思わぬ外来種(花をたずねて鎌倉歩き/鎌倉中央公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

10月の「鎌倉歩き」より。

この日は鎌倉中央公園に行きました。

本ブログでも過去に紹介したことがありますが

振り返ってみるとなんと3年ぶり。

もちろん、こうしてツアー同行で伺うのは初めてです。

 

道中、道路脇の小川を覗くと、大量のエビが。

スジエビか、はたまたヌマエビが……。

上から見ただけでも相当数見つかりましたので

川に入って石などを引っ繰り返したら

少々気持ち悪いことになる……かもしれない。

 

 

 

 

 

至近距離で撮影できたご開帳のウラギンシジミ(オス)

サイズが大きい上、翅を開くとごらんの通りの美しさゆえ

他の参加者の皆さんも興味津々のご様子でした。

 

……やっぱビジュアルって大事なんだよ。人も虫も。

 

 

 

 

 

 

「鎌倉歩き」では道端の花も要チェック。

在来のホトトギスがこうした崖面によく生えています。

 

ちなみに同じような鎌倉の崖面に咲く花として

イワタバコ(ケイワタバコという説も)がありますが

あちらは初夏の花なので、一緒に同じ崖で見られる可能性は

残念ながらゼロに等しいと言わざるを得ません。

(そもそもこの2種は「同居」するんだろうか?)

 

 

 

 

 

いい天気です。ちなみに先程の天気予報では

当面いい天気かつ平年より気温の高い日が続くとか。

また年明けにチョウが飛んだりするようなことになるんだろうか?

 

 

 

 

この公園は基本的に谷戸を活かした里山系公園です。

「はざかけ」などの秋らしい風景もたくさん。

 

 

 

 

 

 

こちらは湿地帯に生えている代表的な植物です。

左はミゾソバ、右はオオミゾソバ

名前からもわかる通り近似種で、オオryの方が大型。

また、赤みを帯びている個体が多いようです。

 

これらの花は湿地帯であればごく普通に見られます。

いずれも在来種であり、昔からここに生えていたものと思われます。

 

 

 

 

 

 

「鎌倉歩き」中にも何度か昆虫に遭遇しましたが

その都度手に乗せて撮影します。

左はハラビロカマキリ、右はツユムシ

 

ツユムシの方はこの後全然逃げる気配がなかったのですが

何でこう虫には懐かれるのか。女の子は来ないのに

 

 

 

 

 

日光浴ポーズをドヤ顔で晒すアオサギ

さすがにこのポーズは皆さんも見たことがなかったらしく

かなり興味を惹かれていたようでした。

 

やはり「きれいなもの」「珍しいもの」

一目でわかる(←ココ重要)ものであれば

老若男女を問わず生きものにも興味を持ってもらえるようです。

ただ、仮に珍しい生きものでもそれが一目でわからないような

普通種と外見が似ているもの(ツマグロry以外のヒョウモンチョウなど)は

それだけではなかなか注目されることはないみたいです。

 

上のアオサギは、河川で比較的よくみられる鳥ですが

この変態チックなポーズにはバードウォッチャーでなくても

写真を撮りたい気を起こさせるようです。

 

 

 

 

 

 

再び、里山らしい風景。谷戸環境であることがよくわかります。

右写真の白い穂状の花はサラシナショウマ。ちょっと珍しい植物だからか

目印となる棒が立てられて大切に守られているようでした。

(もしかしたら植えられたものなのかもしれませんが)

 

 

 

 

 

今でもこういう木に掴まって遊んだりする子供は

少なくないみたいです。童心にかえるのも大事ですね。

 

 

 

 

 

 

ワレモコウ(左)も最盛期。結構多数見られました。

ついでに半日陰環境には例のあかんやつも(右)。

これ、本当に普通に生えているので

特に子供がうっかり摘んだりしないよう注意が必要かも……。

 

 

 

 

 

湿地の植物といえば、こちらも代表種。

ツリフネソウの大群落です。

この時期の鎌倉中央公園の代表的な花風景で

場所によっては到底数えきれないほどに。

 

