ブリタニアの憂鬱・ブレクジット大混乱の行方はいかに? | ヤモリのつぶやき

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日々のニュース解説等をつぶやきます......

 先日のラグビーワールドカップで、南アフリカに涙をのんだ日本チーム。
 結果だけを見れば点差は開いたものの、内容は悪くなかった。
 目標をクリアし、未体験ゾーンに入ってきたことでの問題が大きかったように感じた。
 ベスト8が目標だった今までに対し、これからは少しでも上を狙って優勝も視野に入れた活動にシフトするのだろう。
 いずれにしても、BRAVE BLOSSOMS・さくらジャパンの勇気あるファイトには、心動かされた。
 大健闘、おつかれさまでした!ありがとう!!
 
 さて、ラグビーといえば、イングランドのウォリックシャーにあるラグビー市自治区のラグビー校を発祥とするスポーツとして有名だが、出場国もイギリス連邦を中心とした国家だ。
 その本拠地であるUnited Kingdom of Great Britain and Northern Ireland=UK・英国が、前代未聞の騒動で揺れている。
 このワールドカップで盛り上がる時期に、これほどまでに揉めるというのもなかなか因縁めいたものを感じる。
 
 ご存知のようにブレクジットで大騒動となり、1年に渡って揉め続けてきた。
 その集大成になるのが今月末であったはず、なのだが、雲行きが怪しくなってきたのだ。
 世界中に存在するイギリス連邦の中心国家のお家騒動は、下手をすると世界中に波及しかねないトラブルにも関わらず、船頭多くして船山に登るとばかりに、意味のわからない方向になっている。

 以前からお伝えしている通り、EUからの離脱を国民投票で決定し、離脱の協議を延々と続けてきたものの、国民投票のことはすっかり脇に置き、離脱反対派がナンデモ反対攻撃を繰り出して妨害、文句しか言わないグダグダ状態に陥って先代のメイ首相が失意の後にその座をジョンソン首相に明け渡し、ジョンソン首相は気炎を吐くも、議会のろくでもない攻撃に晒されて大混乱しているのである。
 下手をすれUKの崩壊に繋がりかねない事態だから諸々こだわるのは解らなくもないものの、その渦中にもスコットランドが独立を叫んだりと、各カントリーが迷走をする始末。
 これではラグビーの根本である「One for all,all for one」とか、紳士的な行動とか、結束や勇気や忠誠心、献身といったものはどこいった?というような悲しい状態なのだ。

 まずはこんな話から。
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焦点:英経済に「相当厳しい」新ブレグジット協定案 2019年10月18日
https://jp.reuters.com/article/uk-brexit-idJPKBN1WX0B4
[ロンドン 17日 ロイター] - ジョンソン英首相が17日に欧州連合(EU)と合意した英EU離脱(ブレグジット)協定が発効すれば、メイ前首相の案に比べてEUとの経済障壁は高まり、国は貧しくなりそうだ。
合意した協定案を実行に移すには19日の英議会採決で承認を得る必要がある。ジャナス・ヘンダーソンを運用するポール・オコナー氏は「ジョンソン首相が(議会承認を得て)合意を最終締結することができたとしても、相当厳しいブレグジットになるという認識が広がり、投資家の歓迎ムードはすぐに冷え込むかもしれない」と言う。
英財務省と大半の外部エコノミストの試算によると、EUとの貿易障壁が高まれば、EUに残留した場合に比べて英経済の成長率は低くなり、障壁が高ければ高いほど悪影響は大きくなる見通しだ。
先週示されたジョンソン氏の案に基づき調査会社「変わる欧州の中のUK」が試算したところ、EU残留の場合に比べ英国民1人当たりの所得は中期的に6%、年間2000ポンド(2570ドル)相当減少する。
メイ前首相案の場合には所得減少率は5%未満にとどまり、「合意なき離脱」になると8%超減少する。
これに対しジャビド英財務相は17日、ジョンソン氏とEUの合意によって企業の設備投資を阻んでいた不透明感が晴れるのは「自明の理だ」と反論した。

