一日中何か起きないか心配をしていましたが、何も起きませんでした。

 さて、1989年6月4日は天安門事件のあった日。中国に関係のあった方々には忘れ得ぬ日だと思います。

私は、その日は、中華人民共和国陝西省西安市に建設、オープンをしたホテルの日本事務所で仕事をしていました。その日以前から、中国の情勢というものが日本のメディアを通じて報道されておりましたが西安はそれほどではないと言うことでもありました。が...、ご承知の通り。

 夜遅くまで事務所におり、色々と情報収集がメディアしかない時代。一般民間人には、それ以外の情報は入りません。ヤキモキしながら、テレビを見たり新聞情報を待ったりでした。しかし、現地の私の職場のホテルからはあまり緊迫した感じではないのが唯一の救いだった記憶があります。

 さて、今回6月4日を迎えてというよりも、この日の周辺で、色々と米中関係が怪しいことと、米国内情勢が怪しいことと、なんともいろいろなことが起きていて私の頭の整理がつきません。

 まず、先の中華人民共和国の全国人民代表大会で、香港に「国家安全法」導入方針決定という意味合いのニュースがメディアで頻繁に報道されました。ただし、正確な全人代での採択内容がわかりません。

 方針の採択はわかりましたが、それ以外の詳細についてがわからないのです。

 それなのに、日本国内の右側の方々は、けしからん。と。

 そうなんだろうか?

 まあ、それはそれとして置いておいて、米国が大変な騒ぎになっています。これに関連して、大統領が軍の投入を示唆したり、トーンダウンしたり、もう明らかに大統領選意識の言動で、ぐちゃぐちゃ感満載の情勢です。

 目に見えない人種差別。日常的に起きていると思いますが、中国を非難する右側の方々が、このアメリカにおける類似する事案についてはなんというのでしょうか?少々気になるところです。

 さて、繰り返しのご紹介になるのかもしれませんが、中国との関わり方に関して、今まで、日本国内ではあまりというか全くなかったと思われる、視点で、情報発信をしている中川博士の動画です。

 中国を知らない方々にはピンとこない部分があるのかもしれませんが、動画中でも次のようにおっしゃっています。

 私も全く同じような考えを持っていますので、再度ご紹介をさせていただきます。



 香港問題に関して考える上での考察です。

 チャイナ一般大衆は、そもそも民主化の便益を知らない。またインテリでも民主化について昨今の民主主義国の世界情勢を考慮すると決して良いものでなく、むしろグレードアップした社会主義よりも下位なものと考えている、と僕は思います。

 まずはこれです。これが、人権重視派の国々にみえるような「国」が、あるいは「方々」が言うところの「民主化」の話の部分ですが、中華人民共和国の人民は、何もかもが民主的というのはなんなのか?と単純に疑問符をつけてるよということです。

 つい数年前までは、中華人民共和国人民が海外に出るにも、共産党員がお目付役で必ず同行して、全行程において監視の目があったような部分がありますが、今はどうでしょう?あの中国人たちの銀座での振る舞い。あるいは各観光地での振る舞い。見てお分かりの通り、監視なんてされていません。ということはどういうことかおわかりでしょうか?香港の銅鑼湾書店事件というのがありました。中国国内では規制が厳しくてとても読めないような書籍を販売してた店主が、いつの間にやら中国に連行されていた事件ですが、もはや一時代前の話のような感があります。

 と申しますのは、銀座をはじめとする各地において観光を楽しむ中華人民共和国人民の姿。自由奔放で気ままですよね。多くの日本人がしかめっ面して見ていることなどお構いなし。

 彼らに共産党員のお目付役なんてついていません。もちろん我が国は外国人の安全を保証しながら自由に楽しんでもらう体制になっています。中国語のフリーペーパーを始め、中国人向けの情報はあふれかえっています。ということは?中国に対するネガティブな情報もポジティブな情報もなんでも「情報」を手に入れようと思えばいくらでも入手可能な国が日本です。

 天安門事件でこれこれこういうことがあって、これだけの人が人民解放軍や政府によって「殺された」と記述しているものがあっても、現代中国の人民たちは「無関心」か「無関心」を装うだけです。

 没有関係。と言う言葉を彼らはよく使います。もっと正確に書くと「我没有関係」ですかね。「私は関係ありません。」です。

 今はコロナで中国人はいませんが、戻ってきたら、全く同じです。彼らは香港の問題も天安門事件も「私は関係ありません。」なのです。そして、そんなことより、セイコーの超高級時計を買いたいが専門ショップはどこだ?日本で最高の寿司が食べたいがそう言う店はどこだ?と言う感じで、もはや、個人の所得が増え、経済活動がほぼ完全に近い形で自由になり、政治は政治に関わる者がやっておいてくれ。という状況。

