喫煙所で一服していると、ひょろっとした背が高いニイチャンが入ってきた。
白の長袖Tシャツを着ている。年は、30歳半ばか。身長は180センチ近いが、私よりは少し低い。髪は耳の横から剃ってあり、眉毛も剃ってギョロ目でイッている。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
精神科の、チンピラのような態度が悪い患者
彼はこっちをギョロっと見た。
チンピラ「ニイサン、名前はなんや」
私(おいおい、いきなりタメ口かよ)
私「マロ、ですが?」
カチンときたが顔には出さない。
チンピラ「マロさんよ、あんた□□組の〇〇さん知っとるか?」
私「はあ?」
どうやら、その筋(ヤクザ関係者)の誰かのことをいっているようだ。
私「カタギなんで、そっちに知り合いはおらんけど?」
どうやら、その筋の誰かのことを言っているようです。
チンピラ「ワシはその〇〇さんに紹介されてのう。〇〇さんにお願いして、□□組に行くんよ」
私「はぁ」
どうやら彼は「本物のヤクザ者に憧れる」チンピラのようだ。
しかし、目がイってるし、言葉は幼稚だし、見るから頭悪そうだし、そのヤクザ関係者の人もこんな役に立ちそうもないヤツはお引き取りくださいだろう。なんの病気かは分からないが、頭の中で「危険な患者」に分類した。
彼はヤンキー座りでタバコを一服し、そのあと、足元のタイルにペッとツバを吐いた。
喫煙所にはベランダや、灰皿に水が貯めてあるというのに、地べたのタイルに「ペッ」だ。
突然、「コラァッッッッッッッッ!」
とドスの効いた怒鳴り声が響いた。
本物のヤクザあらわる
静かなので気がつかなかっただが、ミカミさん(仮名)というもう老人に近い方が後ろで一服していた。ミカミさんは本物のヤクザ。現役か引退したのかまではわからないが、そのくらいの年だ。
ぱっと見、70歳くらい、小指はない。茶色から透明にグラデーションの、ヤクザ風サングラスをいつもかけている。頭は白髪混じりで角刈り。ミカミさんとは後に同室になるのだが、最初は怖かったので挨拶くらいしかしていなかった。
ヤクザでアルコール依存症なのだ。
同室になると、お菓子をくれたり、スーツのシャツをくれたり(といっても黒地に白いストライプのヤクザ風、どうやってもカタギに見えない柄のYシャツ)などと、面倒見のよいおじいさんだった。
その話は、また後にする。
「コラァッ!!」と怒鳴った後、「何回言ったら分かるんや!オマエは!床にツバを吐くなって何回も言っとろうがッ!!」ドスの利いた低い声で、カマす。
チンピラは、すぐに小さな声で「スイマセン、スイマセン、もう二度としません」と泣きそうな声で謝る。
ミカミ「オマエ、エエかげんにせえよ。次やったらブチかますけんのぉ」
ミカミさんはひとしきりオラぶ(怒鳴る)と、喫煙所を出て行った。喫煙所はシーンとし、本物のヤクザの圧倒的な存在感に支配されていた・・・・・・。
私(そっちの筋の人でも、年取るときちっとした人間になるのかな・・・・・・)
態度が悪いチンピラにキレる
ある日、コンタクトレンズを洗って納めるため、廊下の洗面台に立っていた。洗面台は、廊下の外側にあり、4つの洗面台が並んでいる。私はたまたま右から2つめの洗面台でコンタクトを洗っていた。
すると、背後に例のチンピラもどきが近寄ってくるのが鏡に移る。
チンピラ「どいて!」
私「またか・・・・・・」
今回で4回目。なぜか必ず私の後ろに立って、「どけ」と言うのである。前回までは「ハァ?」と思いながら、意味が分からず洗面台を譲っていた。
今、4つある洗面台に立っているのは私一人。左右には誰もいない。洗面台は十分に空いている。
再びチンピラは
チンピラ「そこ、どいて!」
と、当然のようにいいやがった。
私は趣味で格闘技をやっている。喧嘩しても、こんなヤツには絶対に負けない。
チンピラ「はよ、どいて!」
プチンと音がして、キレた。私は沸点が高くめったに怒ることはないが、この時は沸騰した。
私「オマエ、何言いよるならァッ! 他にたくさん空いとるじゃろうがッ!」
態度が悪いチンピラ患者に激昂した。しかし、廊下に響く自分の声に、戸惑う。
彼は突然の怒鳴り声に
チンピラ「あ・・・・・・、スイマセン、スイマセン」
と、謝まってくる。怒りは収まらない。また怒鳴る。
私「空いとる所を使えやコラァッ!」
声が廊下に響き渡る。
チンピラ「スイマセン、スイマセン・・・・・・」
彼は隣の洗面台に行き、手を洗った。
後に友人に聞いた話では、彼は単に「洗面台の右から2番目が大のお気に入り」だったとの事。たまたま、私も右から2番目を使っていた。ただ、それだけのことだった。
意味がわからない。何なんだコレは。
また、ここが精神病院だということを思い出した・・・・・・
アルコール依存症のヤクザとチンピラの態度 精神病院体験談
- ヤクザの人は、結構きちんとしておられます。カタギに迷惑をかけることはあまりないように思えました
- 妻は看護師ですが、ヤクザの(上の方の)方は、痛い治療でもぐっと耐えてなにもいわないそうです。看護師にも紳士的だったとのこと。ただし、部屋の外に2人ほど見張りの若い衆が立っており、その若い衆はいかにもヤクザで一般患者が怯えるため、それだけはやめてもらったそうです。
- 治療が痛いとギャンギャン言ったり、くだらないことで文句をつけるのは、やはりチンピラだそうです
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