虫を呼べる花「イボタノキ」の実力(埼玉県内某所・5回目) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

今年は、ここに足を運ぶのもとうとう5回目に。

(通常は年に1回しか行きません)

まだこの時点では県境を跨ぐのを控えていたため

最も“撮れ高”の期待できるキバネツノトンボ観察エリア

私のような人間にとっては心強い味方です。

そういう人間があと何人いるかは謎ですが……。

 

最寄り駅に到着早々、

恐らく初日に出合ったのと同じチョウゲンボウが駅舎に現れ、

私を見下ろしていました。ちゃんと覚えているのでしょうか?

 

 

 

 

 

普通のツバメイワツバメが一緒に地面に降りてる、ちょっと珍しいシーン。

ちなみに左の喉元の白い個体がイワツバメです。わかりますでしょうか?

 

 

 

 

 

さて、本日の主役はこちらの木。

初夏に白い花が咲くキンモクセイの仲間、イボタノキです。

俯瞰だとノイバラに似ているように見えるかもしれませんが

花の形はまったく異なります(あちらはバラ科、こちらはモクセイ科)。

 

キンモクセイは中国原産の帰化植物ですが

本種は日本に元々から生える在来種。

そしてキンモクセイと同じく、豊かな香りを有しています。

 

 

 

 

 

 

このイボタノキ、当該スポットでは随所に生えているのですが

上記の香りに惹かれてか、とにかく昆虫がよく集まっていました。

イチモンジチョウ(左)のような大きめのチョウから

マドガ(右)のような小さな蛾まで、多彩な虫が吸蜜に訪れます。

 

 

                             

 

 

セイヨウミツバチも蜜を集めに訪れます。

後脚に花粉の塊がくっついていますね。

個人的には、歴代の蜂の写真の中では一番よく撮れたんじゃないかと。

 

 

 

 

 

こちらは新顔の蛾の仲間。

キマダラコヤガといいます。

 

遭遇率・・・2 (昆虫エクスプローラーでは★1つ)

インパクト・・・2(小さいので見落としてしまうかも)

美しさ・・・3(模様の入り方はなかなかお洒落)

俊敏性・・・3

 

漢字で書くと黄斑小夜蛾。 この名前だけ見ると妙にカッコいい

黄色と黒の斑ということで、色はキンモンガを彷彿とさせますが

サイズはこちらの方が遥かに小さく、見る機会も少ない模様。

昆虫エクスプローラーでは遭遇率が★1つになっており、

一部のサイトでは「激減」と書かれていたこともあったので

初対面ながら生息状況が少々気になります……。

 

なお、名前に反して昼間にも飛びます。

 

 

 

 

 

ハナムグリも多数、そして多種類飛来していました。

まずは最も見かける機会の多いコアオハナムグリです。

都心部でもそこそこポピュラーな種ではありますが

当該スポットでもとりわけ観察数の多いハナムグリとなっています。

 

 

 

 

 

 

続いて、シロテンハナムグリ(左)とクロハナムグリ(右)

シロテンは今年初撮影ですね。見た目の美しさや大き目のサイズ、

あるいはカブトムシのように樹液に集まる習性ゆえか

日本のハナムグリの中では最も知名度が高いと思われます。

やっぱりビジュアルは大事なんですよ

 

 

 

 

 

 

上に大型と書きましたが、実際どのくらい違うのか?

手に乗せてサイズを比較してみましょう。

いずれも食事に夢中になっている間は無防備で、簡単に捕まりますw

 

見ての通り、シロテンryの方がクロryより二回りほど大きいです。

クロryについては、コアオハナムグリとほぼ同じくらいではないかと。

 

 

 

 

 

 

裏返すとこうなる。シロテンryは裏もメタリックです。

ちなみにどちらも死んだふりをしており、こうなると暫く微動だにしません。

この死んだふりをする小型甲虫はことのほか多く

ここで観察できる種としてはオトシブミの仲間などが当てはまります。

 

 

 

 

 

こちらはヒメトラハナムグリ

コアオryよりもさらに小さいですが

名前の通りの誇りを感じさせる模様が特徴です。

(開幕戦は敗北しGに6000戦勝目を献上してしまいましたが)

 

本当は模様がわかりやすくなるように捕獲して上から撮りたかったのですが

残念ながらその前に逃げられてしまいました。

相手は人間語の通じない生物なので、こういうことはよくあります。

 

 

 

 

 

アオスジアゲハも飛来しました。

こうした大型のチョウまで飛来する辺り

「虫を集める」という点においては非常に優秀に感じます。

ビオトープなどで使用しているところもあるかもしれませんね。

(植木屋さんで販売もしているようです)

 

 

 

 

 

そして、このイボタノキがなければ出合えない昆虫も。

ややサイズの大きいシジミチョウが何頭か吸蜜していましたが

これはウラゴマダラシジミ

本ブログでは新顔であり、幼虫がこのイボタノキを食草としています。

他の吸蜜に来る昆虫とは明確に異なることろですね。

 

遭遇率・・・2

インパクト・・・3(上記の通りシジミチョウにしては大型)

美しさ・・・3(色はルリシジミに似ているかも)

俊敏性・・・3

 

