- カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)/講談社
- ¥929
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人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。
ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。
やがて同居人は増え、5人と1匹に。
「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、
残酷な過去は彼らを離さない。
各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?
息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。
道尾秀介の真骨頂がここに!
注:即ネタバレしてます!!!
も~~~~最高でした!これは最高傑作でしょ!!
さっすが道尾さんです。
この作品をとりあえず一言でまとめると、
テツさん、働き過ぎ!
ですかね。笑涙
もう、ミスリードに次ぐ、ミスリード。ミスリードの嵐です。
叙述トリックではなく、純粋なミスリード、
とでもいうのでしょうか。
大きなものから小さなものまで、
全てが私たちを騙すために書かれている、
といった感じです。
確かに、全てが
テツさんの言葉きっかけで始まってるな~
とは思ってたんですよね。
そもそも自分から武沢のところに転がり込んでるし。
なので、実はテツさんは
武沢に復讐する側の人間なんじゃ?
と思っていました。
取り入って、仲良くなったところで
大裏切りをしようとしてんのかな?と。
結果は、全然違いました・・。
物語の最初らへんは、本当に胸くそ展開です。
人生の転落って、こんな風に始まるんだ・・
と思いました。
もうどこにも頼れるところがなくて、
最後の最後に藁をもつかむ気持ちで
頼ってきたところを、
谷底に蹴り落としてとどめを刺すような・・
最悪でした。
娘のくだりは本当に泣けた。
悔やんでも悔やみきれない、
もうどうにも取り返しが付かない、
ということほど恐ろしいものはないな、と思いましたね。
まあそんなこんなで色々あって、
5人暮らしになってからはもう怒濤の展開でした。
貫太郎が変!
↓
わー!裏切ったー!
↓
まひろ死んだーー!?
↓
わあ全部打ち合わせ通りやったんやー!
↓
って、すぐ見つかっちゃったー!
↓
えーヒグチ(弟)、良いやつー?!
↓
まさかの丸く収まって終了ー!
と。ここまでで終わり!かと思!い!き!や!!
まさかのテツさんが、ね・・。
これに関しては、ヒグチがまひろたちの父だと
ミスリードされていましたよね。
遺書の字の件が片付いていないな~
と思っていましたが、
このタイミングできましたか。
そしてそしてさらに、全て作られたものだったという衝撃。
どこまでが本当で、どこまでが作りものなのか、
一瞬わからなくなっちゃいましたよ。
武沢の娘の件やまひろたちの母の件は、本当。
でも、その後のヒグチの復讐が、作り話・・。
もう脱力しちゃいました。
この物語で、ここだけが私は少し引っかかりましたかね。
武沢の娘を殺すほどの暴力性を持ったやつが、
自分を破滅に追い込んだ男に
復讐をせず生きている、というのが。
結局武沢は今後も
ヒグチ(本物)の影におびえて
生きていかなくちゃいけないのでは?とね。
まっ別に良いのか、そこは。
はあ~~最高に楽しい読書体験とはこのこと。
早くも今年No.1が出ちゃった感じがします。
会う人みんなにおすすめしたい!
そんな1冊です。