時間の陥穽81
熱力学の第二法則に登場するエントロピーの法則とは、熱力学の第二法則(クラウジウスの法則・或いはカルノーの原理)から導かれています。熱力学の第二法則とエントロピー増大の法則とを、直接イコールで結んで良いかと問われれば、極めて緊密な関係があることに間違いないとの返答を得ます。其の「エントロピー」=「乱雑さ具合」と言う概念だと理解するのは少々曖昧です。エントロピー(entropy)は、熱力学および統計力学において定義される示量性の状態量として、熱力学においての断熱条件下での不可逆性を表す指標として導入されたもの。其れが統計力学系においての微視的な「乱雑さ」を表す物理量という意味付けがなされたことにとり物理学上の意味が不鮮明となります。物理学者のエドウィン・ジェインズ(Julian Jaynes/1920年-1997年)のようにむしろ物理学におけるエントロピーを情報理論の一応用とみなすべきだと主張する者まで現れる始末です。時間概念からエントロピーを仮に無限宇宙を閉鎖空間として解釈してみれば、時間概念は一定の方向性が性格付けされたものとして思考されるため宇宙がエントロピーに向かっているとは世界の崩壊を意味し再生を拒否します。此れに対しブラックホール・ホワイトホール説では縁日の加工風船のように無数で無限の宇宙が存在することになり、エントロピー神話は崩壊します。然し乍ら、此れも両者が閉鎖系で無ければこの限りではないのですが、その場合もより大きな系、神視点から見れば同じ事が言えるわけです。大雑把に熱力学の第二法則とは、熱というモノは熱い方から冷たい方に向かって流れて逆はありませんよという誰でもが知ってる経験則のことで、基本的には、これが積もり積もったものがエントロピーの増大です。此の逆方向のエントロピーの理を実現するのが「時間」の流れの双方向性です。
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