「霊魂論」エチカ詳解318(生と死149)
霊・魂、或いは霊魂にとって本能は強力な影響を及ぼさないのでしょうか。行動を学習か生まれつきかで二分しない立場は行動生態学としては常道なのでしょうが、未だ胎盤で発達途上の胎児が自らの意思若しくは「霊・魂・合一化された霊魂」を遺伝子系列の影響以外に自らを資すること能わずと想われる段階で行動学習の原理は適用不可能に想われます。胎盤で発達途上の胎児が示す胎盤外環境からの自らの躰を損壊から守るのは、母体の胎盤内であろうと本能的には活動していることが予想されます。行動は「本能的なもの」と「非本能的なもの」というように二種類に分けて論じられることが多いし、経験は行動の獲得に、遺伝子は本能に影響を与えると言及されるが胎児には此のことは当て嵌まらなりません。胎児の成長ともに本能機能の発展・展開に伴って今まで守護神としての母体からの離脱の準備を整えられたときに初めて自己保存の本能が産声として発せられるのです。本能にはスピノザ流の絶対存在の意思は働いているにしても、其れを認識する能力はありません。本能行動という表現を用いる場合は、本来の本能の概念とは異なるものである場合が大凡です。この場合の本能概念は学習行動、代表的には成長環境の認識にあります。
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