後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その3 | 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

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後藤仁ブログ2~絵師(日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙)後藤仁の日本画・絵本・展覧会便り。東京藝大日本画卒,後藤純男門下。「アジア/日本の美人画」をテーマに描く。東京藝大,東京造形大講師。金唐革紙製作技術保持。日本美術家連盟,絵本学会,日中文化交流協会会員。

 2019年9月10日(火)~21日(土) 「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間) その3です。 

 

 5日目、9月14日(土)。朝食は、青海省・西寧の豪華ホテル「和頤至格酒店」の種類豊富なビュッフェをいただきました。その後、街をぶらつき冬虫夏草の店を見物。冬虫夏草を買いたかったのですが、あまりに値が高いので断念。前に絵本作家の長野ヒデ子さんに2本いただき、適当にスープにして食したが、こんなに高級品だとは・・・。 

 今日は皆さんで、西寧近郊、湟中の「クンブム(タール寺/塔爾寺)」見学です。クンブムはチベット仏教ゲルグ派六大寺院のひとつの名刹で、壮大で荘厳な寺院です。私にとっては、2012年の取材旅行で訪れて以来の、懐かしの超パワースポットです。ところが、前にきた時より、ずっと派手なチケット売り場になっており、時期にもよるのでしょうが、中国人観光客が20倍以上に増えていました。寺院内は写真撮影不可なので、僧侶や五体投地する人を、SM号スケッチブックに軽くクロッキー。 

 次に車で数時間移動し、中国最大の塩湖(琵琶湖の6倍という)「青海湖」に。ここから先は初めての地なので楽しみです。西寧郊外の道路沿いの食堂街で昼食を。青海省の麺類は美味しいです。 

 途中、車内からと車外で、SM号スケッチブックに山々を2枚クロッキー。青海湖辺りは標高が3700mを超えてきますので、ごく軽い高山病の症状(軽い頭痛、運動時の軽い動悸、意識が少しボワッとする、つばが泡立つ感じ等)が出てきました。私は富士山頂に登った時にも、チベット旅の時にも高山病の症状が出ましたが、これは体質によるらしく、体力・気力とも関係なく、変えられないもののようです。少しの高山病的不快感を感じつつも、身体は元気で、「青海湖」二郎剣景区の遊覧船を楽しみました。遊覧船を降り連絡バスに乗ると、バスの中の母子や男性をSM号に軽くクロッキー。 

 夕方になり(西寧辺りは日が長く、8時過ぎでも明るいです)、青海湖のほとりの「格日」と書かれた、この辺りでは最も立派なホテルにチェックイン。夕食はホテルの食堂へ。高山病にはアルコールとタバコは絶対禁物です。タバコは20歳頃に悪友たち(今は文星芸術大学で日本画講師をしている日本画家・中村寿生など)の勧めで1年間だけ吸っていましたが、完全に止めてからは、その匂いを嗅ぐだけで不快になります。絵本作家の夏目さんは大の酒好きで、最初に強い白酒で乾杯したので、不吉な予感がありました・・・(普段の海外一人旅では、酔っぱらうという行為は事件・事故に直結するとても危険な行為なので、酒は一切飲まないようにしています)。ここで編集者・絵本作家で絵本談議が始まりました。隣席の中国人グループが中国の強いタバコをプカプカふかしています。中国のマナーもここ数年、かなり良くなりましたが、この辺境の地は、良くも悪くも、まだまだ昔の中国のままです。軽い高山病に強いアルコールが入り、頭痛が増し、微熱が出てきました。しまいには、タバコの匂いが漂ってくる度に、1秒以内ですが一瞬気を失います~。せっかく真面目な絵本の話し合いをしていたのですが、もう絵本談議どころではありません。後半は頭がもうろうとし、考える余裕もありません・・・。 

 食事が終わると部屋へ直行。絵本作家の大島さんが先日から風邪のようで、コンコンと咳を連発しているので、私もその時フラフラしていましたが、風邪薬をあげました。大島さんは海外旅行は初めてという事で不慣れな様子ですので、旅慣れた私がホローするのは当然なのです。旅の道中は、助け合い精神が肝要です。 

