【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

めくるめく知のフロンティア・学究達 =058= / 渡辺佑基(28/53)

2020-07-05 06:06:13 | 浪漫紀行・漫遊之譜

地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

  驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基  

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

 伏兵アカマンボウの逆襲 =2/4= ◆◇

  というわけで今回は、最近『Science』に掲載されたアカマンボウの体温に関する発見を紹介したい。ネットのニュースなどで記事をご覧になった方もいらっしゃるとは思うけれど、アカマンボウの何がそんなにすごいのか、いまいち納得できなかった方も多いのではなかろうか。

そこで魚の体温に関しては一家言ある(と信じている)私から、この発見の意義を噛み砕いてお伝えすることを今回の目標にしたい。

 アカマンボウは極域を除く世界中の海に幅広く分布している魚である。なるほど名前の通り、マンボウにいっけん似た平たい姿かたちをしているが、マンボウとは別のグループに分類され、よく見れば尾びれの形状などが全然違う。私は過去にマンボウを研究していたことがあり、飽きるほどマンボウを見てきたので、アカマンボウに対しては「どこがマンボウ?」と言いたくなる。

 ともあれアカマンボウは身がおいしく、味覚的にも視覚的にも身がマグロに似ていることから、一部ではマグロの代替品としても注目されているらしい。これはたぶん偶然ではなく、今回説明するように、マグロとアカマンボウとは「高い体温」という架け橋で繋がっているからだと私は考えている。

 さて、今回の『Science』の論文は、アカマンボウが他の普通の魚とは違い、まわりの水温よりも5℃ほど高い体温を保っているというものであった。

 なるほど魚は変温動物であり、その体温はまわりの水温と常に等しいという「常識」からすれば、これは大発見に聞こえるかもしれない。けれども前々回述べたように、マグロ類やホホジロザメが高い体温を保っていることは、ずいぶん前から知られていた。

それにアカマンボウが高い体温を備えていることも、じつは2009年に一篇の論文で報告されており、周知の事実とまではいえないにせよ、少なくとも私を含む一部の研究者には知られていた。

 さらに私に言わせてもらえれば、水温よりも5℃高いという体温の値は、さほど驚きではない。ホホジロザメの近縁種であるネズミザメの場合、温かい体温と冷たい水温との差は、ときには20℃にもなる。発熱の度合いで比べるならは、アカマンボウはネズミザメの足元にも及ばない。

 ではなぜアカマンボウの高い体温が常識を覆す大発見といえるのか。それは、この魚がマグロ類やホホジロザメとは違う体の仕組みをもち、それによって、魚には不可能だと思われていた「温かい心臓」を獲得していたからである。

 アカマンボウの説明に入る前に、以前から知られていた、マグロ類やホホジロザメが体を温める仕組みから見ていこう。

・・・・・・明日に続く・・・・

 

■□参考資料: アカマンボウ  □■

アカマンボウ(赤翻車魚、英名:opah)とは、アカマンボウ目アカマンボウ科 (Lampridae) に属する深海魚。別名、マンダイ。体型はマンボウ (Mola mola) に似るが、マンボウの仲間ではない。リュウグウノツカイに近縁の魚である。

全長2 m、体重270 kgほどにもなる大型魚である。体は円盤形で、左右から押しつぶされたように平たい。口は前に少し突き出ていて、歯がない。体はタチウオのように銀色で、白いまだら模様があり、小さくて剥げやすい鱗に覆われる。ひれと口元、目の周りは鮮やかな赤色で、胸びれ、背びれの前端部、腹びれが鎌状に長く発達する。側線は胸びれの上で背中側に大きく曲がっている。

外見や生態は和名のとおりマンボウにも似ているが、分類上はまったく別の魚である。マンボウと違って尾びれをもち、胸びれが垂直ではなく水平に長く発達している。なお、ラテン語での目名、科名、属名は、「輝かしい」「明確な」という意味のギリシャ語 lampros に由来し、名のとおり鮮やかな外見の魚といえる。

世界中の温帯・熱帯の海に広く分布し、外洋域の水深500 mまでの表層・中層に生息する。ただし人目に触れない環境に生息しているため、生態についてはほとんどが不明である。

マグロなどと同様に、胸びれと尾びれを使って泳ぎながら生活していると考えられている。食性は肉食性で、クラゲイカオキアミ、小魚などを捕食する。いっぽう、敵はアオザメホホジロザメといった外洋性の大型のサメである。

稚魚は細長く、リュウグウノツカイの稚魚に似ているが、背びれと腹びれが長く伸びないので区別される。やがて体が円盤状になり、成魚の姿へと変わってゆく。

2015年5月、アメリカの海洋大気庁の研究チームにより、アカマンボウには魚類で唯一、血液の温度を保つ機能があることが確認された。アカマンボウには、心臓と鰓(えらの間に特殊な血管の絶縁網があり、心臓から送られた温かい血液が、えらが取り込んだ海水によって冷やされた血液を温めなおす体の作りをしている。

これにより、アカマンボウは周辺の海水よりも5度ほど高い体温を保つことができるようになっており、深海でも活発な活動が可能とされる。これは哺乳類や鳥類とほぼ同じ体温維持の方法である。

・・・・・・明日に続く

◆ 「進化の法則は北極のサメが知っていた」の感想

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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