仕事の楽しみ

竹炭


竹虎工場の仕事は3K の部類に入り、今の若い方には敬遠されがちな職種であるという人がいます。「きつい」「きたない」「きけん」のローマ字の頭文字を取っているのですが、幸いなことに自分はそう思ったことが入社した当時から一度もありません。


山での竹の積み下ろしや、真夏の暑い中での火を使った油抜きなどしんどいと思ったことはあるのですが、肉体労働はしんどいですし、夏の工場内で火を使えば暑いのは当たり前のことで、それを黙々とこなしている先輩職人さんをいつも見てきたからです。しんどいのは自分が弱いからだといつも思って仕事をしてきました。


とはいえ、その感覚は人それぞれですし、今の若い人には尚更わからないことのようにも思います。最近は山に入ることが多くなり、しばらく入らなかった山の整理も多くなりました。若い職人たちにはその作業が大変だとしか感じていないようです。これでは能率も上るわけがありませんし、やりがいや楽しさをもっと伝えていかなければと思っています。


確かに急斜面の山に入り、まだまだ暑さの残る時期に蚊などの虫に悩まされながら下草を刈ったり枯れた竹を切り倒していく作業は大変です。でも綺麗になった山を見るのは達成感がありますし、また来年以降のその山からどんな竹が生えてくるのか考えれば、大変なほど楽しみと期待も大きいのです。


工場での仕事は朝から同じ仕事を黙々とこなしていくことも多いです。その中でいつも言っていることは時間を物差しにして欲しいということです。綺麗に良いものを作るのは職人として当たり前ですが、自分の上達が一番わかりやすいものが時間だからです。


作業の内容によりますが、自分は決められた作業ではいつも時間との戦いをして、勝った負けたと一喜一憂しながら毎日の仕事をしていました。誰よりも早く、うまくという目標だけがその時の楽しみだったように思います。


そういう風に考えると楽しいよと若い職人に何度となく伝えては来
ましたが、なかなか伝わっていないようです。人それぞれ考え方も違いますし、楽しみ方も違います。まだまだ伝え方が悪いのかも知れまん。


でもこうやって炭の選別をずっとやる作業の中でも、時間との戦いや、選別の精度を上げることや、お客様のところに届いてしっかり調湿や匂いを取ってくれるか、喜んでもらえるか、など考えることはたくさんあり、その中で楽しみを何か見つけて喜んで仕事ができればずっと成長できるし、本人も楽しく仕事ができると思うのです。