日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

広島原爆忌・長崎原爆忌を前に

2019年08月06日 | 日記

広島原爆忌・長崎原爆忌を前に

 

1.今年も、広島原爆忌・長崎原爆忌がやって来ます。その日から74年が経ちまし

た。今年の夏は暑く、1945年の8月6日と9日のそれぞれの日も暑い夏の日にあ

り、これが一瞬のうちに灼熱地獄と化しました。言葉なく、合掌し、黙祷致します。

 

2.今年の日本は、いつものように静かな夏ではありません。韓国が緊張しています。

日本政府が決定した、韓国向けの有機ELと半導体製造用材料となる材料3品目(フッ

化ポリイミド、レジスト、フッ化水素)の輸出管理強化と、韓国を貿易の優遇対象国か

ら外す政令改正を、韓国は「経済戦争を宣布した挑発行為」と受け留めています。それ

ほど、韓国にとっては大事(おおごと)なのです。また、韓国は休戦状態とは言え、朝

鮮戦争の当事者であり、この緊張の中にあります。

 

3.ここでまた、原爆の話に戻ります。何度かこのブログでも述べましたが、アメリカ

の哲学者で、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線に従軍したジェシー・グレン・グレイ

(Jesse  Glenn  Gray)が、その著書『戦場の哲学者 戦争では何故平気

で人が殺せるのか THE WARRIORS REFLECTION ON MEN IN BATTLE』で、広島

と長崎に原爆が投下されたことを知った時のことを、次のように書いています。

 

「多くのアメリカ人兵士はショックを受けて恥ずかしい思いをした。戦場の兵士は故国

にいる人よりも、これらの爆弾がどのような苦しみをもたらすかを知っていたのであ

る。」

 

4.私は、この箇所を読み、アメリカにはこのように考えてくれる人もいるのだと思

い、少しほっとしました。というのは、同じ箇所で彼が「このような行為の極悪なとこ

ろは、何百万の人がそれを受け入れ安堵したということである」と書いているように、

国家を含む集団が犯す罪は、それを行う国家や集団によってしばしば正当化され、それ

を罪と思う個人の良心は、その集団に属する人々にとっては異端でしかないからです。

しかし、ジェシー・グレン・グレイが、「多くのアメリカ人兵士はショックを受けて恥

ずかしい思いをした」と記録してくれていることによって、国家や集団が犯す罪を罪と

思う個人の心は決して異端ではないと思うことができるからです。そして自らも従軍し

ている戦争と名の付く国家の行為と人間の心がこの本の主題となっています。

 

5.また、韓国に戻します。何故戻すかというに、私は、今回の日本政府の韓国に対す

る仕打ちに、少し恥ずかしいものを感じているからです。

 

6.韓国は絶対権力を持つ独裁者が、国民を虐げ、支配している国でしょうか?親北政

権であり、日本に対して民族意識をむき出しにして対抗しようとする政権ではあります

が、法があり、市場経済によって社会が成り立っている国です。

 

7.日本と韓国が争い、韓国の力が弱まることを喜ぶ国は何処でしょうか?北朝鮮と中

華人民共和国(以下、中国と記述)です。

 

8.これは、日本政府の失政でしょうか? 私はそう考えています。

 

9.日韓関係は修復できましょうか? 出来ます。しかしそのためには、日韓とも政権の

営者は交代する必要があり、更に日本の場合は、現在の政権を引き継がない新しい政

権運営者の登場が必要でしょう。

 

10.鎮魂に向かうべき心が、極東のリアルな政治上の緊張へと向かってしまいまし

た。しかし、従来の極東の政治と軍事上の緊張に新たな緊張を加えたのは事実であり、

その意図に戦後賠償の際限のない広がりを阻止するという意図を見て取るにしても、そ

の方法には少し恥ずかしいと思うものがあるのも事実です。私たちはこれを改めなけれ

ばなりません。そしてこの道こそが、今を生きる者たちが果たす死者たちへの鎮魂とな

ります。

 

 

                                                      笑っている雲

 

 

 
 
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