里親決定!part13  | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

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車を走らせている間、思わず

涙をこぼしていた 私の頭の中に、

ぽかんと浮かんできたイメージ。

 

 

 

 

 

 

赤いリボンをかけた大きな箱。

 

 

 

 

 

 

一緒に浮かんできた

昔読んだある本の一節。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“present” は “pre-sent” 。

「pre=予め」「sent=送られた」 という意味。 

 

神様は、その人に必要なものを、

もうすでに贈っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェリーが出産して、

まだ間もない頃。 

 

 

うちの裏手にある台所の

ドアを出た辺りに、 普段は

見かけない猫がいたことがあった。

 

 

 

私を見ても、警戒する様子も

逃げる様子もない。

 

それどころか、

とても堂々としている。 

 

 

 

ちょうど、そこにチェリーも

居合わせたのだが。 

 

 

このふたり。 

 

 

威嚇し合うこともなく、どちらからともなく 

近づくと、お互いの鼻をくっつけた。 

 

 

どうやら、挨拶しているらしい。 

 

 

というより。

 

私には、ふたりが何かを

話しているように見えた。 

 

 

おまけに。

何だかこのふたり。

 

 

とってもいい雰囲気を醸している。 

 

 

ふたりを取り巻く周りの空気が、 

そこだけ柔らかくて暖かい感じがする。

 

 

 

 

 

 

ピンときた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子猫たちのパパなのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間違いない。 

だって、この猫の毛並み。 

 

花ちゃん、ゆめちゃんと同じだ。

 

 

 

 

 

 

チェリーが無事に出産したかどうか。 

 

産まれてきた子供たちが、

元気なのかどうか。

 

様子を見に来たに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ。子供たちはちゃんと産まれた? 

君の体は? 大丈夫?」

 

「うん。みんな元気に産まれたよ。私も大丈夫。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いの鼻をくっつけながら、

きっとふたりで こんなよう会話を

していたんじゃないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

おばちゃん。

心の底から感動したわよ。

 

 

 

 

 

 

これが愛じゃなかったら、

一体何が愛だろう。

 

 

 

 

 

 

 

愛は贈り物。

 

この世に生まれてきたすべての存在に

平等に備わっている “pre-sent” なのね。

 

そのことを

確信した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間て。 

いくつになっても初体験があるものだ。 

 

まるで、それが生きている

醍醐味か証しであるかのように。 

 

今日まで何十年生きてきたとか、

もういい年した大人だなんてことは

全く関係ない。

 

 

そして。

 

人生初めての感情を

何度でも味わう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェリーとの出会い。 

5匹の子猫たちとの出会い。 

 

みんなと一緒に暮らしたこと。 

 

 

 

たくさんの初体験があった。 

 

 

 

居間の押し入れの上段の隅っこで 

子育てを始めたチェリー。 

 

 

邪魔してはいけないと思いつつ、

子猫たちに触りたくて、どうしても

押し入れの奥まで手を伸ばしてしまう。 

 

 

そんな私たちを

チェリーは黙って許してくれた。 

 

 

涙が出るほど可愛らしくて、

思わず身をよじるほど

愛らしかった子猫たち。 

 

 

怖がることも、疑うこともしないで、 

私たちに思い切り甘えてくれた子猫たち。 

 

 

 

 

 

今でも、折りに触れ、何かにつけては、

子猫たちとの楽しかった思い出を

家族で語り合う。 

 

 

でも。

 

 

実際には、笑っていられる

ことばかりでもなかった。 

 

 

 

 

 

 

 

大きくなって押し入れを出て 

居間で一緒に暮らし始めた子猫たち。 

 

 

産まれたばかりの頃とは違い、

チェリーもつきっきりで

子猫たちの面倒を見ることがなくなり、

 

子猫たちをうちに置いて

外で過ごす時間が長くなった。

 

 

 

 

私は内心、チェリーが育児放棄

したんじゃないかと怖くなった。

 

だって。

 

なかなか帰ってこないのよ。

あの人。 

 

 

 

 

チェリーが留守にしている間、

子猫たちが お腹を空かせているんじゃないかと

心配になり、 慌てて離乳食を買いに行ったことがあった。

 

 

あの時は、本当にハラハラした。 

 

 

それなのに。

外から戻ってきたチェリーママ。 

 

離乳食が美味しいらしく、

子猫たちと一緒に食べ始めたじゃないの。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと。チェリーちゃん!それ高いんだから! 

 自分のご飯食べなさいよー。」 

 

 

 

 

 

 

 

 

のんきな女だよ。

まったくもう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの頃は、毎晩

夜が来るのが怖かった。 

 

 

 

 

 

 

夜は居間で寝ていた子猫たち。 

 

夜中に子猫たちがいたずらして、

電気のコンセントを かじって

火事にでもなったらどうしよう...

 

 

 

 

 

 

 

昼間は昼間で怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

大きくなっていく子猫たちをどうしよう...

誰ももらってくれなかったらどうしよう...

 

 

 

 

 

 

元々が心配性で小心者の私は、 

あの頃、毎日何かしらに怯えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

今から思えば、あれは育児ブルー

だったように思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今晩もまた夜泣きしたらどうしよう...」 

 

 

 

 

 

 

 

子供たちを出産したばかりの頃、

よくこんなことを考えながら鬱々としたけど、

その時によく似ている。 

 

 

 

 

 

 

自分で産んだわけでもない

子猫のことでブルーになるって...