<金融市場>
金融市場は、「合意なき離脱」のリスクが低下したとして17日の合意を歓迎した。
しかしUBSウェルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は、これで英国の成長率は一時的に押し上げられるかもしれないが、長期的な通商環境が不透明過ぎて設備投資の回復には結びつかないとみる。「まだ祝う気にはなれない。経済活動は少し持ち直しそうだが、英経済が低成長トレンドから抜け出せるほど有意な回復ではないだろう」
シンクタンク、欧州改革センターの推計では、2016年の国民投票でEU残留を選んでいた場合に比べ、英国経済の規模は既に約3%小さくなっている。
ジョンソン氏が合意した協定案はメイ氏がEUと合意した案と概ね同じだが、付随する「政治宣言」の内容が薄まったとアナリストは指摘する。
メイ氏の案では今後EUと結ぶ貿易協定について「可能な限り密接な」貿易関係を目指すとしているが、修正案では「野心的な」の一言に置き換えられた。
シンクタンク、インスティテュート・フォー・ガバメントのアレックス・ストジャノビッチ氏は「メイ氏の案であれば、単なる自由貿易協定(FTA)よりも柔らかい協定になっていただろう。現政権が望んでいるのはFTAだとみられ、様相はかなり異なる。英国とEUの間で、特にモノの貿易における規制障壁が残るということだ」と話す。
ホーガン・ラベルズの金融サービス分野専門弁護士、ラケル・ケント氏によると、当初の政治宣言案でも、英国はEU市場にアクセスするためにはEUの規制に縛られるはずだったが、修正案ではその点がよりあからさまになった。英規制当局は、EU離脱後は「ルールを受け入れる」のではなく「作る」立場に立ちたいとしているため、英国とEUの金融市場が分断される可能性が高まるという。
金融市場は、「合意なき離脱」のリスクが低下したとして17日の合意を歓迎した。
しかしUBSウェルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は、これで英国の成長率は一時的に押し上げられるかもしれないが、長期的な通商環境が不透明過ぎて設備投資の回復には結びつかないとみる。「まだ祝う気にはなれない。経済活動は少し持ち直しそうだが、英経済が低成長トレンドから抜け出せるほど有意な回復ではないだろう」
シンクタンク、欧州改革センターの推計では、2016年の国民投票でEU残留を選んでいた場合に比べ、英国経済の規模は既に約3%小さくなっている。
ジョンソン氏が合意した協定案はメイ氏がEUと合意した案と概ね同じだが、付随する「政治宣言」の内容が薄まったとアナリストは指摘する。
メイ氏の案では今後EUと結ぶ貿易協定について「可能な限り密接な」貿易関係を目指すとしているが、修正案では「野心的な」の一言に置き換えられた。
シンクタンク、インスティテュート・フォー・ガバメントのアレックス・ストジャノビッチ氏は「メイ氏の案であれば、単なる自由貿易協定(FTA)よりも柔らかい協定になっていただろう。現政権が望んでいるのはFTAだとみられ、様相はかなり異なる。英国とEUの間で、特にモノの貿易における規制障壁が残るということだ」と話す。
ホーガン・ラベルズの金融サービス分野専門弁護士、ラケル・ケント氏によると、当初の政治宣言案でも、英国はEU市場にアクセスするためにはEUの規制に縛られるはずだったが、修正案ではその点がよりあからさまになった。英規制当局は、EU離脱後は「ルールを受け入れる」のではなく「作る」立場に立ちたいとしているため、英国とEUの金融市場が分断される可能性が高まるという。

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 かなり愚かな視点と言わざるを得ない。
 EUがかつてと同じ様な栄華を極めているという前提で、経済が縮小する様な話になっているのだ。
 一般に、独立国家であればFTAを各国と結ぶなどして、貿易に関わるリスクを低減しつつ経済的な恩恵を受けるようにするのが本道で、EU以外の国家はそのように進めている。
 例外的なのはTPPみたいなもので、トランプ大統領が嫌うのも、自由選択が縛られるという点に尽きる。

 ブレクジットもこの自由選択を求めてのEU離脱なわけで、常にリスクとメリットの天秤でしかない。
 このリスクの点に於いて、多分にご都合主義の判断を据えている点で、愚かな視点と言える。
 仮に、EU自体が沈没した際は、従来どおりのメリットは消滅し、EUを主導する国家として、独仏と並んで責任がのしかかるのは明白だ。