ちなみに、同じ形で黄色いキツリフネは

この日は全く見られませんでした。

「住み分け」ができているのかもしれません。

 

 

 

 

 

オオカマキリ越しの

谷戸風景

 

 

 

 

 

 

もういっちょ(上のとは違う個体です)

 

 

 

 

 

これはコカマキリですね。

散策中、とにかくカマキリとやたらエンカウントしました。

このコカマキリもお腹が大きいように見えますが

ちょうどお産の時期だったのでしょう。

 

でも、11月も中旬に入ってくる今週末辺りだと

さすがにカマキリも数が減ってくるかな……と予想。

とは言え上記の通りしばらく温暖気候が続くらしいので

もしかしたら12月まで観察チャンスはあるかも?

 

 

 

 

 

足元にオオスズメバチ

いや、それはちょっと避けられねえだろ。

これをうっかり驚かせて襲われるというのは

ちょいとばかり理不尽に思えるんですけどね(汗)。

 

ちなみに直前に気づいたので、

驚かせたり傷つけたりすることはありませんでした。

 

 

 

 

 

吸蜜中のホシホウジャク

真上からフラッシュ使用で撮影しました。

翅の黄色い紋がくっきりと写っていますね。

 

あと、ホバリングすることで有名なこの蛾ですが

よく見ると前脚で花に掴まっています。

(もちろん、全てがそうではありません)

 

 

 

 

 

さて、最後にチョウにつきまして。

上の写真はいつものウラナミシジミですが……。↓

 

 

 

 

 

注目してほしいのがこちらのチョウ。

一見するとウラナミシジミによく似ていますが

翅の裏側の模様が微妙に異なっているのがわかりますでしょうか?

(ウラナミryのように波立っておらず、斑点が目立つ)

 

「鎌倉歩き」中には正体がわからず、ひとまず写真だけ撮って

家で調べてみたのですが、どうやらクロマダラソテツシジミという

南方系の外来種であるらしいことがわかりました。

しかも九州に元々いて温暖化で自然に広がったという

ツマグロヒョウモンやナガサキアゲハなんかとは違い

(ツマグロryはパンジー・ビオラの植栽のせいかも?)

東南アジア等から20世紀後半に入ってきたそうです。

 

 

遭遇率・・・1 (今回初めて撮影。本来はいないはずのチョウ)

インパクト・・・2 (サイズはウラナミryとほぼ同じ)

美しさ・・・3

俊敏性・・・4  (他のシジミチョウに準じる)

知名度・・・1 (外来種ということもあり図鑑に載っていない場合も)

 

 

名前の通り、幼虫の食草は南方系植物として有名なソテツ

鎌倉は太平洋(相模湾)に面した海沿いの街であり

商業施設などにソテツが植えられることも少なくないので

造園工事の際に植えられた木から発生したか

それとも単純にソテツの植栽数増加と温暖化によって

自然と広がってきたのか……少々気になるところですね。

 

 

 

【10/24 鎌倉中央公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、エナガ、ガビチョウ、カルガモ、シジュウカラ、トビ、ヒヨドリ

昆虫類・・・アオイトトンボ、アキアカネ、アメンボ、アリグモ、イチモンジセセリ、ウスイロササキリ、ウラギンシジミ、ウラナミシジミ、オオカマキリ、オオスズメバチ、カネタタキ、キタテハ、キバラヘリカメムシ、クダマキモドキ、クロマダラソテツシジミ、コカマキリ、コバネイナゴ、コミスジ、シマアメンボ、セスジツユムシ、ツバメシジミ、ナミテントウ、ニホンミツバチ、ハラビロカマキリ、ヒメジュウジナガカメムシ、ホシホウジャク、ホソメヒラタアブ、ヤマトシジミ

その他・・・アカミミガメ、スジエビorヌマエビ、タニシ、ニホンカナヘビ

 

★現在、生きもの探索ツアー開催に向けて準備中! ご期待ください。m(_ _)m