ベニマシコを凌駕する存在(埼玉県県民の森) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

さて、今回は初訪問のスポットです。

始発で出発し、西武線の芦ヶ久保駅で下車。

(いつも行く西武秩父駅の2つ手前です)

この時点で7時少し過ぎといったところ。まだ薄暗いですし、人も少ないです。

 

行き先は、ここから行ける山奥(上の写真だと右奥の山中)の埼玉県県民の森

深い森の中の公園(?)で、とある赤い鳥が集団越冬しているとの情報があり

確かめに行くことにしました。ちなみに赤い鳥というとベニマシコが有名ですが

今回撮りにいくのはそれではありません。もっとです。

上ってどういう意味かって?それは追々後述いたします……。

 

 

 

 

 

駅前の看板。所々に気になる情報が(赤い円内)。

右の4つは山野草の自生地関連で純粋にありがたい情報ですが

左の方にちょっと危険な香りがw。

鈴、持っていないんだけれど大丈夫か?(今は冬眠中でしょうが)

 

 

 

 

 

 

問題なのは、目的地の埼玉県県民の森がべらぼうに遠いということ。

駅から徒歩だと優に10キロ弱は歩く上、ほぼ道中は上り坂なので

私の足でも2時間以上はかかります。(途中で写真を撮りながらだと更にかかります)

 

しかも道中にはトイレもないし、自販機も食事処(後述)の前にあるものくらい。

そういう僻地なわけで、必然的にポケストップの数も少なくなりますが

ゼロではないため、僅かなストップにポケモンが大量出現するという

ポケGOではよくある現象が生じます。(右写真)

というか、キャンペーンの仕様上なのですが

ギャラドスが野生出現するのなんて初めて見ました。しかもこんな山奥で……。

2016年の配信当時には絶対ありえなかった光景です。

 

 

 

 

 

カケスがいるにはいましたが、見事に枝かぶり。

個体数は相当でしたが、如何せん深い森なので

どれを撮ろうと思ってもこんな写りばかりでした……。

 

平地では純粋に数の少ないこの鳥ですが

山間部では数が多くても非常に撮りにくい鳥です。

ウグイスとどっこいどっこい。

 

 

 

 

 

2度目の遭遇となるキクイタダキ。でも後ろ向きあせる

まあ一応、識別のポイントとなる頭頂部の黄色い紋はわかるから

証拠写真にはなる……はず。

ついでに前回の撮影(2018年12月)よりは大分マシな写りだったりします。

 

 

 

 

 

昨年秋の台風の爪あとでしょうか? 激しく崩落しています。

 

 

 

 

 

目的地まであと少しというところで、頭上から鳥の気配が。

見上げると、近年あまり平地では見かけないウソ

集団で食事をしていました。植物の種がお目当てだった模様。

でもこのウソ、妙に腹部まで赤みを帯びていますね。↓

 

 

 

 

 

こちらの方がわかりやすいでしょうか?

どうやらこれはアカウソのようです。本ブログでは新顔ですね。

ウソの亜種で、名前のとおり腹部まで広く赤みを帯びています。

 

遭遇率・・・2 (山間部での遭遇率はそこそこだとか)

インパクト・・・3

美しさ・・・4

俊敏性・・・4

 

前々回の舞岡公園の記事で登場したアカハラorオオアカハラよりは

まだ識別がしやすいんじゃないかという印象です。

ただ、アカウソの中にも腹部の赤みが薄いものも多いため

むしろ無印のウソと誤認するケースはあるかもしれませんね。

 

ちなみに無印のウソ(である可能性が大)もいたのですが

写りがあまりにひどかったのでここでは一旦封印します。

いずれにしても、平地と比べて明らかにここでは数が多かったです。

 

ただし冒頭で述べたベニマシコの上を行く赤い鳥というのは、これのことじゃありません。

アカウソは想定外の遭遇。本命はまた別にいるのです。

 

 

 

 

 

 

埼玉県県民の森の内部です。若干ですが雪が残っていました。

今年に入ってから一度少し天候が荒れたことがありましたが

あの時に降ったのかもしれません。

 

ちなみに一応補足ですが

「埼玉県民の森」ではなく「埼玉県県民の森」が正しい表記です。

県が2回続きます。埼玉県にある県民のための森……ということか。

 

 

 

 

 

前にも見たことのある、ウスタビガの繭です。

よく考えるとこの繭は何度か見たことがある一方

羽化した後の成虫にはまだ一度もお会いできていませんね。

ヤママユの仲間で、色は結構きれいなのだそうです。

 

が、Web検索をかけて今更ながら重大な事実に気づきました。

実はこの繭、中身はすっからかんなのだそうです。

そもそもウスタビガは卵で越冬する昆虫であり

自分の繭(繭殻)に卵を産み付けるのだそうです。

実際、繭殻に卵らしきものが付着しているのを見たことがありますが

これはどうなんだろう?パッと見では気づきませんでした。

 

 

 

 

 

何かのつぼみ……だと思います。

森の中で数個見かけました。

 

 

 

 

 

コガラが懸垂中。ちょうど平地でシジュウカラがやっているアレですね。

ここの森の中では、シジュウカラはほとんど見かけず

あの系統で見かけるのはこれとヒガラ(↓)ばかりです。

同じ科の鳥でありながら、きれいに棲み分けしているという印象ですね。

 

 

 

 

 

件のヒガラです。ネクタイ模様がないことで識別ができますね。

数は多かったのですが如何せんすばしっこいため

写りの方はイマイチになってしまいました。無念。

 

 

 

 

 