 そのリスクが顕在化したのが移民問題であり、保守層の多いEUの中で無理矢理の革新的改革路線を推し進めたのが独だ。
 EUの責任を振りかざすこの過剰な負担や、支那に絡め取られる独の姿勢がブレクジットを判断させたはずだ。
 ドイツ銀行の天文学的な債権にしても、EUである以上は万が一の際に共同で事に当たるわけで、他人事とは言えなくなるのが加盟国。
 すると、支那との軋轢の関係で、EUは今後、塗炭の苦しみを共有することは明白であるから、早逃げしておくのが正しい道だったわけだ。
 なにせ、閉塞するEU経済のカンフル剤のような役目が支那であり、そのバーターで支那の工作を見逃すというような異常極まる状態だったのだ。
 すると、上記の記事で指摘されるようなGDPへの寄与も、画餅に過ぎないことがよく解る話だ。
 しかし、そういった事実もリスクも全て無かったこととして、経済を悪化させるという一点でのブレクジット案への激しい批判というのは、極めて偏執的な工作めいた話でしかない。
 支那に絡め取られたエロオヤジか内臓移植希望か、支那にどっぷり依存した企業経営か、そういったポジショントークで国益は二の次、としか見られないわけだ。
 こういったものを欺瞞という。

 ところが話がまたもやこじれる迷走を見せる。
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英首相のEU離脱計画に狂い、議会が離脱延期要請強いる修正案可決 10/19(土)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191020-94440598-bloom_st-bus_all
(ブルームバーグ): 英議会は19日、ジョンソン首相が欧州連合(EU)と合意した離脱協定案について、離脱延期の要請を強制する修正案を可決した。首相のEU離脱計画に大きな狂いが生じた。

異例となる週末開催の議会で、離脱協定案の実施に必要な全ての関連法が議会で成立するまで協定案の承認を遅らせるという修正案を賛成322、反対306で可決した。議会の承認が19日のうちに得られなかったため、ジョンソン首相は同日午後11時(日本時間20日午前7時)までにEUに対し、来年1月31日までの離脱期限延期を書面で要請する法的義務が生じる。

修正案の可決後、ジョンソン首相はEUと離脱延期を交渉するつもりはないと主張。首相官邸は発言の意味について明らかにすることを避けた。ただ、首相はこれまでに法に従う義務があることを認めていた。

首相はEUにこれ以上の延期は「英国にとっても、EUや民主主義にとっても悪い」と伝えると述べた。当初予定されていた首相の離脱協定案を巡る採決は、修正案の可決によって「重大な採決の意味が失われた」として見送られた。

ジョンソン首相には月末までのEU離脱を公約通り果たせる可能性も依然残されている。自らの離脱協定案に沿った離脱の実現に必要な施行法の議会審議は22日にも始める予定。さらに協定案の基本的性質について議会の承認を得るよう、21日に採決にかけることを再び計画している。

フランスのマクロン大統領は18日、英国のEU離脱を一瞬たりとも遅らせるべきではないと言明したが、複数のEU当局者は英国から離脱延期要請があれば同大統領や他の首脳が拒否する可能性は低いと話す。英紙ガーディアンは、ジョンソン首相が書面で正式に離脱延期を要請すれば、EUは認める方針だと報じた。

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英議会がEU離脱採決を先送り、ジョンソン首相は延期要請拒否 10/20(日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191020-00000000-reut-eurp
[ロンドン 19日 ロイター] - 英下院は19日、ジョンソン首相が欧州連合(EU)と合意した新たな離脱案の採決について、関連法案が成立するまで先送りするとの動議を322対306の賛成多数で決議した。

この決議は、先に同首相がEUと合意した新離脱案に対する英議会の承認が同日中に得られないことを意味する。これにより、議会が9月に成立させた法律に従って、同首相は英国の離脱期限を当初予定の10月31日より先に延ばすよう書面でEUに要請する義務を履行しなければならない。

しかし、同首相は決議後、改めてその義務を拒否、10月末の離脱実施に向けた強硬姿勢を強調した。「私はEUと離脱延期について交渉するつもりはないし、法律にそれを強制されることもない」と同氏は議会で表明。EUとの離脱合意について、同首相は10月22日に英議会で採決すると述べた。

