3月末のエッセイ
季節は巡り桜前線が北上中だ。三寒四温、慣れ親しんだ言葉だが、なるほどこのところの実感だ。
穏やかな田の土手を歩いた。
いつしかオオイヌノフグリ、ナズナやハコベが満開、厳しい冬を乗り越えた草々がそれぞれに個性的なロゼット状の葉を広げていた。
躍動する自然には少し早いが、昨日の雪がうっすら残る林に踏み入った。
ユキヤナギの芽が銀色に膨らみ始めたが、木々の目覚めは遅い。
林間をたおやかに舞うウスバシロチョウを想った。
林床に目を懲らすとザラメ雪の間に,ウスバシロチョウの食草ムラサキケマンがギザギザの葉を拡げ始めていた。
やがて越冬した卵は孵化し食欲旺盛に成長し、連休明けには舞い始めるだろう。
清らかな流れには、じきにカワトンボが翅を輝かせて現れる。
ファインダー越しに小さな虫たちの命を見つめながら、心躍らせ至福の里山巡りを楽しみたい。