楽になるには"コツ"がある

広島県東広島市にある「すじと骨の けんびきや」のブログです。

【修正・再編】ケンビキいろいろ

※今回は移行前のブログ(現在は非公開)に書いていた記事を修正・再編したものとなります。
※諸事情により「○引き療法」は正表記ではなく伏せ字としてあります。
※その他いくつかも伏せ字にさせていただいています。

 さて、今回は「ケンビキ」について色々と書いてみたいと思います。
 けんびきやでは20202月現在、「○引き療法」と「讃岐骨法」という二つの手技を提供(※20209月より讃岐骨法」を軸として補助で「手技による筋肉の調整」を提供)しています。
 「○引き療法」は「ケ○ビキリ○ウホウ」と読みますので、「ケンビキ」=「○引き」のことを書くのかというと……それだけではありません。
 今回はそれに合わせて「けんびき」についても書きます。
 え? 何か違うのかって?
 それがね、違うんです。漢字で書いた「○引き」とひらがな表記してる「けんびき」って。

 まず「○引き」ですが、これは柳生○眼流という武術流派の活法が元と言われています。その「○引き」の中から現代の状況に合わせて整理、あるいは新たに加えられた技術体系を合わせて「○引き療法」と呼びます。
 現在は「○整流法○会」で継承されています。
 「○引き療法」が表に出てきたのは2010年になります。BABジャパンから発行された『○引き療法入門』が出た年です。もう十年経つんですね。それまでは静岡と山梨を中心に一部の人間にしかしか知られていない技術でした。
 一部の〝地域〟ではなく〝人間〟と書いたのには理由があります。
 実は、広島でもこの「○引き」と同じと思われる施術を受けてた人がいたからです。その方は知り合いの会社の社長さんが山梨から先生を広島に呼んでいた、と話していました。
 遠く離れた地域であってもわざわざ呼んでくるということはしていたようなので、まさしく「知る人ぞ知る」類のものだったのでしょう。

 ちなみに「○引き」は「筋○き」(スジビキ)という言い方をする場合もあります。面白いのはこの〝スジビキ〟であれば広島でもやっていた人がいたかもしれない……ということです。
 以前、お客さんに実家がお寺だったという方がいらっしゃいました。その方が子供の頃(60年近く前)、父親である住職さんに「〝スジビキ〟をするので人を集めてもらえないか」とお願いしに来た人がいたらしいのです。
 残念ながらこの〝スジビキ〟が「○引き」と同じ「筋○き」であるかは分かりません。ですが60年近く前には〝スジビキ〟をやる人が広島にもいたことになります。
 「○引き」は武術流派の活法が元になると書いたのですが、実は広島は古くからある武術流派が結構残っていたりします。かく言う私も広島の坂町に伝わる「渋川一流」という流派を車地善光先生より習っていた事があります。現在は離れてしまいましたが。
 活法の内容は流派ごとに違いますし、その流派の秘伝となります。ですが活法まで継承している流派なら同種のもや、名前が似たものがあっても不思議ではありません。
 件の〝スジビキ〟をする人もどこかの武術流派を修めた人だったのかもしれませんね。

 「○引き」についてはこのくらいにしますが、もっと色々知りたいという方は「○整流法○会」の方へ問い合わせてみてください。或いはお近くに筋整流法の道場があればそちらへお尋ねになるのも良いかと思います。
 定期的に説明会を開いているところも確かあったハズです。興味を持たれた場合は「○整流法○会」ならびに各道場へどうぞ。

 では次に「けんびき」についてです。
 ひらなが表記で「けんびき」とした場合、いくつかの意味が出てきます。「○引き」のような固有名詞ではなくなるんですね。
 「けんびき」という言葉が一番よく知られているのは香川県と山陰の一部地域です。
 そうです。「けんびき」とは方言なんですね。
 また、「香川県と山陰の一部地域」という離れた地域で同じ方言になっているのには「丸亀では石州(石見銀山)出身の按摩師が多くけんびきは共通語でした」という説があります。

 方言としての「けんびき」は部位で言えば、肩甲骨の間のことを言う場合が多いです。その部分がだるいと「けんびきが凝った」などという言い方をします。他には頸から肩にかけての部位も言うこともあります。
 要は(地域や人によりますが)首から肩周り全部を示すんですね。
 さらにはそこから転じて「けんびきが凝った」状態で起こる症状そのものまで「けんびき」という言い方をする場合もあります。
 たとえば〝咳〟がでれば「けんびきかぜ(けんびきせき)」。〝口内炎〟ができれば「けんびきができた」。果ては〝目のけいれん〟や〝ものもらい〟まで。地域によっては体の状態が「けんびき」のひと言で全部通じてしまうんです。それくらい「けんびき」と言う言葉はその地域に浸透していたんですね。
 面白いのは「けんぺき」が訛ったものが「けんびき」になったという話があることです。「けんぺき」は「痃癖・肩癖」と書き、方言の「けんびき」とほぼ同義になります。

 そして「讃岐骨法」にも「けんびき」という言葉が出てきます。
 けんびきやで提供している「讃岐骨法」は「丸亀骨師堂けんびきや」の立石先生のものです。ちなみに「讃岐骨法」も武術の活法由来と言われています。
 「讃岐骨法」は明治時代には「天下無双体術」と名乗っていました。これは武術としてではなく整体術としてですが、武術的な技も立石先生は知っているようです。一度見せてもらった技は捕手術のような感じでしたので、名前からして天下無双流の系統なのかもしれません。

 ところで、ここで「おや?」って思った方います? 「丸亀骨師堂けんびきや」は「けんびき」が方言として伝わった丸亀(香川)にあるんだ……って。
 ということは「讃岐骨法」で使う「けんびき」も方言としての「けんびき」とまったく同じなのかというと……少し違います。
 「讃岐骨法」では〝背骨〟の両脇にある筋(スジ)を「後ろけんびき」と言います。わざわざ「後ろ」と言うからには「前」はあるのか?
 はい。「後ろけんびき」の他にも「前けんびき」と「横けんびき」があります。
 これは「讃岐骨法」独自の体の捉えになります。また、背骨の捉え方も独特です。
 「讃岐骨法」では背骨を頸椎・胸椎・腰椎の7・12・5ではなく7・7・5・5のように胸椎の十二本を分けて考えます。
 この背骨と後ろけんびきという体の捉え方が「讃岐骨法」の施術のポイントの一つになります。

 こうした体の捉え方は「○引き療法」にはありません。少なくとも私の学んだ段階ではそうです。
 つまり同じ「ケンビキ」という響きの言葉を使っているのに「讃岐骨法」と「○引き療法」は考え方が全く違うのです。
 これってちょっと面白いと思いません? 「ケンビキ」と言う言葉が体の部位や症状を示すこともあれば、全く違う技術のことを言っている場合もあるってことになります。
 日本語は同音異義語の多い言語です。同じ音の響きでも、その言葉が意味するものはまったく違っていたりします。
 個人的にはそれ故に、言霊が強く働く言語なのではないかな、と思うのです。
 言葉はホント面白い。
 もし他の〝ケンビキ〟を知ってるって方がいたら、こっそり私に教えてください()

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