都内にある顧問先マンション(築46年目・17戸)では、あまりにも管理会社の怠慢ぶりが酷いため、管理会社変更(=リプレイス)の検討をしています。
具体的にはこのような状況です。
(1)建物の老朽化に伴う修繕・更新等について見積りの提出などが一切なく、計画的な修繕がほとんど行われていない。
(2)管理会社の担当者への依頼事項のほとんどが放置されるか、大幅に遅延している。
(3)理事会開催の提案、(法定義務である)月次会計報告書の提出、管理委託契約の更新の申出もなされない。
(4)管理費の長期滞納者がいるのに、督促等の進捗報告や回収の提案がなされない。
(5)住込みの管理人が勤務時間中にもかかわらず、受付窓口がクローズされている。(玄関チャイムで呼び出さないと応対してくれない)
(6)管理規約が竣工当時のまま一切改正されていないが、実際の運用は規約と異なる方法で行われている。(規約上は管理者方式を採用しているため、理事会に関する定めが記載されていないにも拘らず、役員が総会で選任されていた → その後当社のサポートで実態に合わせて全面的に改正)
<参考記事>
これでは、管理委託費がいくらリーズナブルでも意味がありません。
そのため、新たな管理会社の候補先を3、4社選び、うち3社に現地調査と見積もり提案を依頼しました。
ただ、いずれの候補先も、住み込み方式の管理人はNGのため、日勤の管理人を派遣するプランか、(管理人を派遣せずに)清掃作業員のみを派遣するプランの2案で提出してもらいました。
その結果、現状の管理委託費の水準と同等、もしくは安くすることもできることがわかりました。
さらに注目すべきは、金額面以外の条件です。
以下の通り、今の管理会社と比べて質的なサポートが手厚く感じられる提案もありました。
(1)長期修繕計画の作成と更新
定額委託費の範囲で長期修繕計画及び資金計画の立案を実施する。
(通常は別途有償で30万円以上かかる)
(2)建物・設備劣化診断の実施
年2回設備点検を実施し、報告書で写真添付のうえ現況を判定(〇正常、×不良、▲要緊急補修、☆要交換・整備)を実施)する。
(3)滞納者への督促対応
管理費滞納者への督促(電話・書面送付・自宅訪問)を12ヶ月間実施する。
(通常は6ヶ月間まで)
(4)コールセンターの受付対応
一般的な問い合わせについては毎日営業時間内(9:00-19:00)で受付けるが、緊急時は24時間常時受付ける。
今回の提案を受けて分かったことは、
高経年・小規模マンションでも、都区部にある場合には複数のリプレイス提案が受けられるうえ、(委託先によっては)現状よりも有利な条件を提示されることもある、ということです。
新築マンションの供給が減少するなか、管理会社の経営環境は厳しくなっています。
そのため、「より高い収益が見込める既存物件」をリプレイスで受託したいと考えています。
では、「より高い収益が見込める既存物件」とはどのような条件でしょうか?
マンション管理の事務は労働集約性が高いあるため、一定の業務効率を維持できるように、
(1)都区部など利便性の高いエリア
(2)物件規模が一定以上のもの(たとえば50戸以上など)
のいずれかの条件を満たすことが求められつつあります。
今回取り上げたマンションでも、当初の候補先の1社から「物件規模が小さいので、見積もりを辞退したい」との申し出がありました。
ただ、たとえ小規模でも、周辺に既存の受託物件のある老舗管理会社などの場合は歓迎されることもわかりました。
なお、高経年物件については、役員のなり手不足などで組合運営に支障が生じるリスクがあるものの、修繕工事案件を受注できるチャンスが多いため必ずしも不利にはなりません。
言い換えれば、都心から離れた郊外エリアの小規模マンションは、営業対象から外されるか、委託費が割高な条件になるリスクがあると言えるでしょう。
<参考記事>
※ ブログ認知度向上にご協力いただければ嬉しいです (^▽^)/
↓ ↓