【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

めくるめく知のフロンティア・学究達 =057= / 渡辺佑基(27/53)

2020-07-03 06:10:40 | 浪漫紀行・漫遊之譜

地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

  驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基  

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

 伏兵アカマンボウの逆襲 =1/4= ◆◇

子供の頃は毎週月曜日発売の『ジャンプ』、水曜日発売の『マガジン』を首を長くして待っていたものだが、大人になり、研究職に就いてからは水曜に『PNAS』、木曜に『Nature』、金曜に『Science』をウェブでチェックしている。人気の漫画雑誌に面白い漫画作品が掲載されるように、有名な科学雑誌にはクオリティの高い科学論文が掲載される。「これで『Nature』かよ」と憤慨するようなひどい論文に時折出会うことも事実だけれど、一般論として、いままでの常識を覆すような大発見やスケールの大きな大論文が掲載されるのは、これらの有名科学誌だ。

 さて、5月13日(水)に出版された『PNAS』には、会心の出来と信じる私の論文が掲載された。マグロ類やホホジロザメは、魚類としては例外的に、まわりの水温よりも高い体温を保っている。その高い体温のために、マグロ類やホホジロザメは他の魚よりも速く泳ぎ、また他の魚よりもスケールの大きな回遊ができることを発見した論文である。

 なおうれしいことに、その号の表紙は「Fish endothermy」(魚の内温性)という大きな文字とともに、私の投稿したクールなホホジロザメの写真が飾った。私は感激で胸を一杯にしながらも平静を装い、「今週号の『PNAS』見た?」などとわざとらしくまわりに言いふらして歩いていた。

そんなふうに有頂天になっていた、そのわずか2日後。5月15日(金)の『Science』をチェックしていた私は、一篇の論文を見つけ、漫画のように目が点になった。なんとそこにも「Fish endothermy」の文字。魚の体温というピンポイントのテーマの論文が、驚くことに同じタイミングで『Science』にも掲載されていた!

 一体どんな論文なのだろう? タイトルを見ると、そこで扱われているのはアカマンボウである。アカマンボウ!? 私の研究したマグロやホホジロザメと比べたら、知名度も存在感もはるかに劣る地味な魚だ。少なくとも研究対象種のインパクトでいえば、私の論文のほうがはるかに上をいっている。

 けれども論文のクオリティを決めるのは「何を発見したか」であって、「何を研究したか」ではない。はやる気持ちを抑えてじっくりと読んだところ、びっくり仰天してしまった。すごすぎる。これは大発見だと思った。人類がいままでに積み上げてきた生物に関する知見の山を、ひときわこんもりと高くする偉大な発見だと思った。白旗。参りました。

・・・・・・明日に続く・・・・

 

■□参考資料:バイオロギングで探る海洋動物の行動・生態 (6/6)  □■

国立極地研究所・総合研究大学院大学複合科学研究科 / 高橋 晃周

動物目線で環境変化を見る バイオロギングを使って計測した動物の行動から, 動物周辺の環境の情報を得ることも可能である。南極大陸沿岸の海氷下は,アイスアルジーなどの藻類が繁茂し,オキアミや魚が豊富に生息する海域であ ると考えられている。しかし,厚い氷に阻まれて直 接観測することが難しいため,これまでオキアミや魚の密度や分布に関する知見は限られていた。

 2010年12月,私たちは小型の耐圧ビデオ記録計をもって南極昭和基地の近くにあるアデリーペンギンの繁殖地を訪れた。そして,ペンギンにビデオ記録計を取りつけ,氷がびっしりと張った海の中でペンギンがえさと遭遇し,捕食する様子を詳しく明らかにすることが出来た。ペンギンは海氷下でおもにナンキョクオキアミを捕食していた。

群れ に遭遇すると,1秒間に2匹ものオキアミを食べ, 平均して潜水1 時間あたり180匹ほどのオキアミを食べていることがわかった。また,オキアミとの遭遇は,10~70 mの幅広い深度で起こっていた。一方,ペンギンはボウズハゲギスという10cm程度の魚を食べることもあったが,遭遇は海氷の直下の5 m以浅の深度に限られていた。このようなペンギンの捕食行動は,海氷下でのオキアミや魚の密度,分布を反映すると考えられる。

現在,南極では,水温等の変化によって海氷の分布状況が変化することが懸念され,それが海氷下のオキアミや魚に影響を与えるのではないかと予想されている。一方,ペンギンの年々の繁殖の成功度は,繁殖地周辺の海氷状況と対応して変化している。 おそらく,えさ生物の密度や分布の変化が,ペンギンの繁殖に影響を与えていると考えられる。今後,ビデオ記録計を装着したアデリーペンギンの行動からの海氷下のえさの密度や分布の観測を継続することで,動物目線で南極に現れる環境変化をとらえたいと考えている。

おわりに 本稿では,海洋動物を中心にバイオロギングの成果を紹介してきた。しかし,現在では,陸上で生活する動物にもこの手法が活用されつつある。加速度や映像のデータは陸上での研究にも有効で,連続した個体の直接観察は陸上でも難しいからである。 バイオロギングが,野外における動物の行動・環境計測の基盤技術として活用され,動物行動・生態学,また生物保全の進展に貢献することを期待している。

・・・・・・明日に続く

◆ 世界初、海中の餌取りを撮影 南極のアデリーペンギン

・・・https://youtu.be/V68LzKDF1ko?list=PLz01FGnvJ112W2oWop9z_8WJvAzS_u5G1・・・

・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/217a528a955c28d222a0a93700dc85fe

後節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/761effa467af1562cb51ca0ea562aab7

----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------

【壺公夢想;如水総覧】 :http://thubokou.wordpress.com

【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【疑心暗鬼;如水創作】 :http://bogoda.jugem.jp/

下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます=ウィキペディア=に移行

================================================

  

・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

================================================


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« めくるめく知のフロンティア... | トップ | めくるめく知のフロンティア... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

浪漫紀行・漫遊之譜」カテゴリの最新記事