 部屋に入ると、頭痛薬を服用してから、シャワーを浴びようとしましたが、かなり気温が低い上にホテルには何故か暖房設備がなく、既に体調がおかしいので、服を脱ぐとガタガタと酷く震えだしました。こんな妙な症状は、北海道の極寒の中で、極めてぬるい露天温泉に入った時以来です。これはやばいと思い、シャワーを浴びずに、手持ちの服を着れるだけ着込み(厚手の服を持っていません)、即座にベッドにもぐりこみました。ベッド内には保温シートのような器具が敷いてあり、それを付けて、それでも寒過ぎてガタガタ震えながらも、疲れからか、案外早く眠りに入りました。1時間程して目が覚めると身体は温まり、体調は既に快方に向かっている様子です。保温シートを睡眠モードに弱くして、またすぐに眠りにつきました。これまでにも海外・国内の旅先で、幾多の困難・苦難・疾病を乗り越えてきた私です。どんな時にどんな対応をしたら良いかは、心得ているのです。

 

湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 絵本編集者・作家の皆さんと 

湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 大金瓦殿 

湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 チベット僧と 

湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 如来八塔 

湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 

西寧郊外の食堂、青海省の麺は美味い!! 

青海省 「青海湖」 ミュージシャンのアルバムみたいで、なんかカッコいいね~。 

青海省 「青海湖」 

青海省 「青海湖」 

青海省 「青海湖」 

 

 6日目、9月15日(日)。朝、6時過ぎに目が覚めると、気分が多少良くなり、体調はまあまあです。高地にも1日で身体が順応してきたようです。2012年のチベット旅の時には、標高4000~5000mのラサ周辺で、最初の3日間は高山病に苦しめられましたが、その後は嘘のように体調が順応し、その後の調子は極めて上々でした。海外での過酷な一人旅では、常にトラブルがつきものですが、疾病を生じた時に、いかに早く体調を回復させるかが、死活問題・旅の成否を分ける事となるのです。 

 今日も一番乗りで朝食のビュッフェをいただきますが、食欲だけは低いままです。健康的な野菜・果物・牛乳等を軽く食べました。その後、ホテルの外を散策、朝の青海湖は気持ちいい~。 

 車で出発、今日は「茶卡塩湖」に向かいます。長距離の移動途中、青海湖畔を散策したり、ヤク牛の群れに遭遇したリ、チベット馬をSM号スケッチブックにクロッキーしたりしながら、車で進みました。ラサへの巡礼旅をするチベット族の家族に会ったりもしました。ここは異郷・・・、広大無辺の大地です。 

 昼食を道路沿いの食堂でいただきましたが、まだ、食欲だけは回復しません。軽い高山病の名残もありますが、常に車で移動しているので、運動不足でお腹がすかないという理由もあるようです。食事を早めに済ませると、この辺りは夜かなり寒いので、外の屋台で、大きな肩掛けを買いました。3か所の店で値段を聞き、一番安そうな店で交渉。少しまけてもらい、感じのいい肩掛けを2枚で70元(1元は約15円)で購入。ヤク牛の毛織物だと思っていたのですが、後でよく見ると、パシュミナ100%と書いています。パシュミナは高級品なので、逆に少し怪しくなりましたが、良いデザインの結構高品質な品物には違いありません。 

 「茶卡塩湖」に到着。南米のウユニ塩湖のように、一面のまっ白い塩と浅い水で敷き詰められた広大な湖です。中国はここをウユニ塩湖のようなインスタ映えスポットにしたいらしく、かなり観光宣伝をしています。確かに日本では絶対に見られない面白い光景ですが、中国の都会からの観光客が相当多いですね~。靴・靴下を脱ぎ塩湖に入ると気持ちいいですが、塩がザラザラで足裏が少し痛い。湖の中から、周囲の山々をSM号スケッチブックに、鉛筆・色鉛筆で10数分間スケッチ。 

 この日は、「茶卡塩湖」近くの「高原紅驿站」という名のホテルにチェックイン。この辺りでは一番立派な宿泊施設のようです。夕食は近くの食堂でいただいたと思いますが、まだ食欲が完全に戻らず、あまり記憶していません。 

 

「青海湖」 早朝の景色は印象的だ。 

「青海湖」 絵本・児童書編集者の唐 亜明さんと。この水たまりには蛙がいたよ~ 🐸。 

「青海湖」 ラサへの巡礼旅をするチベット族の家族と。 

「茶卡塩湖」 運転手にもらった顔全体マスクが大活躍。日除けにも砂除けにも。月光仮面みたい~、怪しすぎる~~ (-"-) 。 

 

 明日は車に長時間乗って、西寧の街に戻ります。素敵なチベット族のご家庭訪問も・・・。この様子はまた次回といたしましょう・・・・。 

 

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