林太郎です。
より自然な演技ができるようになるために、今までとは全く違う視点で自分の演技に向き合っています。
最近思うのは、演技というのはより自然なものであるほど人に伝わりやすいものになるのではないかという事です。
自然な演技
= 人に伝わる演技です。
台詞をもらって(台詞が無くてもですが)、台詞に合わせた演技を"それなりに"することは、たぶん誰にでもできることですが、この場合の演技は表面的で奥行きのない薄っぺらいものだと思います。
観ている人は、「あぁ、いまこういう演技をしているんだな」という具合に多かれ少なかれ客観視している状況があって、その演技と自分の体験なり想像が一致すれば納得がいくという感じではないかと思います。
でも、自然な演技というのは観客の客観性が完全になくなっている状態で「魅入ってしまう」ということが起こるはずです。僕がいま目指しているのはこういう演技です。
そのために最も必要とされるのは何だろうか?
ここを突き詰めていくと、感情の動き、つまり【喜怒哀楽】ではないかと思うようになったのは映像作品作りの稽古を始めるようになってからです。
喜怒哀楽について改めて考えてみると、そういえば誰もが普段の生活の中で常に体験している感情だと思います。
誰かとの会話の中で変化することもありますし、テレビやラジオを観ていたり映画を観ていても変化します。何もしていなくても過去のことを思い出して変わることもありますね。
ようするに、たとえ状況は違えども、誰もが感情を持っていて、それは喜怒哀楽として変化して体験されているということです。
この共通点があるところに観客を魅了する演技 = 自然な演技ができるようになる突破口があるのではないかと思います。
当たり前といえば当たり前なのですが、客観的に分解して考えてみると今まで見えていなかったことが見えてきたりするものです。
ところがこれが演技の難しい所で、役者には台本が渡されます。そこには自分が体験したこともないような役の設定があり発したこともないような台詞が書いてあったりします。
この段階で台詞を話すときに経験が浅い場合は、こんな感じかな?という程度の想像で言葉を発するわけですが、演技の本質を掴めていないと台詞だけが先行して感情がついて来なくなってしまいます。
台詞やストーリーの流れに合わせた自然な演技をするために役者に必要なのは、その人物の履歴を想像して人生を辿ることです。擬似体験です。
演技が上手い人はこれが瞬時にできてしまうのだそうです。
こういう頭の切り替えとかリテラシーとか想像力というものが僕には不足しているので、意識的に訓練を積み重ねていかないと自然な演技には到達できなさそうです。
映像作品の場合は舞台に比べて細かな表現が映し出されますので、演技しようとすればするほどオーバーアクションが目立って台無しになってしまいます。
宝塚の女優さんがテレビドラマに出演したら自分だけが浮いてしまって大変だったと言う話を聞きますが、僕も似たような感覚で、自然な演技をしているつもりなのにそうは見えないと言われてしまうのは擬似体験が足らないのと、細やかな表現力が乏しいからだと思います。
演技の道もこれまた険しきものなり、です。
でも、演技に向き合うようになってからは良いこともあって、人を笑わせたり自分自身が笑うことが増えたような気がしています。
というのも、僕は「笑い」の演技が特に苦手でした。なぜかと言うと、自分が笑っている時を思い出せないので演技に反映できなかったのです。
これって何だか寂しいことだなと密かに思っていましたし何とかしたいと思っていました。
たぶん僕は、根っからのひょうきん者で人を笑わせることは好きな方だと思うのですが、"大人社会"の中で変なプライドが邪魔をするようになってそういう自分を抑えて過ごすことが増えていました。
でも、演技で喜怒哀楽を表現するのにこのままではダメだという思いがあったのだと思いますが、ある時期から自分を解放するようになっていきました。
今でも変なプライドはありますし、特定の人の前では相変わらずな自分もありますが、自分って本当はこうだよな、、という場面も増えてきて、そういう時の自分が好きで心地よく感じますし、一緒に笑っている相手を見ているとハッピーな気分になれます。
こうした経験を積み重ねて、しかもその経験をいつでも振り返られるようになれば「笑い」の演技はたぶん楽に自然にできるようになると思います。
演技は、簡単なようでいて実はけっこう難しいと言いますか、奥が深いものだと改めて感じているのですが、「演じる技」と書く如く的確に人に伝えるためには技術が必要なのです。
精進あるのみです。
以上。
河辺林太郎でした。
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