 

見た目は少々地味ですが、これもゼフィルス(樹上性のシジミチョウ)の仲間。

言われてみれば確かに顔の感じがミドリシジミに似ています。

(本ブログの過去の写真等をご参照ください)

そして、サイズもミドリシジミと大体同じくらいだったりします。

 

イボタノキ自体は決して珍しい木ではないため

探せば本種もそれなりには観察できそうな気がしますし

実際これらしきチョウが飛んでいるのを見たことがある気もするのですが

マトモに観察できたのはこれが初めてです。嬉しい出合いですね。

 

 

 

 

 

 

 

ついでに、ここではお馴染みのキバネツノトンボ(左)と

ヨツボシトンボ(右)も撮影しておきました。

キバネryの数は前回と比べると大分減っていましたが

この時期まで残っていることに気づいたのは実は今回が初めてです。

(見られるのは4月末~5月初頭のみかと思っていたもので……)

 

 

 

 

 

キマダラカミキリ。あまり撮影する機会はない大型のカミキリムシです。

手で持つとキーキーと声を上げる……らしいのですが

手に乗せただけでは警戒しないのか、全く鳴きませんでした。

 

 

 

 

 

ヒメギスの幼虫も大分成長してきました。

(左上にハエトリグモがいるのが気になりますが……)

 

 

 

 

 

同じく成長しつつあるヤブキリの幼虫

もう間もなく、成熟した個体を観察できるはずです。

ちなみに食べているのは自分の脱皮殻。

 

問)卵からかえったモンシロチョウの幼虫は、まず何を食べるでしょう?

答)自分の卵の殻

 

↑こういう問題を小学校の理科のテストで見たことがあるはず。

これと同じ理屈ですね。ゴミを残さないという意味では良策(?)です。

 

 

 

 

 

巣作り中のセグロアシナガバチ(だと思う)

女王バチであり、当然毒針を持っていて危険なのですが

変にビビって脅かしたりしたら余計危ないので

慌てず騒がず、ゆっくり動きながら接近し、撮影を試みました。

(多少の危険は覚悟しています。あとは自己責任)

 

アシナガバチの仲間は木の繊維を編み上げて巣を作るそうですが

作りかけのこの状態だと、巣の素材が「糸状」であることがよくわかります。

 

ただもし、巣が完成していて働き蜂がたむろしているような状況でしたら

私もここまで至近距離で撮影はしなかったと思います。

それは、さすがに危険すぎますので(汗)。

 

 

 

 

 

ちなみに、アシナガバチがこうして板塀などに止まり

何やらかじっているシーンを見たことはないでしょうか?

まさにこれこそが巣材の調達だったわけですね。

自然の樹木の表皮は硬すぎて巣材として加工しにくいためか

こうして柔らかい中身の露出している「人が製材した木材」を

堂々とかっぱらいに来ることがあるそうです(爆)。

 

赤矢印の部分は、すでに齧り取られた後。

(ところで齧り取った繊維はどこにため込んでいるんだろうか?腹の中?)

ちなみに木材の持ち主の方には大変申し訳ありませんが

こういう時、私は蜂の方を贔屓して一切追い払いません。

一通り撮影だけしてさっさと立ち去りました。

 

 

 

 

 

最後に、一瞬だけ目の前を通りかかったシマヘビです。

残念ながら逃げられてしまい、顔を撮ることは叶いませんでした。

 

 

 

上記の通り、ゼフィルスであるウラゴマダラシジミが複数観察できましたが

果たして今年未撮影のミドリシジミはいるのか?そこが気になるところ。

ハンノキ林さえあれば十分に期待もできるのですが

ここにハンノキがあるのかは少々わからず、過度な期待はできません。

 

今年はまだ秋ヶ瀬公園がまだ入園規制を受けているため

ミドリシジミに会えていません。どこか出る所はないものか……。

 

 

 

【5/24 埼玉県内某所で撮影した生きもの】

鳥類・・・イワツバメ、カワウ、カワラヒワ、チョウゲンボウ、ツバメ、トビ、ハクセキレイ、ヒバリ、ムクドリ

昆虫類・・・アオスジアゲハ、イチモンジセセリ、イチモンジチョウ、ウラゴマダラシジミ、オオヒラタシデムシ、キタキチョウ、キタテハ、キバネツノトンボ、キマダラカミキリ、キマダラコヤガ、クロハナムグリ、コアオハナムグリ、コフキゾウムシ、サトキマダラヒカゲ、サビキコリ、ジャコウアゲハ、シロテンハナムグリ、スジコガネ、セイヨウミツバチ、セグロアシナガバチ、ダイミョウセセリ、ツマグロヒョウモン、テングチョウ、トホシテントウ、ナナホシテントウ、ヒメウラナミジャノメ、ヒメギス(幼虫)、ヒメジャノメ、ヒメトラハナムグリ、ホソヘリカメムシ、ホソメヒラタアブ、マドガ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヤツボシツツハムシ、ヤブキリ(幼虫)、ヤマトシリアゲ、ヨツボシトンボ

その他・・・シマヘビ、ミスジマイマイ

 

……毎度ここは昆虫の種類が多いため集計に苦労します(汗)