 ある香港駐在をしていた方の論評をYouTubeで拝見しましたが、同じ時期私も中国の仕事に関わっていました。しかし日々刻々と、時々刻々と中華人民共和国は発展しているという意識がないこと。発展という言葉に語弊があるとしたら、「変化」しているということを自覚しておかなければなりません。このYouTubeで香港の専門家のように語っていた方は、確かにあのときはそうだったよ。ということを今でもそうであるかの如くおっしゃっていました。違います。もうすでに大きく変化を遂げております。

 以前にも書きましたが、上に政策あれば下に対策ありの国ですから。

 昨日、上海の友人から写真が送られてきました。

 直感的に思ったのは、香港はとりあえずどうでもいいんだな。ということです。どうも試験的に自由貿易地区を作るようです。上海にです。話がだいぶそれますが、今香港のことをメディアで論評する方々は、「国際金融センターとしての役割」について述べます。シンガポールに取られちゃうよと。

 私は、いくつかのオプションがあると思うのです。

 一つは、隣の広東省深圳市と一体化させちゃう。もう一つは上海です。私が中国の仕事から離れたのち「浦東」が大発展しました。空港もでき、むしろ街の中心となったようです。
 
 私は上海市にあるいは深圳市に香港を再現することはいくらでもできると思っています。一党独裁ですから、国が決めるだけの話ですから。

 なぜか?これは中国の友人たちと話をしていて、あるいはアメリカに営業に行った時もそうですが、日本の意思決定の時間と、海外における意思決定の時間とでは明らかに時間軸がずれていってしまうくらい違います。そんな中で、中国の改革開放政策における時間軸というのは半端ない速度なのです。

 彼ら中華人民共和国人民だけなのかでかい大陸に住む国民はみなそうなのかわかりませんが、とりあえず走り出す。のが今の一般的な中華人民共和国人民です。(笑)。これは民間に限らず政府もです。もちろん政府の方が慎重ではありますが、あとからなんでも理由は取ってつけるような国民性ですから、なんのことはないのです。

 最近の私の友人は、「長谷川ね、そうはいうけど、やってみないとわからないでしょう。」が口癖のようです。

 ですから、香港の一国二制度問題もそのうち収まると思うのです。適当な落とし所を見つけて、甘い汁を与えて。そんなの詭弁だという香港の民主派を一部でも黙らせてという感じでしょうか。

 次の中川論がここまで書いた私の考えと一致するところです。

 チャイナは「体制側」は当然ながら、一般大衆がふわっとした民意として民主化を望んでいないという、現状認識を我々はふまえた論理構築が必要。→圧政から助けてあげる国外勢論は成立せず。

 そうなのです。私が駐在していたときのような「圧政」はもう全くと言って良いほどないでしょう。むしろ自由じゃないですか。一部、ほんの一部の言論や活動がいけないだけで。

 私が中国の仕事を離れ始めてすぐですが、1990年代には、友人から「長谷川、何か欲しいものは無いか?中国では今、金さえ払えばなんでも手に入るぞ。トカレフか?覚醒剤か?」と言われました。もちろん比喩的表現でしたが、彼は日本語も上手な友人で、なんでも話せる仲間でしたから、冗談っぽく言っていたのですが、もうその頃から「経済的自由」はあったと思いますね。

 雑誌の正論の7月号を読みました。これには、台湾の陳水扁元総統の手記が掲載されています。国民党一党独裁政権という書き方になっていますが、台湾が一党独裁の圧政から解放されたというモデルというか成功例という意識が西側諸国あるいはアメリカにあるのでしょうか?というより、アメリカにあるのでしょうね。

 その微妙な関係から、どうしていくかの問題であって、他の西側先進諸国はアメリカのやっていることでしょう的視線を投げかけているという感がしないでもありません。

 今回のG7の開催をめぐってドイツに振られちゃったのも、なんとなく見えすいた中国包囲網に巻き込まれるのは嫌よ。という感じと、あんたの大統領選挙に協力するつもりはないよという感じが、なんだかこの米中経済摩擦の裏側に見え隠れというか表だってというか見え隠れしている中で、G7構成国は冷ややかな気がしますね。

 ついこの間まで「アメリカファースト」って言って、TPPの破棄やら最近はWHO脱退やら、国際秩序を壊そうとする振る舞いはやはり眉を顰めざるを得ないでしょう。

 どこも自国の利益を最大限に考えたときにもう中華人民共和国という国は避けて通れない国であり、どう自国の利益に結びつけるかが最優先であり、中華人民共和国国内問題である西側的「人権」は、自分たちで解決して貰えばいいじゃん。って感じに見えますね。

 だから日本の右側の人も香港問題はねえ〜って感じで捉えた方がよろしいのでは。尖閣諸島領域の問題は断固対応しなければいけませんけどね。分けて考えないと。