【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =069=

2019-04-18 06:16:27 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者”西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』 

◇◆ =069= 毎日のように虹のかかる季節 ◆◇

 1月となると、いくら熱帯とは言え、北緯10度のコスタリカでは日照時間が短く、気温も低くなっている。ここモンテベルデの標高1500メートル付近は朝晩14~15℃まで冷える。また湿度が高いので体感温度が低くなり、手がかじかむ感覚もある。

  風もだいぶ強くなってきた。12月から1月はモンテベルデの風が一番強い時期で、20メートル/秒の風が吹き続けることもある。(ちなみに東京と大阪の1月の平均風速は、2~3メートル/秒だそうだ。)  気温が低くて風が強いだけじゃない。モンテベルデは今、虹の多い時期でもある。 午後から夕方にかけての時間帯は、探せば虹が見つかる。  「虹」も虫へんやから、今回の昆虫中心生活は、虹!

  この写真は、谷間にあるサン・ルイスという村への道とモンテベルデへ向かう道の分岐点で撮影したもの。 中央奥、雲の下にモンテベルデがある。 向こう(東)から雲がどんどん流れてくるのがわかる。雲から注がれる小雨と西日が、空と地上の間に虹の柱をつくった。サン・ルイスの村は、中央右下。 虹のある方へと車を進ませた。

虹ー2

そして、ここバイオロジカルステーションでよく見るのが、山の手前の谷間から大空へと伸びるこんな虹だ。 森の一部が虹色に彩られる。 先日は、ほんの20メートルほど先に虹が現れた。 上の写真は、雪ではなく、小雨が乱舞しているところ。 風にあおられて斜め下へ、斜め上へ、横へといろんな方向へ舞い踊る。生きているかのよう。 静止しているのもいれば、ぶつかり合って、はじけるのもいる。風の流れは複雑だ。

  小雨が乱舞する日、モンテベルデから太平洋側を望むと、小雨に満たされた空気が太陽光をまぶしく拡散し、光が森を包む光景が眼下に広がる。右奥には、銀色に太陽を反射するニコジャ湾が見える。 バイオロジカルステーションに戻ろうと、少し車を走らせると、サイドミラーに白黒(モノクロ)に近い、銀世界のような光景が映ったので、車を止めて、シャッターを切った。

  ところで、去年の最後の回(第88回)でランを紹介した際に、謎多き授粉役について「一緒に調査しようではないか」とランの専門家のマリオ博士(Dr. Mario Blanco)に誘ってもらったことを書いた。 実は1匹のアシナガバチをきっかけに、年末のクリスマスの日から、あるランの観察が始まった。 博士にメールや写真を送る日々が続いている。これから1年ぐらいかけ、発表に向けて観察や実験、解剖に成分検査などをしていく予定だ。

  ランの専門家の視点に、探検昆虫学者の視点が加わることで、また違ったものが見えてきた。マリオ博士いわく、世界的に例のない新発見とも言える内容だそうだ。

モンテベルデのバイオロジカルステーションの風吹く谷間:

 

 https://youtu.be/8_0hJf02gcE

 =このときの風速は10メートル/秒ほどだろうか。撮影場所から強風が通り抜ける谷間までそれほど遠くはないが、天候がだいぶ違う。矢印の下に著者の住まいがある。撮影場所より少し風が強めだ。 撮影場所:モンテベルデ、コスタリカ=

虹ー3

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

piso

 Ӂ 密室から消えた幼虫のトリック Ӂ

幼虫-1

  コスタリカから飛行機で約5時間、真冬のニューヨークで1週間ほど、出張料理や陶芸、お茶会といった文化的な活動を楽しんできた。 ぼくは寒い冬や雪が好きだし、こういった活動も好きなので、脳のよい切り替えになった。 けれども帰りにニューアーク空港へ向かう途中、バスから景色を眺めていると、道路脇に多種多様なゴミが散らばっていた。 それもコスタリカの街中と同じくらいに。米国はもっとましだと思っていたので、悲しくなって涙が出た。

  話を切り替えよう。 今回は去年の年末に驚かされた、蛾の幼虫のお話。 上の写真で葉を食べているのがその幼虫で、ナタダ(Natada sp.)というイラガの一種。正面から見ると、中央に漫画の『オバケのQ太郎』のような顔が見えてくる。 体内の「模様」が透けて見えているのだろう。 本当の頭は、オバQの顔と葉の間に隠れている。 イラガの幼虫は、頭を隠しながら、葉を食べる。

  モンテベルデのラボの横にあるコナラの木で採集したこのイラガの幼虫を、自宅で飼育していたのだが、上の写真から1週間ほどたったある日のこと、事件が起こった。 餌の葉を新鮮なものに替えようと飼育袋の中を確認してみると、 ん? あれ? 幼虫が見当たらない。

  飼育袋の中の植物の枝葉をくまなく探しても見つからない。 葉には、脱皮のときに幼虫が脱いだ、ペチャンコで、しぼんだ皮がくっついているだけ(下の写真)。 袋に穴は開いていない。  どうなっているのか? この密室の謎には、トリックがあるはず!

幼虫-2

 どうなっているのか? もういちど袋や枝葉をチェックして、幼虫の皮を眺めていると、あることに気づいた。 これだ! これがトリックだ!

  上の写真をよく見てほしい。 半透明の皮の奥に、抹茶色というか白っぽい楕円形の物体が20個ほど規則正しく並んでいるのが見えるだろうか。 実はこれ、寄生バチの幼虫たち。 ナタダの幼虫の中身を食いつくし、抜け殻のようにペチャンコになったナタダの幼虫の下で蛹になろうとしていたわけだ。

  そして10日ほどたつと、下のような状態になった。 写真の黒い部分が、寄生バチの蛹で、なかほどに並んだ薄茶色の丸い玉が、寄生バチの幼虫の排泄物(蛹になる直前にまとめてする糞のようなもの)だ。 そうしてさらに5日後、ついに寄生バチの成虫が20匹ほど出てきた。ヒメコバチの仲間だ。 体長は約2ミリ。ナタダの幼虫を裏返して見てみると、ヒメコバチの蛹(茶色い半透明の蛹の殻) が円を描くように並んでいたのがよくわかる。

  長年付き合いのあるヒメコバチの専門家、スウェーデンのDr. Christer Hanssonによると、アルベヴェオプレクトゥルス(cf. Alveoplectrus)という属だろうとのことだ。 このヒメコバチが新種だった場合、この生態の記録があるので、共著論文を手掛ける事になるだろう。

幼虫-3

・・・・・つづく

_  Landscapes and Music of Costa Rica _

・・・・・・ https://youtu.be/BdKiPR3kdjo ・・・・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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