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英EU離脱また迷走=ジョンソン首相、メイ氏と同じ轍も 10/20(日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191020-00000026-jij-eurp
【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)離脱が再び迷走を始めた。
 英議会は19日、離脱期限の来年1月末までの延期要請を求める内容の動議を可決。ジョンソン首相がEUとまとめた合意案の採決は見送られた。10月末の離脱期限まで2週間を切っているが、離脱はまたも遠のいた。
 アルゼンチンとのフォークランド紛争さなかの1982年以来、37年ぶりに開かれた異例の土曜日の議会。首相は下院投票での敗北後、「英国にとっても欧州全体にとっても、10月末にこの合意案とともに離脱することが最善だ」と強弁したが、議場にむなしく響くばかりだった。
 就任から90日弱。首相は10月末に何があろうと離脱すると主張し、大方の予想に反してEUとの再交渉で新合意案にこぎつけた。しかし、下院で過半数を確保できず、離脱に失敗したメイ前首相と同じ轍(てつ)を踏む可能性もある。
 ロンドン中心部では、離脱の是非を問い直す2度目の国民投票実施を求める抗議デモが行われ、約100万人(主催者発表)が参加した。議会前広場では参加者らが「首相は合意案を自賛するのなら、国民投票にかけるべきだ」と声を上げ、離脱阻止を訴えた。
 混迷する議会。離脱と残留に分断されたままの世論。ロイター通信によると、隣国フランスのマクロン大統領は「これ以上の離脱延期は誰の利益にもならない」と、いら立ちを隠さなかった。 

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イギリス議会、離脱協定案を審議 フォークランド紛争以来の週末審議 2019年10月19日
https://www.bbc.com/japanese/50108233

 ポピュリズムは国家迷走するだけなんだが、意味のわからない話が飛び交っている。
 にもかかわらず、ジョンソン首相が「ポピュリスト・ナショナリズム」と言われているのはなんという皮肉か。


 ここでとんでもない手法が飛び出す。
 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
EU、離脱延期求める英書簡を受領…加盟国と協議へ 10/20(日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191020-00050084-yom-int
【ブリュッセル=畠山朋子】英国の欧州連合(EU)からの離脱を巡り、トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は19日夜、英国のジョンソン首相から10月31日に迫った離脱期限の延期を求める書簡を受け取ったことをツイッターで明らかにした。
 トゥスク氏は、要請を受け加盟国と対応を協議する考えも示した。

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英政府、EUに離脱延期要請 ジョンソン首相の署名なし 10/20(日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191020-00000013-kyodonews-int
【ロンドン共同】英政府は19日夜、今月末の欧州連合(EU)からの離脱期日を3カ月延期するよう求める書簡をトゥスクEU大統領に届けた。書簡にはジョンソン首相の署名がなく、延期要請が本意ではないことをにじませた。
 英下院が同日、英国とEUがまとめた離脱合意案の採決先送りを議決したことを受け、ジョンソン政権に英国内法の規定により来年1月末までの延期をEU側に要請する義務が生じ、19日が期限だった。
 延期にはEU側の承認が必要。トゥスク氏は19日、書簡が届いたとツイッターで明らかにし「対応を巡りEU加盟国の首脳との協議を始める」とした

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英国がEUに離脱延期申請、延期望まずとのジョンソン首相の書簡も 2019年10月20日
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-tusk-extension-idJPKBN1WZ001
[ブリュッセル/ロンドン 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)のトゥスク大統領は19日、英国のジョンソン首相からEU離脱の延期申請を受け取ったと明らかにした。
トゥスク氏はツイッターに「延期申請が到着した。どう対応するかをEU首脳らと協議を始める」と投稿した。
EU高官によると、書簡にはジョンソン氏の署名はなく、英国の法律に基づき政府は離脱延期申請を行う義務があると説明している文書と、駐EU大使のティム・バロー氏のカバーレターが添えられている。
EU高官によると、ジョンソン氏はこれとは別に、離脱延期は望んでいないと書かれた書簡もトゥスク氏に送っている。

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英が離脱延期を申請、下院が合意案承認を保留-EUは対応協議へ
Tim Ross、Ian Wishart 2019年10月20日

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-20/PZN56PT0AFB701?srnd=cojp-v2

 もう訳がわからない流れになっている。
 こちらに経緯が諸々詳しく。

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英首相、下院に従いEUにブレグジット延期求める ただし署名せず 2019年10月20日
https://www.bbc.com/japanese/50113638
ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)をめぐる英下院の19日の決定を受け、ボリス・ジョンソン英首相は同日夜、欧州連合(EU)に離脱期限の延期を求める手紙を送った。ただし、署名はしていない。

