ザウルスの法則

真実は、受け容れられる者にはすがすがしい。
しかし、受け容れられない者には不快である。
ザウルスの法則

海底考古学31: 九州近海の “フィッシュボーン型” クローラー痕の謎

2019-08-17 10:00:23 | 海底考古学、火星考古学

海底考古学31: 九州近海の “フィッシュボーン型” クローラー痕の謎

 

 

前回の 110 km の “メガスクラッチ型” のクローラー痕に比べると、今回の “フィッシュボーン型” のクローラー痕は数段トリッキーで、その発生のメカニズムは “スクラッチ” とは根本的に異なるようだ。

 

実は、“フィッシュボーン型” は今回が初めてではない。覚えている方もいるかもしれないが、 YouTube 動画:海底考古学27: 沖縄近海のクローラー軌跡 ですでに見てきている。

 

 

 

線状の痕跡の両側に “魚の骨” 状に突起が並んだクローラー痕を、「海底考古学」 では “フィッシュボーン” と呼んでいる。

 

 

 

  

実にややこしいことに、正確に言うと今回の場合、1本の 145km のクローラー痕の 約4/5 (水色のフレーム)が “フィッシュボーン型” で、残りの 約1/5 (黄色のフレーム)が “スクラッチ型” なのである。

 

“スクラッチ” は “溝” であり、“凹(おう)型軌跡” であるのに対し、

“フィッシュボーン” は “線状隆起” で “凸(とつ)型軌跡” である。 “土手状” 隆起ともいえるのだが、こう表現すると、ふつうの “土手” のサイズをイメージされてしまうので、この表現はあえて避ける。

 

 

 

 

  

 

“スクラッチ型” については前回の 「海底考古学30」 をご覧いただくとして、こちらではまず、“フィッシュボーン型クローラー痕” がどういうものか見ていこう。

 

 水色数字は “フィッシュボーン型クローラー痕” の直角断面図の場所を示す。数字1,2,3 はフィッシュボーンの “軸” となる “背骨部分”、の直角断面箇所 であり、この断面には “枝骨(えだぼね)部分” はいっさいかかっていない。 

 

 

 赤の向かい合った矢印は、“背骨” の “幅” を示す。 “谷底部分” から “谷底部分” までの距離を線状隆起の “幅” としている。ここでは 約3km である。

 水色の上向き矢印は、“背骨”  “高さ” を示す。 “谷底部分” から “頂上” までを線状隆起の高さとしている。海底の起伏は “深さ” で表示されるので、ここでは “谷底部分” の -958 m  から “頂上” の -786 m を引いて、172 m の高さとなる。

 

 

 

 

 

 

 

すでに触れたが、フィッシュボーンの幅は “谷底部分” から “谷底部分” までで計測している。仮に “尾根部分” だけの幅として考えたとしても、ここでの幅は 約1.5 km はあると見ていいだろう。

 

 

 

 

 

 

 複雑に見えて恐縮だが、ブルーの点線は数値の拡大元を示している。ここの断面は特にこの “線状隆起” の “非自然的” な形状を表わしているように思う。“非自然的” とは、“自然力のみによって生じたようには見えない” という意味である。

 

 

さて、黄色のフレームに進む前に、今見てきたフィッシュボーンを別の角度からの断面図で見てみよう。

 

 

 

 

  上掲の計測結果の通り、3本の平行かつ等間隔の断面線 A、B、C の長さは 57.3 km である。

 

 

そして平行な断面線の両端の線 A と C の幅は 2.0 km である。つまり、AとBの間 と BとCの間 はそれぞれ 1 km である。

 

 

3本の平行線のうち一番上のA(ピンク)の線から見ていく。

フィッシュボーンの大小さまざまな “枝骨” の断面を 57キロメートルに渡ってスライスして一覧している。

 

 

 中でも特に聳えているように見える “枝骨” の断面を計測している。“枝骨” の両側の “谷底” と “谷底” との間の距離を “枝骨” の “幅” とするが、ここでは 1.3 km である。

いっぽう、“高さ” は 201 m である。「海底考古学 30」 でも触れたが、Google Earth の断面図では直感的把握を助けるために起伏が誇張されて表示される。このことをもって、Google Earth の画像表示は信頼性がなく、「海底考古学」 も同じように信頼性がない、と鬼の首でも取ったように言う輩(やから)がいる。

