【東京町歩き3】どこからでもスカイツリー | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

前回の続き。二子玉川から浅草まで移動しました。

東京都区部の西から東へ……というと結構離れている印象ですが、

そこは公共交通機関の発展した東京、電車に乗ってしまえば意外と近いものです。

 

 

 

 

 

 

しかし浅草に行く前に、ちょっと寄り道。

日暮里駅から歩いて行ける朝倉彫塑館(あさくらちょうそかん)へ。

明治~昭和の彫刻家 朝倉文夫氏の自宅兼アトリエを

美術館として一般公開している施設です。

 

入館料はかかりますが、展示物は豊富。

写真には撮れませんが、日本庭園風の中庭もあります。

なお、屋上庭園(右)は撮影可能で、入館者は誰でも入れますが

何を隠そう、こここそが日本で最初に作られた屋上庭園なのです。

自然に触れることが芸術に繋がる……という朝倉翁の意向もあって

かつては菜園として使われていたらしく、今もその名残が残っています。

朝倉翁は彫刻家であり、彫刻の専門学校も運営していたらしいですが

その必修科目に「園芸」があり、実際ここを実習場としていたほどだとか。

 

決して面積は広くないですが、シンボルツリーのオリーブを軸に

花壇なども有しており、今でも現役バリバリの屋上庭園です。

 

 

 

 

 

周りに高層ビルがない一方、ちょっとした高台に位置しているので

眺めがいいのもメリット。どうせ入館料は取られるのですから(爆)

高所恐怖症でもない限り、入館したら必ず登っていただきたいスポットです。

 

写真右の胸像は、ラングドン・ウォーナーという米国の美術史家。

全くの偶然なのでしょうが、視線の先には東京スカイツリーが見えます。

朝倉翁本人の胸像だと誤解している人がたまにいるそうですが(私もそうでした)

「昔の日本の名芸術家が、現代の東京のシンボルを眺める」みたいな

どこかドラマチックなシーンをついつい期待してしまうため、

そういう誤解が生まれるのかもしれませんね。

実際は微妙に視線からズレていることには触れないでください

 

 

 

 

 

上野駅を経由して浅草へ、まずは隅田公園に向かいます。

ここは桜並木が基本で、あとは花壇くらいしかなく

「自然」という雰囲気はあまりないですが、語らいの場にはちょうどいいでしょう。

スカイツリーとうんこビルアサヒビールのスーパードライホールもちゃんと見えます。

 

ちなみに、堅苦しい編集で一部では有名なWikipediaにも

うんこビルの愛称で呼ばれていることが明記されています。

例の漢字ドリルの人気も鑑みて、何だかんだでみんなうんこが大好きなのでしょう。

 

 

 

 

 

 

隅田公園の川沿いはこんな感じ。

ブルーテントなどが一部残ってはいますが、

「汚い」という印象は然程なく、散策路としては人気が高いようです。

一段上の桜並木は、お花見の名所としても有名です。

 

 

 

 

 

二子玉川公園と同じく、園内にはカフェがあります。

(あちらはスタバはこちらはタリーズコーヒーです)

中で飲むというよりは、買って外の公園で飲みながら休憩……というのが

隅田公園の楽しみ方となっているようです。

 

 

 

 

 

植え込みも所々にみられます。

ペンタスなど、夏の暑さに強い花が多いようですね。

そんな植え込みに目を向けてみると……↓

 

 

 

 

 

この時期らしくといいますか、ホシホウジャクが訪れていました。

(フラッシュ使用につき、翅の模様が普段よりくっきりと写っています)

 

この虫、思った以上に「ハチドリ」と誤解している人がいるみたいです(汗)

前にこれを撮っている時「何これ?ハチドリ?」みたいな感想を漏らしている

おっちゃんが何人かいたんですよね。(もちろん、残念ながら日本にハチドリはいません)

まあ、一般的なガやハチとはかけ離れた外見と飛び方をしていますので

一般認知の広いハチドリと誤認してしまう人は、いても不思議はないかも?

