びわ湖ホール大ホールでオペラを見てきた。10月6日、三連休の初日、暑いくらいの日だった。単衣の一番上等の大島で行ったが、暑かった(^0^;)
指揮はここの芸術監督でもある沼尻竜典、オケは日本センチュリー交響楽団、合唱はC.ヴィレッジシンガース、残念ながらびわ湖ホールの声楽アンサンブルは入っていない。
配役は以下の通り
ザラストロ・・・・・伊藤貴之
タミーノ・・・・・・山本康寛*
パミーナ・・・・・・砂川涼子
夜の女王・・・・・・角田祐子
パパゲーノ・・・・・青山貴
パパゲーナ・・・・・今野沙知恵
モノスタトス・・・・小堀勇介
三人の侍女・・・・・田崎尚美・澤村翔子・金子美香
三人の童子・・・・・盛田麻央・守谷由香・森季子*
弁者・僧侶I・・・・山本浩司
僧侶II・・・・・・・清水徹太郎*
武士I・・・・・・・二塚直紀*
武士II・・・・・・・松森治*
*はびわ湖ホール声楽アンサンブルソロ登録メンバー、つまりここの卒業生。特に「4大テノール」の内三人がいると言うのが嬉しい。
開幕5分前のベル、の代わりにこのオペラの中から"ein Maetchen oder Weibchen"がグロッケンシュピールで演奏される、と言うがいい。まるで宝塚大劇場の開演五分前の合図が「すみれの花咲く頃」みたいではないか。
開幕前から、舞台の上には楽譜が書かれている事がわかる。又、幕外におもちゃのピアノ。序曲の途中で三人の童子が出てくる。これを見た時、僕は、「アマデ」ではないか、と思った。そう、ミュージカル「モーツアルト!」に出てくるアマデだ。
また、今回の上演で良かったのは、歌唱は原語のドイツ語、台詞は日本語だと言う事。今までここで何回か台詞の入るオペラを見ているが、なにも地の台詞まで原語にすることはないのに、と思っていた。結果、なんの不自然な所もなく舞台は進行して行った。歌唱の時字幕が出るのだが、その訳が現代的でこの上演意図に添ったものになっているのが面白い。
幕開きはタミーノ(山本康寛)がバケモノに襲われる所。元々は大きな蛇に追われるのだが、この舞台では過労死寸前のサラリーマンのように見える。そこで、タミーノは別の世界に飛んでしまう。
面白いのは、夜の女王とザラストロが老人になっている事。だから、若きタミーノがパミーナ(砂川涼子)を得てこの世界を再生させる、と言う解釈かと思えばそうでもなかった。タミーノとパパゲーノ(青山貴)が、三人の童子、つまり、モーツアルト、と言うより誰もが心の奥底に持っている子供の心に導かれて、目的地に達する、と言う話とも言える。それに、夜の女王とザラストロは別れた夫婦と思わせる設定になっている。
モノスタトスの小堀勇介がいい。どこかで聞いた名前だと思ったら、去年ここで「連隊の娘」を上演したとき山本康寛とダブルキャストでトニオを歌った人だ。そう、あの高いCが何回も出てくるので有名なアリアが歌えるほどの実力を持っている人なのだ。こういう人が歌うとモノスタトスと言う端役でも良い役に思えてくる。
それに青山貴のパパゲーノが絶品なのだ。特に、"ein Maetchen oder Weibchen" のアリア、それから、"Papagena, Papagena" のところ。ただ、惜しいのは、「ふたつ半」といいうのが無かった事。この「ふたつ半 halb twei」と言うのがいかにもパパゲーノらしいのだが。"Pa,pa,pa" でのパパゲーナとの二重唱。ここはホントに、良かったね、と言ってあげたくなった。
勿論最後は、タミーノとパミーナが試練に打ち勝ってザラストロの宮殿に迎え入れられるのだが、これで本当にハッピーエンドなのだろうか、と疑問が残る。幕切れ、倒れた夜の女王を心配げにのぞき込むザラストロの姿が印象的だった。
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