 

 

 

 

 

 

我ながら、臆病で嫌になる。

 

チェリーママは、美味しそうに

子供たちと離乳食食べてるのに...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局。

すべては杞憂に終わった。

 

心配性の私の不安の数々は、

どれもこれもサラサラと、

どこぞへと舞い上がっては散りぬる。

 

 

 

 

 

うちが火事になって

燃えることはなかったし。

 

チェリーは、ちゃんとうちに戻って来て、

母乳を飲ませてくれたし。

 

 

子猫たちはみんな、新しいご家族と

一緒に暮らしている。

 

しかも、どの子も

みんな里親さんに望まれて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

贈り物というものは、時として厄介だ。

 

特に。

贈り主が神様かもしれない場合は。

 

人間界の贈り物とは、

どうやら事情が違うらしい。

 

普通、贈り物はもらった時点で

嬉しいものだけど、神様からの贈り物は、

必ずしもそうとは限らない。

 

 

 

 

だって。

その贈り物には裏がある。

 

まあ。もちろん。

表もあるけれど。

 

 

 

 

つまり。

陰と陽がある。

 

しかも。

 

陰の方が先に来ることも

少なからずある。

 

 

 

 

もらった時点では、どう見ても、

ただのトラブル、心配事や悩みの種。

 

あるいは、一見、無知や無自覚、

自業自得がもたらした結果の様に

見えることもある。

 

 

 

 

その贈り物にはリボンがかかっているらしいが、

もらった側からすると、なにかのバチが当たったか、

嫌がらせとしか思えないことも多いからタチが悪い。

 

 

 

 

 

 

悪趣味ね。あんた。

辛気臭いし、文字通り、陰気臭い。

 

 

 

 

 

辛抱して。耐えて。堪えて。這って。

 

歯食いしばって暗いトンネル抜けた先に、

やっと光が射すってか?

 

 

 

 

 

 

何十年前の演歌だ。

 

 

 

 

 

 

 

でも。

陰極まれば即ち陽に転ず。

 

 

止まない雨はない。

明けない夜はない。

雨降って地固まる。

 

 

 

 

 

「陽陰」ではなく 「陰陽」とは、

よく言ったものだと思う。

 

 

 

 

 

まず闇があって、

そこを抜けると光が見える。

 

人が母体から産まれてくる過程と同じだ。

 

暗い産道を抜けると、

光のある世界へと産まれ出る。

 

 

 

 

これが、何かが誕生するための

順番なのだろうか。

 

あるいは。

 

もしかしたら、法則なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人は、この世に生まれてくる前に、

誰や何と出会い、どんな経験をするかの

青写真を予め自分で決めてくるという。

 

もちろん。

 

あくまで青写真であって、宿命のように、

もう決められていて、変えられないという

ものではないらしい。

 

 

 

 

 

例えば。

男に生まれる。女に生まれる。

 

これは宿命だろう。

生まれた後では変えられない。

 

 

 

 

でも。例えば。

道で転んで膝を擦りむく。

 

 

 

 

これが青写真だとして。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。膝を擦りむいただけで済んで良かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

こう考えるか、

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。転んで膝を擦りむくなんて、なんてついてないんだろう。」

 

 

 

 

 

 

 

こう嘆くか。

 

 

 

 

 

きっと、これが青写真という

未完成の構図の分かれ道。

 

別名・運命と呼ばれるものの

核心なんじゃないだろうか...?

 

 

 

生まれる前に作った青写真は、

生まれた後に自分で完成させる。

 

 

 

もちろん。

 

世の中には、変えられないことが

たくさんある。

 

自分の意志や努力や行動だけでは

どうにもならないことが。

 

たとえ、自分が当事者の一人であっても。

 


40数年生きてきて、そのことは経験済みだし、

承知しているつもりだ。

 

 

 

 

 

それでも。

青写真の話を信じるとしたら。

 

 

 

 

 

人生で経験するすべてのことは、

自分で自分に予め贈っておいた

プレゼントなのかもしれない。

 

 

喜びも悲しみも。

笑顔も涙も。

 

 

箱を開けたその時は、

それが贈り物だと気がつかなくても。

 

 

あとから振り返ってみると、やっぱり

リボンがかかっていたことに気がつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

この世には、愛がある。

 

しかも。

 

ただあるだけじゃないらしい。

 

 

どうやら、大気中に満ちていて、

この地球を動かす原動力に

なっているらしい。

 

 

そのことを。

 

 

チェリーや子猫たち。

子猫たちのパパ。

 

里親になって下さった皆さん。

里親にご応募くださった皆さん。

 

 

 

全員で束になって、

総体当たりでもって、

 

 

 

 

 

 

 

「これでもか! ええい!これでもまだ分からんのか!」

 

 

 

 

 

 

 

みんなで寄ってたかって

タックルをかましながら、

 

しつこいほど辛抱強く、

私に教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

あれが贈り物じゃなかったら、

一体何が贈り物だろう。

 

 

 

 

 

 

 

子猫たちとの経験には、どれもこれも

きれいなリボンがかかっていた。

 

 

 

 

神様が贈ってくれたのか。

予め自分で贈っておいたのか。

 

 

あるいは両方なのか。

 

 

 

 

 

 

誰が贈ってくれたのか、

分からないままだけど。

 

 

 

 

でもね。

そんなことはどうでもいい。

 

 

 

 

だって。

 

私は間違いなく、

贈り物を受け取ったから。

 

 

 

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 子猫たちがみんな里親さんの

 お宅にもらわれて行った後。

 

 

 子猫たちがよく遊んでいた部屋の隅。

 子育てをしていた押し入れの奥。

 

 

 チェリーは、子猫たちの姿を探して

 数日間、うちの居間をうろうろしていた。

 

 

 子供と離れ離れになった母親の気持ち。

 自分に置き換えてみれば、よく分かる。

 

 

 ごめんね。チェリーちゃん。