ジョンソン首相は、この日の下院決議に従い、欧州理事会のドナルド・トゥスク議長(EU大統領に相当)に、離脱期限の延期を求める手紙を送ったものの、署名しなかった。その一方で、「親愛なるドナルド」と同時に送った手紙では、延期は間違いだと書き、こちらには署名している。

イギリスは10月31日にEUを離脱することになっているが、下院は離脱に関する法整備を終えるまでは離脱協定案を採決しないという議員案を322対306で可決。これによって、ジョンソン首相は19日中にEUに離脱延期を要請することが義務付けられた。

ジョンソン首相はさらにトゥスク氏を含む複数の欧州首脳に電話をかけ、離脱延期を求める手紙は「議会の手紙で、自分の手紙ではない」と強調したという。
EUのトゥスク大統領はツイッターで、「期限延期の要請がたったいま届いた。対応についてこれからEU首脳と協議を始める」と書いた。

BBCのブリュッセル特派員、アダム・フレミング記者はEU関係筋の話として、トゥスク大統領とEU各国首脳との協議は数日かかるかもしれないと伝えている。

書式を署名なしで
下院は9月、合意なしブレグジットを回避するための通称「ベン法」を成立させた。このなかに含まれる離脱期限延期要請の手紙の書式を、ジョンソン首相は署名せず、トゥスク大統領へ送るよう、イギリスのEU大使に指示した。

サー・ティム・バロウ駐EU大使は添え状で、首相の署名のない手紙は下院が可決した法律の要件に沿ったものだと説明している。

ジョンソン氏が署名したトゥスク氏あての2通目には、ブレグジットの延期は間違いで、自分とEUがまとめた離脱条件の協定案を英下院は承認すべきだと明記されている。首相は、下院議員たちに再考を促してほしいとEU首脳に呼びかけている。

ジョンソン首相は9月始めには、ブレグジットを10月31日から遅らせるくらいなら「溝で野たれ死にした方がまし」だと発言している。

BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、首相と大使の計3通の手紙をEUに送ったことには「異論が多く出るだろう」と指摘。首相が下院決定を無視して法廷に立たされることを避けるための措置に過ぎないのかと、議論になるはずだという。「この対立は裁判になる見通しで、あっという間に最高裁まで行くかもしれない」。

ジョンソン首相は署名した方の手紙で何と?
(「親愛なるドナルド」で始まる手紙より抜粋)


「イギリス政府常駐代表は(中略)本日中に、2019年EU(離脱)法が定める要請を提出します。この要請をいつ検討するか、そして要請を認めるかどうかはもちろん、欧州理事会が決めることです」

「今日の結果とは異なる展開が好ましかったものの、政府は引き続き、協定批准に向けて取り組み、必要な法案を来週初めに提出します。10月31日までに手続きを完了すると、今も自信を持っています。

「下院が定めた延期要請を受け入れるか、あるいはまたそれとは別の延期期限を提案するかは、欧州理事会次第です。しかし私は総理大臣になって以来(中略)、再延期はイギリスとEU諸国の利益を損ない、双方の関係を損なうものだと、明言してきました」

「私たちはこのプロセスを決着させなくてはなりません。次の段階に移り、この大陸における近隣同士、友人同士としての長い歴史を基礎に、新しい関係を築いていけるように」
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下院は19日、37年ぶりに土曜日に審議を行い、「離脱協定法案(WAB)」が成立するまでは、下院による離脱協定案承認を棚上げするという内容の修正案を可決した。

元保守党のサー・オリヴァー・レトウィン議員が提出したこの修正案は、合意なし離脱は認めないと定めた「ベン法」にジョンソン首相を従わせるためのもの。「ベン法」に従うには、首相は19日午後11時までに、離脱延期をEUに求めなくてはならなかった。その際の手紙の書式も、ベン法で定められていた。

ジョンソン首相はこの手紙をEUに送る前、同日夜には上下両院議員に宛てた手紙で、議会が再延期を要請してもEUは拒否する可能性があると釘を刺した。

自分は「延期を交渉するつもりはない」と首相は付け足し、「自分が首相になって88日間にわたり英国民に訴えてきたことを、同じようにEUにも伝える。再延期は解決にならない」と議会に対して強調した。

19日の下院採決で敗れたことは、ジョンソン首相にとって大きな打撃だと見られているが、首相は下院に対して自分は「呆然としていないし、落胆もしていない」と反発し、イギリスは自分の「素晴らしい合意」に沿って月末にEUを出るのだと強調した。

