私はアルコール依存症で精神病院の閉鎖病棟にいくたびか入院しました。
この記事は、精神病院で起こったことや体験談を書いたものです。
Lさんは筆者より少し上の50代前半。
メガネをかけ天然パーマの髪を伸ばし、ヒゲも伸ばし、まるで中島らも氏のような風貌だった。
何かクスリでもやっているような出で立ちなのだ。カタギには見えない。
彼は自分を「アル中」だと言った。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
ヒゲぼうぼうのアルコール依存症は断酒会にも来た
L氏はうちの断酒会に来てくれたことがある。
しかし、ロン毛時代のジョンレノンのような風貌から、うちの断酒会メンバーは、陰で
「ヒゲはどうした?ヒゲは来んのか」
と「ヒゲ」などとあだ名していた。
精神病院・閉鎖病棟にヒゲと入院することに
彼とは精神病院の閉鎖病棟で同じフロアになった。
年が近く、ロックの音楽や趣味の話が合い、意気投合した。
聞くところによると、L氏はありとあらゆるところで飲んでいたようだった。
ある日は、スーパー・フジの4階にあるフードコードでお好み焼きを食べながらビールをたらふく飲んだ。そして彼は泥酔した。
帰り際、1階でヤカラのようなニーチャン率いるヤンママとすれ違った。その時に肩がぶつかった。
酔っぱらったL氏はヤカラのニーチャンに文句をつけ、大喧嘩になった。
そして、スーパー・フジを出入り禁止になったらしい。
スーパーを出禁だなんて、初めて聞いた。
どこでどんだけ飲んどるんや、アル中の鑑やないか、といいたい。
酒は飲むは、喧嘩はするはのアル中
仕事は清掃業をしていた。
部下を連れて、あちこちのビルの清掃にまわっていたらしい。
ある日、上司と意見が合わず言い合いになった。どちらも折れず、上司と大喧嘩になったらしい。
結局、その喧嘩が原因でその職場をやめ、別の会社に移った。
ガタイがでかいわけではない、私より2まわりほど小柄なのだが。沸点が低く、喧嘩っ早いらしい。
精神病院にアルコールを持ち込むには、その方法
閉鎖病棟に入院中、L氏は外泊できることになった。
仲の良い患者たちが集まって、閉鎖病棟に酒を持ち込む方法について、話しあいをした。もちろん、「冗談で」だ。
ペットボトルは開封されているとチェックが入り、持ち込みNGとなる。
お茶のペットボトルの底に穴をあけ、ウィスキーと入れ替えて穴を閉じるか、だとか。
お茶をウイスキーに入れ替え、フタを接着剤で止めておくか、だとか。
シャンプー・リンスはチェックされないので、きれいに洗って酒と入れ替える、とか。
半分冗談の半分本気だったが、わいわい言いながら作戦を練った。
そしてL氏は外泊に出発した。
翌日の昼、L氏はなんと酔っ払って帰ってきた。
明らかに酒臭いし、テンションが高い。女性看護師にベラベラと喋りかける。
これはバレる、ヤバイ・・・・・・実際バレていたのだろうが、どうやら看護師が黙認してくれていたようだ。
本来なら保護室に閉じ込められるところが、何事もなく助かった。
病院に持ち込んだアルコールを皆に振る舞う
そしてお土産はなんと、ファブリーズ容器に入れ替えたウォッカだった。それをを皆にふるまっていた。
あの時の話は冗談じゃなかった!本気でやりやがった!
何か月も入院している精神病院・閉鎖病棟の中で、ウォッカはありがたい!
みな飛びついて飲んでいた。
私ははバレて保護室行きが怖いので飲まなかった。
ひとりで断酒していた
退院して、私が通っている断酒会に誘うと、彼は来た。
会がいつもと違う雰囲気になり、L氏中心のL氏ワールドが繰り広げられる。
2、3回来たが、それ以来顔を出さなくなった。
たまにラインが入ってくるので、ラインで会話はする。
驚くことに、酒は飲んでいないようだった。
独り暮らしのアル中がどういう変化があったのか、ちゃんと断酒していた。
スーパー・フジの出禁も解いてもらったらしい。
ヒゲでロン毛をやめてカタギに
ある日、街中でバッタリL氏と会った。
スーツを着て髪をちゃんと切り、ぼうぼうだったヒゲもちゃんと剃っていた。
ホームレスみたいな風貌が、小ざっぱりしたサラリーマン風になっていた。
酒はやはり飲んでいないという。そして、彼女ができたという。
やはり、男を変えるのは女だった・・・・・・。
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