Google Earth では、長い距離を常に画面上の一定のフレーム幅で表示しなければならないために、長さを “圧縮” して表示せざるを得ないことが多い。この断面図の場合、縦横比は 1:1 ではなく、1:0.0357、つまり 1 : 1/28 になっている。要するに、幅は 28分の1 に圧縮されている。なので、“枝骨” の隆起はかなり鋭角的に見えている。もし圧縮無しで表示しようとすると、幅は28倍の長さに引き伸ばされるので、隆起ははるかになだらかになるはずだ。

もしこのことをもって、「海底考古学」 は デタラメだ、デジタル的トリックだ、と言うのなら、それは、監視カメラ映像を早送り再生したものは、デタラメで、デジタル的なトリックであり、犯罪行為の立件において証拠能力はゼロだと言うのと変わらないだろう。

 

 

2本目のBの線は、フィッシュボーンの軸となる “背骨部分” である。

 

Aの “枝骨群” の断面とは違い、明らかに細かい凹凸が少ない。

“枝骨群” の断面のようなノコギリの歯のような凹凸はあまりないが、大きな隆起が右側に見て取れる。この隆起は海底表面の画像だけではとても気づかない。

フレーム中の1マスの横幅がちょうど 5 km である。

断面図の色を濃くした部分は5マス弱の幅があるので、25 km弱 の長さということになる。この 約25 km の距離の両端の高低差は 156 m である。

イタリック数字の 2 と 3 の間に 約50 m の深さの “切れ込み” があり、上の海底表面上でも溝のように見える。

 

 A と B を重ねてみた断面図。比較しやすくするために A を緑色にしてある。

 

 波形が違うのはもちろんだが、全体的な高さとしては両者はまったく無関係というわけではないように見える。

 

3番目のCの断面図。

 

A , B , C の3つを重ねてみた断面図。

 A と C の “枝骨” の波形の間にはかなりの相関関係が見られる。しかし “背骨” の波形 B は形状的には、当然のことながら、 A と C からはかなりの独立性を有している。にもかかわらず、全体の流れとしては A、B、C は同一の “線状軌跡” の3つの平行したパートであることが見て取れるように思う。

 

 

以下では最後の C の “海底表面の画像” と “断面図” をできるだけ対応させてみた。中央上に入れた画像が元画像である。3本の平行線のうちの一番下のピンクの線に沿って、半透明の波形を確認して頂きたい。

 

   

いかがであろうか。細かいところまで見事に対応していることが見て取れよう。

「『海底考古学』 は、デジタル画像のエラーに惑わされて、実際は存在していない凹凸を、本当に海底に存在していると勝手に思い込んでいるだけだ」 という “デジタル錯覚説” を主張する手合いがいる。

 

なるほど、それでは以下の例はどうであろうか?

左の九州側の ピンクの線は “フィッシュボーン” で、 右の四国側の 白い線は “南海トラフ” の一部 を示す。

どちらも 約50 km の長さである。

上の断面図は、右側の “南海トラフ” の一部の断面図(50 km)である。

 

この南海トラフの 50 km も精査してみよう。

 


いかがであろうか?

“フィッシュボーン” の場合と同様、“海底表面の画像” と “断面図” とが細かいところまで見事に対応していないだろうか?対応関係の表示を妨げないようにここでは計測値は表示していないが、その気になればいくらでも計測して表示することができることは言うまでもない。

 

さて、これも “デジタル的錯覚” であろうか? あなたはこの “南海トラフ” のヒダのような起伏は実際には存在しないと本気で思うだろうか?

それとも “南海トラフ” のほうは実在するが、“フィッシュボーン” のほうは実在しないと言うだろうか?それとも、どちらの 約50 km に渡る凹凸も実際には存在せず、それらの海底は本当はただの “のっぺりした平面” だと言うだろうか?

 

はっきり言おう! どちらも “実在” するのだ。

数メートルの誤差はあるかもしれないが、ほぼ画像のような凹凸が海底にあると思っていいのだ。本気で疑うだけの理由も根拠もありはしないのだ。

地球の全表面を網羅した Google Earth もたしかに完璧ではないだろう。ミスやエラーも当然あるだろう。しかし、「海底考古学」 がそうした “エラー部分” だけを拾ってきているというイチャモンにはまったく根拠がない。そうした主張をするのなら、まず、上に挙げた “南海トラフ” が、同じような “デジタル的エラー” であるのかないのかを言う必要があるだろう。“南海トラフ” でなくてもいい。富士山の断面図でもいいのだ。

 

どうだろうか?同じ 約50 km の断面図だ。これも “デジタル的錯覚” なのか?