ジョンソン氏は、離脱協定案の施行法案を21日にも議会に提出すると約束している。

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【解説】 EU離脱協定案、どういうこと? 読者の質問に答えます 2019年10月19日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50108406

 こうなるとイギリス議会は国民投票を無視した行動をとっていると言える。
 しかし平然と、新合意案を通すなら国民投票をしろと首相を責める。
 何だそれ。
 そもそも、先述のように諸々の不満が鬱積した中でのブレクジットであり、この根底はリスク回避がある。
 これを国民投票までしてEU離脱を決めたのに、離脱の手法の細かい所について折り合わず、何故か国民投票の結果を形にしようとする首相を誹謗するわけだ。
 何にしたって魔法の解決策なんて言うものはなくメリットもデメリットもあるんだから、デメリットを最小・メリットを最大にすべく知恵を絞るのが政治家や議会に求められていることだろう。
 しかし、デメリットが気に入らないから許さないと、提案もしないで怒るわけだ。
 離脱は国民投票をしてまで決まったことなのに、離脱させまいと阻止しているからそうなるわけで、民意には全く従っていないということになる。
 こうなると、民意とは何か、民主主義とは何か、代議士とは何か、選挙とは何か、根本的な所からおかしくなっていると言わざるを得ない。

 だいたい、ブレクジットを批判している人の多くが、俯瞰的視点が皆無で英国のリスクを理解してない話ばかりだ。
 そのくせ、粉骨砕身する献身の立場の人間を辛辣にこき下ろす。

 このまま行くと、議会で大揉めにもめて裁判を経ている間にアメリカと支那の軋轢が増してきて独がピンチになり、早く離脱しないとやばいことが誰の目に見ても明解になって、ささっと逃げ出すというような流れになりそうな予感だ。

 そんな中でこんな話も。
 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
焦点:マイナス金利の独国債、スイスや中国が購入する理由 2019年10月20日
https://jp.reuters.com/article/germany-bonds-analysis-idJPKBN1WX0MW

 スイスは為替対応だが、支那は影響力を行使するためだ。
 ほんと解ってんのかな、と心配になる。
 支那が今まで能動的に狙ってきたのはイギリス連邦国家とサテライト国家であり、放置すればイギリス連邦存続の危機とも言える状態なのだ。
 イギリス出身者が、イギリスに残っているのは愚か者ばかりと自嘲的に言うことがあるのは冗談ではなく、こういう事を指すのかと思った。
 EUは支那と距離が遠いからリスク感覚が薄いのかもしれないんだが、1200年代に東ヨーロッパがモンゴル帝国に席巻されたことについて、歴史の教科書でも開いた方がいいだろう。
 もしモンゴル皇帝の二代目が急死しなければ、あるいはその後のお家騒動が起きなければどうなっていたか、という運に依存した話なのだ。
 じんじん、じんぎすかーん♪と唄ったら思い出すかね。
 

 同様に支那に侵略される問題は多くのエスタブリッシュメントは理解しているものの、絡め取られている左派系が見てみないふりをしているのだ。

 だからこそ、習近平の英国訪問を嫌味たっぷりの対応でこなしたわけだ。

 目の前の取らぬ狸の皮算用的な利益に拘泥し、本質的な国益を無視するイギリス議会の議員たちには、ブリタニアの女神も呆れてものが言えないだろう。
 アテナの兜をかぶり三叉戟とユニオンフラッグの盾を手にしブリタニアの女神とは、イギリスを指す象徴でグレートブリテン島のラテン語名から来ている。
 薔薇園が枯れ果てる前に事を決しないと意味がない。
 支那のように造花とペンキで彩った所で、そんな庭園には鳥も集まらないから、実りもない。

 イングランドとウェールズとスコットランドとアイルランドの4つが英国の主要なカントリーであるが、この内、ラグビーワールドカップで生き残っているのがイングランドと辛くも勝利したウェールズというのもなかなか興味深い。
 女神が微笑んで、その勝利がどのチームにもたらされるかは、まさに女神のみぞ知る。
 いずれにせよ、「One for all,all for one」=紳士的な行動・結束・勇気・忠誠心・献身といったものを忘れた連中に女神は微笑まない。
 それは国家の憂鬱であっても同じことだ。

 了

ガンバレ!日本!!
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