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【一会】『七つの大罪 38』……決戦の舞台に、役者は揃う

      2020/03/02

七つの大罪(38) (講談社コミックス)

 最後の戦いが近づきつつある剣と魔力と愛の英雄譚『七つの大罪』。ここでは昨年9月刊行の38巻について、内容を追っていきたいと思います。
 メリオダスたち〈七つの大罪〉と王女エリザベス、女神族や巨人、妖精、そして数え切れない聖騎士たちが一丸となった大激闘の末、ついに斃したかと思われた魔界の王、魔神王。
 しかし、物語の幕はまだ閉じられようとはしていないようです。魔神王は斃れず、いまだ現世にとどまっています。自らのもう1人の息子、メリオダスの弟ゼルドリスの身体を依り代として。

二つの戦いへ

 のみならず、魔神王は〈暴食の罪(ボア・シン)〉マーリンが閉じようとしていた魔界の門をこじ開け、現世に主恩のインデュラを召喚します。インデュラと云えば、上位魔神が不可逆的に変身した、最凶最悪とされる化け物でした。p.87の扉ページにある解説を読む限り、この主恩のインデュラは、これまで登場したものよりも数段強力なもののようです。
 魔力を察知した〈七つの大罪〉は即座に行動を開始、バン、キング、ディアンヌ、ゴウセル、マーリンの5人でインデュラを迎撃することになります。魔力「太陽(サンシャイン)」を失った〈傲慢の罪(ライオン・シン)〉エスカノールは、やはり戦力には数えられないようです。

 慌ただしく仲間たちが出ていった後、残ったメリオダスとエリザベスは、2人だけの戦いの場へと向かいます。云うまでもありません、弟の身体を乗っ取った魔神王とのケリをつけるための戦いです。
 一方、王や聖騎士たちに魔神王復活を触れ回るエスカノールとホークですが、ホークママの云う「間もなく王が誕生する」という言葉が気に掛かります。この物語はアーサー王と円卓の騎士伝説の前日譚という位置付けだったと思いますが、王となるはずのアーサーは、本編の中では既に戦死してしまっています。この齟齬がどう埋められるのか、密かに楽しみですね。

湖上にて

 作中の解説によれば「ブリタニアで最も魔力を豊潤に湛える場所」という、ソールズベリーの魔法の湖。そこが、魔神王がメリオダス達を待ち受ける場所でした。
 ともに魔神王の子として生まれ、魔神族の首魁としての務めと自分の感情の間で葛藤した兄弟は、どこかで何かが噛み合っていれば、こうして対決することもなかったのではないかと思います。しかし、ゼルドリスの意識は魔神王によって封じられ、精神世界で見せられている恋人ゲルダの幻影を前に、今はなす術もありません。
 かくして、魔神王(ゼルドリス)対、〈憤怒の罪(ドラゴンシン)〉メリオダスと王女エリザベスの戦いは始まります。魔神王とメリオダスの実力は伯仲。エリザベスを弱みと見て人質にしようとする魔神王ですが、女神族として完全に覚醒しているエリザベスは、簡単に思い通りになりません。かつては「血まみれエリー」として魔神族に怖れられていたようです。

5人と1人の奮戦

 その頃、〈強欲の罪(フォックス・シン)〉バンたち〈七つの大罪〉の5人は、ブリタニア中央で主恩のインデュラと相対していました。敵は1体、と思いきや、インデュラは尾から無数の幼体を放出。本体よりも、まずはこの幼体を一掃しなければ被害が拡がることになります。それぞれに技を振るう5人ですが、抜きんでて活躍するのは、神器・聖棍クレシューズをマーリンから返されたバン。特性「超集中力(スーパーコンセントレーション)」を有するこの神器を、煉獄で鍛え上げた今のバンが使うことで絶大な威力を示します。
 そのまま本体も一気に打倒せんとするバンたちですが、1体だけ、幼体を逃してしまっていました。

 その1体が向かった先は、他ならぬリオネス城でした。ギルサンダーたち聖騎士が応戦しますが、幼体であってもその強さは途轍もなく、あわや全滅の危機に瀕します。間一髪、幼体の攻撃からギルサンダーを庇ったのは、いまや最弱の〈大罪〉メンバーとなった、エスカノールでした。
 「若者を護るのが老兵の務め」と武張るエスカノールですが、悲しいばかりの戦力差に、みるみるうちにその身に重傷を負っていきます。それでも立ちはだかり続ける彼の心を支えるのは、一緒に戦った仲間たちへの思いです。

「友がみな…」は歌集「一握の砂」
の短歌。上の本でも読める。

 「友がみな われよりえらく 見ゆる日よ……」という石川啄木の短歌がありますが、自分より偉く見える仲間たちを思って自分を奮い立たせることができるのなら、エスカノールは十二分に偉いと思います。最強だけれど最弱というエスカノールの尖ったところが、自分は気に入っていますが、そんな彼を認め、受け入れてくれた仲間たちにも胸が熱くなるところです。
 仲間のため、強敵の前に立ちはだかり続けた彼の思いは、助太刀に駆けつけてくれた女神族の〈四大天使〉マエルの心の琴線にも響いた様子。再び「太陽」の魔力を託され、最後の“傲慢”を振りかざす時が来たようです。

今こそ、力を合わせる時

 ソールズベリーでは、戦いが続きます。エリザベスの支援もあり、分はメリオダスの方にあるようです。が、ゼルドリスが意識を取り戻さなければ、魔神王に決定打を与えることにはなりません。焦るメリオダス達に対して、魔神王の方は湖から魔力を受け、本来の力を取り戻しつつあります。
 ついにゼルドリスの気配は消え果て、強そうな姿に変わった魔神王は勝ち誇ります。「これ以上借りは作れない」と、独りで戦おうとするメリオダスでしたが、そこに吹き飛ばしたインデュラごと飛来する、5つの影がありました。他ならぬ、〈七つの大罪〉のメンバーたちです。
 「たまには全員(みんな)で力を合わせようぜ」。〈七つの大罪〉の掟である「七つの掟」“その七”を口にして、バンたち団員5人がここに合流。おっつけ来るだろうエスカノールも加えて、フルメンバーでの決戦が始まらんとしています。

 …というところで、物語は次巻へと。既に入手済みの39巻に、速やかに進んでいきます。

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