力を高めたい時期の中で両立しながら頑張ってくれていました。

 

そのNさんがしているスポーツの話を少し...年末には何と大学チームが決勝進出!大学最高峰なのでテレビ中継もあり、私も自宅で楽しみと緊張感で観戦しました。試合に集中して臨む姿は、私の知らないNさんなので、本当にカッコよく感動から少しウルウルしそうになりながらテレビの前でも応援にも熱が入りました。現役学生の最終試合とのことで、子供の頃から頑張って長年続けてきたスポーツに、いろんな思いが廻ったと思います。最高のフィールドで輝く姿は素敵でした。

 

▼制作は、こちらの上着です。自分だけでは選ばない可愛いデザインがお気に入り^^

 身体のサイズが小さく、骨の変形もあるため採寸と仮縫製で調整を繰り返していきます。

 

年が明けて、3月の卒業まであとわずかとなりました。オリジナルの衣服も最終的な細かな調整を終えて無事に完成しました。最後は、卒業論文として大学内での発表会で、私も教室の後ろの方から見学させて頂くことに。Nさんの1年間の実績と分析、そこから感じたことや今後に繋がるまとめがよく分かりました。本当にお疲れさまでした。

 

▼Nさんの卒業論文発表会の様子。ポイントを上手くまとめて、とても良い発表でした。

 

 

年度末の3月になり大学の卒業式を迎え私も制作衣服を着て会場へ。式が終了して...帰り際に素敵な卒業袴を着たNさんに逢えました!卒業のお祝いと、改めて衣服制作のお礼を伝えることが出来て最後に記念写真^^

今回は、私にも良い経験となりました。お話を頂いた先生、大学とNさんにも感謝致します。

 

▼卒業式で袴姿のNさん。普段と違う印象はとても素敵でした。1年間お疲れさまでした^^

 

Nさんは卒業後、衣服関連の学びを更に続けるとのことでした。この経験が衣服のことを考える場面で活かされれば幸いです。これから、どんな道に進んでいくとしても、あのスポーツをやり続ける強い心なら必ず大丈夫だと信じて応援しています。

 

 

障害がある人の衣服で困る課題は人それぞれで、広い意味ではもっと知ってもらい改善されていくことを願うばかりです。まずは、そういった課題があることを知ってもらうことが大切であると発信を続けています。自分自身の課題でもあるので、これからも楽しみながら工夫と新たな道筋を探していきます。