端境期なりに山を楽しむ(御岳山~御岳渓谷) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

青梅の御岳山は春のカタクリ開花期夏のレンゲショウマ開花期と、

知る限り最低2回は「見頃」のシーズンが訪れます。

今年はこの春の見頃が丸々ぶっ潰されてしまった中

他にも何か見所はないかと期待して5月末日に足を運びましたが

当然早春期の花々はカタクリを含めて軒並み花期を終えてしまい、

おまけにコロナ禍の関係で一部施設が閉鎖されている始末。

 

早くもハズレの雰囲気が漂い始めましたが、せっかくここまで来た以上

このまま帰るのも癪だったので、いつも通りのルートを歩くことに。

何か面白いものが撮れればいいのですが……。

 

 

 

 

 

 

神社近くの住宅街で見かけたウラシマソウみたいなの(左)と

植栽されたクリンソウ(右)です。クリンソウはサクラソウの仲間ですが

開花期が通常のサクラソウよりもやや遅れてやってきます。

 

 

 

 

 

登山道に入りました。上記の通り花の端境期ということもあってか

はたまたコロナのせいか、登山客はあまり多くありませんでした。

 

 

 

 

 

 

昨年の春に大群落を見かけた毒草 ハシリドコロ

花弁は散ってしまい、右写真のように「がく」が残っているだけ。

また、本種は花期が過ぎるとやがて地上部が完全に枯れて休眠してしまうため

この日見られた地上部の姿(左)も、間もなく消えてしまいます。

 

 

 

 

 

「お浜の桂(かつら)」

 

……だ、そうです。

確かに大きいですし、樹齢も相当のものだと思われます。

パッと見では細い木がいくつも集まって

1本の巨木になっているようにも見えます。トトロみたく。

(トトロのあれはあくまで夢だったわけですけれどね)

 

 

 

 

 

いつも中継点としている滝。

タマガワホトトギスの観察ポイントですが(すぐ見つかります)

当然まだこの時期では花など咲いているはずがありません。

 

 

 

 

 

小さいながらも新顔の昆虫。ニホンベニコメツキです。

当初は撮影済みのクシヒゲベニボタルかと思ったのですが

頭部の形などが微妙に異なります。

あー、でもちょっと識別に自信がないかもしれません……。

 

遭遇率・・・2

インパクト・・・1(色は目立つがサイズは小さい)

美しさ・・・3 (鮮やかな紅色なので森では多少目立つ

俊敏性・・・3

 

上記の通り既に撮った種と思っていたので詳しくは調べませんでしたが

捕まえて手に持ってみたら、コメツキムシらしい質感だったのかも?

あるいはやはり引っくり返すと、パチンと跳ね起きるんだろうか?

(教訓:新顔かと思ったらとりあえず捕まえて確かめよう)

 

 

 

 

 

ただ、さすがにハチは安易に捕まえない方がいいかと。

実際このハチも「スズメバチ」ですからね。

一瞬だったし暗かったし動き回っていたので写りはイマイチでしたが

これもまた新顔。クロスズメバチというハチでした。

 

遭遇率・・・3

インパクト・・・2 (黒い上にサイズがやや小さいので目立ちにくい)

美しさ・・・2 (上記の通り、かなり地味)

俊敏性・・・4 (俊敏過ぎてなかなか撮れなかった)

 

 

クロスズメバチという名前自体は

もしかすると耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないかと。

メディアでも何度か登場した「はちのこ」の原料ですからね。

 

……悪いけどあれだけは食べられる自信がねぇ(逃)

 

 

 

 

 

高尾山でも遭遇した……あー何だっけかコレ?

ヒラズネヒゲボソゾウムシなのですが案の定名前が出てこねぇ)

 

 

 

 

 

交尾中の個体にも遭遇しました。

この甲虫。平地の公園では全くと言っていいほど見かけません。

標高の高い山地・高原域を好む種なのかもしれません。

 

 

 

 

 

シロオビクロナミシャクのご開帳シーン。

登山道では割とよく見かけます。

 

うーん……天気が悪かったせいもあるのかもしれませんが

予想以上に昆虫の出がよろしくありません。

昨年秋のようなサプライズ(カモシカと遭遇)もなく

人も少なかったので色んな意味で寂しかったかなと(汗)。

 

