パートナーのポールとは前での温度差を感じる話以外にも色々話しますが、特に共産圏時代、そして政治システムが変わった直後のポーランド人の生活に関する話は興味深いです。
まさに「未知なる世界を垣間見」ることができます。
まずは、ポールのバックグラウンド。
ポールの父親はウクライナ人で、ポールの苗字もウクライナ系です。
ポールの父親はウクライナで生まれ育ったんですが、第二次世界大戦直後ポーランド系住民への迫害が始まったためポールの父親や兄弟、ポールの祖母はポーランド領内に逃れてきたとのこと。おそらくポーランド系ウクライナ人と推察します。
そしてポールの母親もドイツ系住民の子孫で、ポールが生まれ育った地域は時代によってはドイツ領だったところだそうです。
ポーランドや周辺国は時代によって大きく国境線が変わっていることにちょっと衝撃を受けました。
さて、彼の幼少期はというと・・・。
ポールの両親は非共産党員で、典型的な貧乏人の子沢山で、日によっては食べるものがなくて、時々ポールは彼のゴッドマザー(キリスト教における代母)宅に食料を恵んでもらうよう頼みに行かされたそうです。
それから、とある日、ポールが見つけた干からびたパンの切れ端を巡って姉弟で取り合いになったこと、その時彼の姉の一人が火かき棒で彼の頭を殴り、フックの部分が刺さったとか。
ちなみに80年代のポーランドの店舗はこんな感じ。
ほとんど商品ないし・・・。
で、配給時はこれ。
ポールも親に言われて何度か列に並んだこがあると言っていました。
そうそう、最も印象に残った話が近所のご夫婦の話。
ある日、旦那さんは屋根の修理のためにはしごにのり、奥さんは下ではしごを支えていたとか。そこへ別の近所の奥さんがやってきて「コーヒーの配給車が来たわよ!早く列に並ばなきゃ!」とその奥さんを呼びにきたとか。で、奥さんは配給の列に並ぶべくすっ飛んでいってしまい、残された旦那さんは動くに動けず奥さんが戻ってくるまでの5時間だか6時間屋根のヘリを掴んで、はしごの上で待っていたそうです。凄ぇ・・・。
お次はポールの軍隊時代とその後。
徴兵で軍隊生活を経験したポールですが、兵役に入る際、家族以外にそのことは知らせてはいけなかったそうで、家族もそのことを漏らしてはいけなったそうです。そのため当時真剣に結婚を考えていた女性と別れることに。ポールと連絡が取れず、家族も教えてくれないために別の男性と関係を持ち、ポールが兵役を終えたころにはその人は妊娠して、結婚していたとか・・・。
で、兵役中は軍が衣食住を提供するので、給与は無し。
時々野外での作業に駆り出されたとか。そしてそんな時は兵舎に帰着後、真っ裸で検査されたそうです。で、ある野外奉仕の日、タバコひと箱をゲットしたそうで、その時どうやって検査をやってのけたか実演(真っ裸になっていません)してくれました。その時息子も一緒に聞いていたんですが、聞き入ってましたね。そのあと、ポールの実演を真似してました。
さて、本来兵役は2年なんですが、ちょうどポーランドが共産主義から資本主義に代わり、ポールの軍隊生活は約1年で終わりました。
地元に戻り、久しぶりに友人たちと出かけようとしたら、自分の服、下着も弟たちが使っていて、見かねたポールの父親がスーツを貸してくれたのはいいけど、オレンジ色の時代遅れのものだったとか。可哀そうに・・・。
さてさて、共産圏といえどもそれなりに娯楽はあったようで、子供の頃にはテレビで『将軍』を見れたとか。漠然と日本に憧れを持っていたから、まさか自分に日本人のパートナーができるなんて!と言っておりました。
また、週末には町や村を巡回してディスコが開催されていたそうです。
ポールも友達とよく行ったそうですが、一度行かなかったことがあると・・・。
ディスコが開催される町の手前まで行ったら、友達から「今日はいかない方がいい」と止められ、理由を聞くと「お前の彼女たちが来てる。鉢合わせになるぞ。」と。
聞くところによると当時5人もいたそうです。凄ぇ・・・。
ただし、その5人とも清い関係で終わったんだそうです。
「へぇ。モテたんだねぇ。」と茶化すと「うん、昔はね。」って・・・。自覚あるんだ。
今でもかっこいいおじさまって感じですよ。眼鏡かけた「ウォーキング・デッド」のニーガンって感じです。
で、調子こいて訊いてみた。今まで付き合ったり、迫られた数を。
ざっと30名ちょいいました!凄ぇ・・・。
それなら結構“経験”してるんじゃないかと思いきや、成功にいたるまで、何度か失敗してるし、一度は夜の踏切付近で挑んだら、なかなか出来ず、2~30分経過。そして「ちょっと!あんたたち何モタモタしてんの!」というおばさんの怒鳴り声が飛んできたそうな。
その当時、遮断機の開閉は手動で、そのおばさんはその遮断機開閉のコントロールしていた建物からポールたちの様子を見ていたようです。
ちなみにそのおばさん、その数年後のポールの結婚披露宴でゲストの一人だったそうな。
で、彼の妻になった人はその時の彼女ではなかったので肝を冷やしたそうな。
女にモテまくった彼ですが、妻に選んでしまったのがアルコール大好き、浪費癖があって、家事・育児怠りがち、でも他人にはすこぶる評判がいいという人でした。
いやぁ、既視感満載。
数々の経験、失敗、後悔で色んなことを学んだ人、それが現在のパートナーです。
お互いの育った環境がかなり違うけれど、働いて自立するとか、家族との語らいとか、興味があることを学んで活かす等々の価値観は共通するところがあり、この人となら共に学んで進んでいける!という感じがします。