この質問に答えるには、以下の項目を考慮する必要があります。

 

1. 新型コロナウイルス感染症は、最近になって野生動物からヒトへ感染したと見られており、発生から3ヶ月ほどしか経っていないため、分からないことがまだ多くあります。

2. 現在までに(おそらく何万人もいると想定できますが)、新型コロナウイルス感染症を伴った終糸病患者は確認されていません。

3. 新型コロナウイルス感染症の症状は、主に発熱、頭痛、咳で、重症化すると肺機能の悪化で呼吸不全をきたします。

4. 新型コロナウイルス感染症はインフルエンザに似ており、多くの場合(80%)、軽症か無症状です。

 

上記項目を考慮すると、以下のことが推測されます。

 

1. 新型コロナウイルスの感染過程および咳(バルサルバ手技)によって頭蓋内圧が上昇し、小脳扁桃下垂(アーノルド・キアリI型症候群/キアリ奇形)の症状である頭痛が悪化することがあります。

2. 新型コロナウイルスの咳は、インフルエンザの咳と同様、つまり一般的にはわずかではあるものの、脊髄空洞症の症状を悪化させることがあります。

3. まれに、新型コロナウイルスによる肺機能への影響が、終糸病における脳幹の呼吸中枢への影響を増加させることがあります。また、重度の特発性脊柱側弯症による拘束性肺疾患を悪化させる可能性があります。

4. 今後、終糸病と新型コロナウイルスの関連性に注視しながら、新型コロナウイルスが神経系や心臓などの他の器官に影響を与えるかを見ていく必要があります。

5. 一般的に、終糸病が新型コロナウイルスのリスクを増加させることはありません。

 

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