こういう山道もありますが、もちろん自己責任で。

落ち葉が積もっていて地形が見えにくい分、

怪我する可能性もあるので慎重に歩きました。

 

 

 

 

 

一方で、森の中には舗装された遊歩道も。やはりまだ雪が残っています。

こういう所を歩いている間にもそこかしこから鳥の鳴き声が聞こえてきました。

 

さて、お目当ての鳥が現れるポイントはすぐに見つかりましたが

出てくるタイミングはお昼過ぎとのことだったので、待機することに。

(場所は明記しませんが、バードウォッチャーが集まっていたのですぐわかりました)

恐らく1時間くらいは待ったんじゃないかと思われます。

前にも書いたかもしれませんが、動いていないと急激に体が冷えるので結構酷です。

が、そうして他の皆さんと一緒に待機し続けた結果……。↓

 

 

 

 

 

!きました。ベニマシコによく似ているけれど

明らかに赤みが強く、今までに見たことのなかった鳥です。

 

 

 

 

 

この手の鳥にありがちといいますか、派手な赤色はオスの特徴。

オオマシコといい、ベニマシコと同じアトリ科の鳥です。

 

遭遇率・・・1 (平地ではまず見られません)

インパクト・・・4 (赤味の強さが印象に残ります)

美しさ・・・4

俊敏性・・・4

 

予想以上に近くに来てくれたので、比較的鮮明に撮れました。

歴代のベニマシコの写真よりも良い写りなんじゃないかと。

 

 

 

 

 

こっちがメスです。オスに比べるとやはり地味な外見ですが

それでもベニマシコのメスと比べると赤味が強く出ています。

 

 

 

 

 

さらに特筆すべきポイントは、アトリ科の特徴といいますか

オス・メス入り乱れての集団で行動していたということ。

少なくとも10羽くらいで一緒に行動していたと思います。

ちなみに“火の鳥”よろしく真っ赤なのは成熟したオスの特徴。

若いオスはメスに近い体色で、ここから次第に赤味を帯びていきます。

 

こういう集団が間近で見られるなんて、

それこそ今までは秦野の権現山くらいでしかなかったことです。

山道(アスファルト舗装ですが)をわざわざ10km歩いてきた甲斐がありました。

むしろ成果ナシだったら大型地雷だったわけですが

 

 

 

 

 

多分、これが最もきれいに撮れた成熟♂です。

自分の知る限り、ここまで全身はっきり赤い鳥は見たことも聞いたこともない……。

この赤味は、皆さんにも直にその目で見ていただきたいもの。

写真だけでは伝わらない「感動」があります。これは保証します。

 

アカショウビン?何それ?おいしいの?(ゲス顔)

 

 

 

 

 

 

県民の森には食事処がありませんので、

来る途中に見かけた「木の子茶屋」まで戻って昼食をとりました。

(ちなみにここで逃すと、芦ヶ久保駅前の道の駅までお預けです)

 

お店の名前のとおり、ここはキノコ鍋が名物。

右写真のとおり、見事にキノコ尽くしで「山」気分を深く体感できます。

そのほか、シカやイノシシなどのジビエも取り扱っています。

 

 

 

 

 

下山中に見かけた、キノコの裏で越冬するナミテントウです。

1匹だけみたいですね。ちょっと珍しいかも。

 

 

 

 

 

 

上でちらと触れた、芦ヶ久保駅近くの道の駅です。

秩父郡の中にあるので、ご当地グルメである「味噌ポテト」も取り扱っています。

店頭でお酒を売っていたり、なかなか繁盛していて元気な雰囲気。

 

右は、地元果物農家産のブルーベリーのジェラートです。

味はとにかく濃厚……アイス化したブルーベリーそのものといった風味で

ブルーベリー好きなら是非一度はご賞味いただきたいものです。

 

ただ、この近くにある観光名所「芦ヶ久保の氷柱」は

やはりといいますかこの暖冬のせいで今年はまだ見られないそうです。

だからこんな真冬でもアイスを食えたわけですし。

(詳しくはWebサイトなどで事前に確認を)

 

 

 

今回新しく散策した新スポットですが、予想以上の大収穫がありました。

さらにフクジュソウザゼンソウカタクリなどと冬~早春期の花の自生地も

この芦ヶ久保の近隣にあるらしいので

近日中にもう一度足を運び、しっかり確認しておきたいところです。

(平地より開花期は遅れるはずなので、狙いは3月以降か?)

 

 

 

 

【1/23 芦ヶ久保~埼玉県県民の森で撮影した生きもの】

鳥類・・・アカウソ、ウソ、オオマシコ、カケス、カシラダカ、キクイタダキ、コガラ、コゲラ、シジュウカラ、ヒガラ、ビンズイ、ホオジロ、ヤマガラ

昆虫類・・・ナミテントウ

 

 

【1/23 芦ヶ久保~埼玉県県民の森で捕獲したポケモン】

アーボ・・・1

イーブイ・・・4

カブルモ・・・1

ギャラドス・・・2

ケーシィ・・・1

ケムッソ・・・6

コイキング・・・14

ゴクリン・・・1

ゴマゾウ・・・1

コロトック・・・1

コンパン・・・1

サイホーン・・・1

タマゲタケ・・・2

チョボマキ・・・1

ネイティオ・・・1

ヒトカゲ・・・1

ビリリダマ・・・5

ブースター・・・4

ブーバー・・・2

フシギダネ・・・1

ブルー・・・2

ヘイガニ・・・7

ポチエナ・・・1

マクノシタ・・・1

マグマッグ・・・3

マメパト・・・1

リザード・・・1

ルージュラ・・・5

ロコン・・・1