案外、天気さえよければもっと成果が挙がったのかもしれませんが

梅雨時にそれを期待するのも難しいだろうなぁ……。

 

 

 

 

 

 

一応、高尾山でマダツボミだったギンリョウソウにつきまして

この日はちゃんと開花した状態で群生しているのを観察・撮影できました。

 

これだけ多数まとまっている姿は初めて見たかもしれません。

 

 

 

 

 

バッタのようなものを捕獲したハエトリグモの一種。

 

……依然として、コイツがハエを捕まえているシーンを

私は見たことがありません。 まあバッタの方が捕まえやすいのでしょうが

 

 

 

 

 

サラサドウダンの花。

これはこの端境期(というのは失礼かもしれませんが)限定の花です。

なお、日本の固有種であるとのこと。

 

 

 

 

 

普段より早めに下山し、御岳渓谷をぶらりと散策。

緊急事態宣言が解除されたためか、河原に人が出ていました。

カヌーのトレーニングをする人は前々からよく見かけていましたが

ユニークなところでロッククライミングの練習する人もいるようです。

 

 

 

 

 

なんか一部、橋が崩落しているところも……。

やはり例の台風のせいなのか?

 

 

 

 

 

御岳山山中に比べると人の手が入ってはいるものの

ここの渓谷も自然度が高く、生きものはそれなりに豊富です。

昨年秋のようにスミナガシやカラスアゲハが撮り放題とはいかないものの

この日はサワガニが現れました。なかなかの良い写りです。

 

 

 

 

 

一応、手に持ってみました。

こういう渓流域で暮らしているカニはサワガニだけですので

識別に苦労することはありません。(これが海だと毎回苦労させられます)

 

 

 

 

 

 

時間をかけて歩いたおかげで気づいたことも。

この御岳渓谷、谷そのものが一つの観光名所となっているらしく

散策者のための休憩スポットがいくつか川沿いに設けられています。

写真のようなカフェもあり、川の風景を眺めながら

お茶やコーヒーが楽しめるスポットも!

これはなかなか女性受けがいいかもしれませんね。

 

 

 

 

 

結局、御嶽駅から隣の沢井駅まで歩いてしまいました。

沢井駅前には結構大きめの食事処があり、

屋外で食事・飲酒を楽しめるので、散策の疲れを癒すにはもってこい。

 

1駅分くらいなら、川沿いを歩くのもいいかもしれません。

次、レンゲショウマを撮る時にもやってみようかな……?

 

 

 

 

 

最後に、渓谷沿いの水たまりで見かけたアメンボです。

よく見かけるアメンボよりも一回り以上デカい

その名もオオアメンボです。本ブログでは新顔になります。

 

遭遇率・・・2

インパクト・・・4 (実際見るとわかりますが、通常のアメンボより明らかにデカい)

美しさ・・・3 (見ての通り、色はアメンボと同じ)

俊敏性・・・3

 

手に乗せて撮影しないとサイズ感がわからないかもしれませんが

アメンボには鋭い口吻があり、変に持てば刺される可能性もあります。

(たまに知らない人がいますが、アメンボは獰猛な肉食昆虫です)

つーかすごい小さい頃に刺されて悶絶した記憶がありますが

あれは果たして何年前だったか……もう覚えていないっス。

 

 

 

結果的に、花が少なく成果としてはイマイチ物足りなかったものの

端境期なりにこれはこれで楽しめた気はします。

とりあえず、レンゲショウマのシーズンに期待ですね。

 

 

 

【5/31 御岳山~御岳渓谷で撮影した生きもの】

鳥類・・・ウグイス、キジバト、キセキレイ、シジュウカラ、ツバメ、ハクセキレイ、ホオジロ、メジロ

昆虫類・・・アメンボ、イチモンジカメノコハムシ、オオアメンボ、クロスズメバチ、コジャノメ、ザトウムシ、シモフリコメツキ、ジョウカイボン、シロオビクロナミシャク、スジブトハシリグモ、タンザワフキバッタ、ツマグロオオヨコバイ、テングチョウ、ナナフシ、ニホンベニコメツキ、ハエトリグモの一種、ハサミムシ、ヒカゲチョウ、ヒメジャノメ、ヒラズネヒゲボソゾウムシ、ムネアカオオアリ、モンシロチョウ、ヤブキリ(幼虫)、ヤマトシリアゲ

その他・・・サワガニ、ニホンカナヘビ