東大国語 過去問解説 第4回
東京大学 1989年度 第一問〔現代文〕(一) その2
前回の続きです。
東京大学 前期 国語 1989年度 第一問(一)
「農村を流れる水路の醸し出す風景は、一幅の絵画たり得たのであると思われる」とあるが、なぜ「一幅の絵画たり得た」のか、説明せよ。(解答欄13.7㎝×1行)
※批評のための必要最小限度の引用にとどめています。 問題の全体は市販の過去問集などをご参照ください。
という問いに対して
用水路が農村の生活に密着しており、よく管理されていたから。(29字)
と答えたのでは満点はもらえない(きびしくつけたら0点かも)という話でした。
なぜか。
それは簡単にいえば傍線部の理由になっていないからです。
あるいは理由として最も重要な部分が抜けているといっても
よいでしょう。
問いはなぜ『一幅の絵画たり得た』のかということでした。
もっとシンプルに言い換えれば、「なぜ絵になるのか」と
いうことです。
私は、授業では生徒にこのように問いかけます。
「絵になる風景」とはどのような風景?
と。 (答はわかりますよね)
つまり、この問題は
本文に明言されていないが論理的に必要な表現を
補って説明せよ
と要求しているのです。
「本文に明言されていない」とはこういうことです。
農業用水路は農村の生活に密着していた ←本文に明示
だから
農業用水路の管理は行き届いていた ←本文に明示
だから
「 」 ←本文に非明示
だから
「水路の風景は一幅の絵画たり得た」
これは、課題文が論理的に飛躍したダメな文章だということではありません。
著者にしてみれば、言わなくてもわかることだから無意識に省いたのでしょう。
通常の読者であれば、当然言われなくてもわかることだから、難なく趣旨を理解し、 先へ先へと読み進めることでしょう。
しかし、東大の出題者は、入試問題として敢えてここに傍線を引いて理由を問うています。
その出題意図は
「本文では言わなくてもわかることは省いて書かれているけど、
君は本当にわかっている? 説明できる?」
ということでしょう。
本文に明示されていない「 」の部分にどんな内容を入れたらよいか、もうわかりましたよね。
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