“南海トラフ” と “富士山” と “フィッシュボーン” の画像と断面図のうち、どれが “デジタル的錯覚” なのか、どこが “デジタル的エラー” なのかはっきり言ってもらおう。

 

ただ受け入れたくないからというだけで、根拠も無く “デジタル的錯覚” といった言いがかりをつけるのはやめるべきだろう。“デジタル的錯覚” の一言で片づけられると思ったら大間違いである。

知的レベルの低い人間ほど、真実を認めたくない一心でデタラメを吹聴して否定しようとする。脆弱で卑小な知的世界が吹き飛んでしまうのを必死になって食い止めようとするものだ。

          「真実は、受け容れられない者には不快である。」      ザウルスの法則

 

 

クローラー痕の右のブルーの “フィッシュボーン部分” から見てきたが、いよいよ左端の黄色の “スクラッチ部分” を見ていこう。

 

 

すでに触れたが、“フィッシュボーン” のクローラー痕が “凸型” であるのに対し、“スクラッチ” は “凹型” である。ここで 謎 めいているのは、“凸型” から “凹型” にシームレスに連続している点である。どう見ても、同じ1本の “クローラー痕” なのだが、途中で “凸型” から “凹型” に反転しているのだ。海底表面に対し、+(プラス) から -(マイナス) に切り替わっているのだ。

 

 

 

 “スクラッチ型” に切り替わった “クローラー痕” である。

 

以下に、切り替わる前と後とを並置したので、じっくり比較して頂きたい。

 

見ておわかりのように左の 98 m の“線状隆起” だった “クローラー痕” が、ほとんどシームレスに右の 366 m の深さの “溝” に “反転” している。溝の幅(8 km)も、“フィッシュボーン” の隆起の幅(2.7 km)の ほぼ3倍 になっている。

 

 “スクラッチ型” のクローラー痕は、外力によって凹まされたか、削られたかしたように見えるので、ある意味で理解しやすかった。しかし、“フィッシュボーン型” は凹んでいるのではなくて、“隆起”している。明らかに盛り上がっている。しかも、それが同じ “クローラー痕” として “凸型” の軌跡からどう見ても連続しているのである。この “反転構造” は、幅数キロメートルにも渡るものであり、もはや人類の工学的想像力のレベルを超えているように思える。

 

この記事では、こうした謎に満ちた海底の巨大かつ立体的な構造がどうやって生じたかの説明は残念ながらほとんどできない。それらが実際に存在するという事実をできるだけ客観的に伝えるだけで精一杯である。「海底考古学」 は “解答” ではなく、 読者の皆さんと一緒に考えていくための “問題提起” である。

 


 

 

黄色のスクラッチの2番目の、そして最後(5番目)の断面図に進む。 

 

 

 

 深さ的にはやや浅くなっているが、それでも 283 m の深さはかなりのものである。いっぽう “幅” は 8 km から 8.5 km にむしろ広がっている。

 

“凸(とつ)型軌跡” のフィッシュボーン が、ほとんどシームレスに “凹(おう)型軌跡” のスクラッチ に切り替わっているのを目の当たりにすると、“スクラッチ” のほうも、実はわれわれ人類が考えるような単純なメカニズムで生じたのではない可能性も考慮に入れる必要があるかもしれない。

もちろん “自然力の作用” だけでこうした構造の発生がすべて説明できるのであれば、いちばん話は簡単である。しかし、今までこれに成功した例はない。

 

“スクラッチ” という捉え方はある意味で非常にわかりやすく、われわれ人類としてはまずはこうした捉え方をする以外にない。しかし、実際の “クローラー痕” は、スクラッチにしてもフィッシュボーンにしても、人間的な尺度をはるかに超えた、とてつもない大きさであり、その幅だけでも 数キロメートル ある。われわれは、ここに “人類文明のテクノロジー” とは根本的に異なる “非人類文明のテクノロジー” の痕跡を見ているのかもしれない。

 

地球の海底に “非人類文明の痕跡”? そうである。その可能性をも視野に入れる必要があるというのが 「海底考古学」 の主張である。

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 週刊新潮 「スマホ認知症」... | トップ | 朝日新聞の日本語レベル:お... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

海底考古学、火星考古学」カテゴリの最新記事