2014年4月、経営者保証ガイドラインの施行が始まりました。

経営者保証ガイドラインは、会社借入に対する個人保証が、起業家の事業意欲を削ぎ、経済活力向上の阻害要因となっているということから、これを解消すべく策定された制度です。

内容的には、


・企業と経営者個人の資産・経理の明確な分離
・法人単体での十分な債務返済能力
・適時適切な情報開示

この3つが揃えば無保証で融資を受けられるようにしましょうね、というものです。


ただ、あくまで受けられる可能性があるだけで強制ではありませんから、従わなきゃいけないものでもありません(できるだけそうしましょうね的なもの)。実際、融資全体の9割方はまだまだ経営者保証であるのが現実です。

起業だけでなく、事業承継についても、会社借入金の個人保証が大きな障害となっています。
 

代表を引き継ぐと、代表者のかたには個人保証してもらいますね、と借入金融機関から当然のごとく言われ、拒否なんてとてもできないような空気の中、保証のハンコを押すことになります。


承継したとたんに会社の借入の保証がどーんと降り掛かってくるわけですから、それは躊躇するのが普通の感覚であり、当然です。

承継については、税制面では、事業承継税制というかたちでしっかりと対応がなされてきました。株式の移動について税務面での問題はほとんどなくなったのではないでしょうか。

一方、個人保証については、前述のように後継者確保のネックとして存在していました。
これをなんとかしようというのが、「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」です。

具体的には、

①商工中金が一定の条件を満たす企業に対して「原則無保証化」
②事業承継時に一定の要件の下で、経営者保証不要な新信用保証制度を創設。
③事業承継に焦点を当てた「経営者保証ガイドライン」の特則策定・施行

④専門家による中小企業の磨き上げ支援

⑤ガイドライン充足状況の確認
⑥金融機関の経営者保証なし融資の実績等(KPI)を公表

が、令和2年4月施行にて行われています。

商工中金は年間3万件程の融資について原則無保証とするようです。
新たな信用保証制度については、「一定の要件」というのが気になるところですね。

「一定の要件」を見てみますと、

①資産超過
②返済緩和債権なし
③一定の返済能力(EBITDA有利子負債倍率10倍以内)
④社外流出等なし

ということのようです。
こんなピカピカの会社でしたら個人保証していても(潰れる恐れがないんですから)問題ないですね。(苦笑)


このような会社を承継するについては、特に不安はないと思いますので、承継への不安を解消する、という本来の目的は達成できないと思います。(個人保証は多少減るでしょうが)

他、目を引くところでは、新旧経営者からの二重徴求の原則禁止があげられていますね。
経営者ガイドラインの特則として、後継者への保証を求めないように、とか、前経営者の保証を外すこと(慎重に検討とかいてありますが)などが入っているのは、本施策での目玉ではないでしょうか。

金融機関に対し、この対応ができているかモニタリングし指導する、ともありますので、金融機関は戦々恐々でしょう。(公表までされるらしいですし)
 

承継時に保証を引き継がないこと、前経営者の保証を外すことを要請すれば、これは通るかもしれませんね。

チャレンジしやすい環境が、ゆっくりとかもしれませんが整っていくように思えます。

個人保証による悲劇のない日本となっていくと良いですね。

 

 

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