「霊魂論」エチカ詳解258(生と死89)
凡そ多くの宗教にあっては、人は死んでも意識あるいはそれに近似のものが霊魂となって残ると説く。霊魂は生前暮らしていた土地に思ひ鎮まる(おもいしずまる)まで現世(うつつよ)に留(とど)まる、現世(うつつよ)を離れては異世の黄泉のような霊魂の住まう世界に旅立つともいう。霊魂の存在は、屡々、道徳・倫理などと結びつけて語られており「スピノザの「エチカ」も例外ではありません。キリスト教などが説くように、生前の行いに応じて天国や地獄などに送られるともいわれる報償論。あるいはヒンドゥー教のように霊魂は生前の行い、此処に課題があるのですが、生前に王族として施政を総覧したものは応じて転生、奴隷階級として過ごしたものはそれなりに転生するという被支配民にはバラモン制度が死後も続くとすると説くバラモン制度もありますが、輪廻転生は現世に充足したものにはそれなりに、苛政に虐げられたものにはそれなりの繰り返し、ハツカネズミの一輪車から同様に逃れられない運命が付き纏います。インド大陸北方のカンボジア地方の移動民と云われる釈迦族の小王国の嫡子シッダールタの出現がインド被虐階級に「蓮華の世界」を用意します。
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