時間の陥穽82
エントロピーの概念に汎用性を持たせるといたる処で問題を醸しそうです。「エントロピー」の対を成す語は三つが挙げられます。一つは乱雑・崩壊性を持たない「恒常性」を持つもの、言い換えれば「永遠性」を自体が有しているもの。此の大きな課題は物理科学が究極に達したとき、その人間自体の観念が「神=有=恒常」と合一一体化したときに解ける問題であり、今現在の時点では信教としての宗教、神的哲学・形而上哲学の傘下にあります。第二は「ネゲントロピー」、生物が低いエントロピーを保っている状態という意味で用いられるものですがノーベル医学・生理学賞を受賞しビタミンCの命名で有名なセント・ジェルジが、1974年に「ネゲントロピー」を「シントロピー(syntropy)」と言い換えることを提案したものです。この視点は生物学の問題であり、此処では関連性に欠けるので割愛します。第三は琉球大学の比嘉照夫名誉教授が発案したと主張している「蘇生の法則」と言い換えられることもある、死んだ・亡くなった筈の人やものが、姿やメッセージを発するものですが、時間概念というより生物、なかでも本能ではなく理性を伴った我性を抱くに至った人間の霊魂の問題であり、著者は「霊魂論」で別途考察します。
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