 

なお、この系統のホバリングするスズメガを撮影したいのであれば

写真のようなペンタスの花は特におススメです。

花数が多く、同じ場所に留まりながら長時間蜜を吸えるため

素人でも割と簡単に接写することができます。

 

 

 

 

 

集団で移動するオナガ。隅田公園にも現れました。

天気がよろしくない上に枝かぶりで残念な写りになってしまいましたが

一応ちゃんと細かなまで写っています。

 

オナガは数こそ少なくなく、都心でも割と見かけるのですが

シジュウカラやムクドリなどと比べると出現はランダムで

狙う人がいるかはともかく狙って撮るのは難しい鳥です。

 

 

 

 

 

隅田公園から歩いて約15分、東京スカイツリータウンにやってきました。

最近あまりニュースになっていないため、

人気が下降していると思う人がいるかもしれませんが……↓

 

 

 

 

 

相変わらず賑わっていますし、インバウンドも相当数見かけます。

また、スカイツリー本体(?)ばかりが注目されがちですが、

ここも広場やテラスに緑を多く取り入れています。

 

 

 

 

 

こんなふうに花壇もあります。奥に見えるテントは食フェスです。

ほか、屋上庭園でありながら、雑木の庭を思わせる樹林帯も。

 

 

 

 

 

広場・テラスは買い物ついでの休憩などにも適しています。

長時間滞在型の施設だからこそ、今なお人気が高いのでしょう。

 

 

 

 

 

 

この日の締めくくりは、猿江恩賜公園へ。

さすがに電車で移動しないと厳しい距離ですが、

園内随所からちゃんとスカイツリーが見えます。

 

この公園はそこそこ広いですが、やはり単体だけでは

「生きものめぐり」のステージとするにはやや物足りないかも……。

その代わり、レクリエーションやピクニックの場としてはピッタリです。

 

 

 

 

 

とは言え、水場にはちゃんとコサギが来ていました。

運がよければカワセミなども現れるみたいです。

 

上の写真だと無視されているように見えてしまうコサギですが

私が撮る前には、上のシニア2名も注目してちゃんと写真を撮っていました。

何てことのないポピュラーな鳥でも、こういう都会に現れると

意外なくらい大きな注目を集めるものなのです。

 

 

 

 

 

既に夕方5時。長~い1日、歩きまくってヘトヘトでしたが

色々と収穫の多い散策となりました。

今後も頃合を見て、東京散策をしていきたいところです。

 

 

 

【9/28 二子玉川&スカイツリー界隈で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、ウミネコ、エナガ、オナガ、カルガモ、キジバト、キセキレイ、コサギ、シジュウカラ、ハクセキレイ、メジロ、モズ

昆虫類・・・アオスジアゲハ、アキアカネ、アメンボ、イチモンジセセリ、ウスイロササキリ、ウラナミシジミ、キタキチョウ、クマバチ、コカマキリ、シオカラトンボ、ショウリョウバッタ、ツマグロヒョウモン、ナミアゲハ、ノシメトンボ、ハグロトンボ、ヒメアカタテハ、ホシササキリ、ホシホウジャク、ムラサキシジミ、モンキチョウ

その他・・・ミスジマイマイ、メダカ、モクズガニ

 

※補足

今回、街中および都市公園の花壇・植え込みを観察していて、

クマバチ、ヤマトシジミ、ヒメアカタテハ、ホシホウジャク、

イチモンジセセリ、ツマグロヒョウモンの6種が多く見られた気がします。

ほか、草むらがあればホシササキリ

水場が近ければアキアカネシオカラトンボが多かったですね。

鳥については、スズメ・カラス・ムクドリ・ハトを除けば、シジュウカラが圧倒的です。

郊外の公園に出かけることの多い本ブログですが

今回の散策を経て「東京の街中でも生息できる生きもの」が何なのか?

ある程度ハッキリ見えてきた気がします。