時間の陥穽110
永遠に対して与えられる恒常性とは、何も一神教の独占ではなく、他にもインド大陸の仏教哲学等にも見受けられます。此の概念は形而上哲学は勿論、自然哲学でも思想の根幹を成しています。では、物理学上の永遠はどうかと問われれば「永遠」なるものは現代物理学ではありえません。世界即ち宇宙一切の変化に携わる理論・観測・実験物理学は宇宙が変化し続けているという考えを支持します。宇宙が変化し続けているという考えは、始まりであるビッグ・バン思想を生み、「宇宙にも終わりがあるのではないか」という疑問を生みました。此れには多くの天文学者や物理学者の思考を悩ませました。宇宙そのものを「永遠の恒常」、「有」、「常住」と見做さない以上、永遠を否定せざるを得ないことになり、世界には「永遠の瞬間」は無い、即ち、絶えずの変化を根幹に絶対存在の否定へと思考が展開します。宇宙は絶えずの変化に覆われ「始まりがあり終りがある」将又「無限に終末を始まりに転移させている。次元を超えた「常住の宇宙」とも云えるは「恒常世界」は無い。宗教、乃至、形而上哲学の恒常性とは世界は無縁であり「永遠の瞬間」は人間の観想に過ぎないとします。但し、時間の存在と其の流れに関しては物理学会にも真否両論があり、時間は未だに存否両論が入り乱れ不明の状況にあります。
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