千一夜第3章第230夜 最近の読書26

2020-07-05 08:34:27 | 読書

2020.07.05(日)

5月26日に会社のOBで私の元上司のIM氏のお宅にお邪魔した。氏は最近怪我や病気で体調を崩しておられたようで、趣味の釣りや読書を止めざるを得ない状況になったらしく、釣り仲間のMちゃんに釣り道具一式、私に蔵書の一部を下さるということだった。

氏のお宅は柳井市内の少し山手にあるが、私は10年前に一度お伺いしただけで今回が2度目の訪問、凡その場所は覚えてたが路地を入ると全く分からなくなるという始末で、大通りまで出迎えていただいた。IM氏宅の北側に川が流れIM川という名称、少し上流にIM橋もあるという。川や橋の名称に自分の名字(珍しい苗字)が付いているのだから名家には違いない。屋敷も100年以上のもので、今どきの住宅に比べれば風情も情緒も貫禄も申し分ない。屋敷の東側と南側が広い庭になっており、手入れも良くされていた。屋敷の裏手には立派なモミジの老木が数本あり、秋には紅葉が楽しめそうだ(今後もみじ屋敷と呼ぼう)。また、南側の庭の一隅で畑を作っておられ、季節ごとの野菜を栽培されている。多少の身体の不自由はあっても、畑作りや庭の手入れだけでも十分にやることはありそうである。奥様に美味しいコーヒーを出して頂いた。奥様も私のブログをご存じのようで、赤顔の至りだった。氏から頂いた書籍は今後、IM文庫と付記することにする。


5月4日みどりの日、西の庭の片隅に植えてあるさくらんぼの木に毎年沢山の実がなる。殆ど鳥の餌となるが、手が届く範囲で少し捥ぐ。


さくらんぼを焼酎に漬けてみた。上手くいったかなあ。

最近読んだ本。記載するのは今回で26回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『イギリス怖くて不思議なお話』 桐生操著 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’20年4月27日読了
寸評:日本人なら殺人があった家やお化けが出る家など、住民は必死に隠そうとするが、イギリスでは真逆だという。ロンドンの人々は、幽霊や殺人事件の話になると眼をらんらんと輝かせ、得意げに話して留まるところを知らないらしい。幽霊屋敷や殺人現場の地図が付いたガイドブックが駅のインフォーメーションなどに山積みに置いてあるとのこと。国民性の違いが如実である。イギリスと言えば怪奇の国のイメージがある。巨石文明の遺跡が残るイングランド、森と古城のウェールズ、更に北海の荒波が打ち寄せるスコットランドまで深い霧と白夜の風景は神秘なロマンを育む。イギリス人がミステリーを好むのはこんな風土のせいだろう。本書は英国王室スキャンダルから、歴史に秘められた謎、怪奇話、猟奇事件などイギリスの古い歴史に纏わる様々なエピソードを紹介している。面白く興味深い本である。

『丸谷才一と22人の千年紀ジャーナリズム大合評』 丸谷才一著 都市出版 評価☆☆☆☆ ’20年5月1日読了
寸評:著者は吉行淳之介が好きである。また吉行氏も著者を天才であると認めている。その関連で著者の本を読みだしたのが45年前だが、少々難しいのでまだ20冊程度である。本書は所謂対談集であるが、本書の帯に「ジャーナリズム志望者や関係者に批評の原点を示す必読の書」とある。14年に渡るジャーナリズム論の6冊目で、かなり広い範囲のジャーナリストやその志望者に愛読されているとのこと。著者及び2人の専門家をそれぞれ加え、多岐にわたって論評を繰り広げているが、文学論についてはちょっと難しすぎた。彼らの読書量には敬服するが、プルースト的?、サント・ブーヴ的?、さっぱりである。文学論は幅広く展開しているのでちょっと抽象的概論の感があった。まあ、批評家等の座談会だからしょうがない。12対談中10は面白く読んだ。

『レボリューション』 斎藤純著 はるき文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年5月13日読了
寸評:本書はロック小説である。著者の本は初めて読んだが、アメリカのカントリー、ブルース、R&Bなどがイギリス人によってロックになる。そして、1960年代から70年代はロックが最も輝いていた時代でもあった。実年齢からすると団塊世代がそれにあたる。ロックを規定することは意味がない。それはロックが生き物であるあり、時代と共に成長を続け変化も見せるからだ。ロックを聴いた年代(私の場合70年代)、場所、或いは本人が熱心に耳を傾けた時の年齢も、ロックの何たるかを決めるには重要な意味を持つ。日本のロック史についても考察される。本書は国会議事堂前のコンサート、ミステリー的要素の入った小説であり、結末が幻に終わったことで小説も完結している。著者は私と2つ違いの同年代であり、小説の主人公も同年代、主人公の死亡した兄とは10歳違いであるから団塊世代であろう。ロックのスター達は実名で登場し、その時代の世相や思想なども詳細に書かれている。著者は元FM局のディレクターだけあって、この分野は非常に詳しい。著者はバイク乗りでもあり、小説の中にはロックとバイクが宝石のように輝いている。久し振りに良い本に出合った。


5月14日、レターパックにて特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策支援金)の申請書が来た。

『ニューヨークの天使たち。』 渡辺葉著 集英社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年5月14日読了
寸評:ニューヨーク、幾千幾億の夢を持ち寄る街、夢でできたこの街では本当の自分を演じることも、虚構や幻想の自分を演じることも思いのまま。ニューヨークで演劇、舞台、ダンス、演出をしている著者のこぎみの良いエッセイ集である。1996年から2006年までに出会った人々や出来事、風景を綴ったもの。結婚は3年で破局したが、一人暮らしのせいかとても器用である。読み易くショートストーリーのような鮮やかさとキレを秘めた静かなエッセイである。ニューヨーク9.11は現場に居た著者ならではのエッセイである。他にバルカン半島(アルメニア、ブルガリア、マケドニア、ギリシャ等)の音楽のことも出て来るが、7/8拍子、9/8拍子、15/16拍子など変則的な拍子、リズムはちょっと想像できない。この本も味わい深い。

『異聞!暗殺の日本史』 別冊宝島編集部著 宝島社文庫 評価☆☆☆☆ ’20年5月18日読了
寸評:暗殺者に仕立てられたヤマトタケル、天智天皇の不自然な死、第47代淳仁天皇から誕生した「怨霊」、アジアと欧米列強の友好を掲げながら、反日の標的にされる伊藤博文、などなど歴史は常に勝者によって綴られ、敗れ死んでいった者たちの言い分は闇に葬られてきた。しかし歴史をよくよく見ていけば、必ずどこかに真相に繋がるカギが隠されている。神話の時代から近代国家成立の伊藤博文まで、教科書では語られない闇の歴史、35編の暗殺事件の謎に迫る。


5月23日、釣友Tが笠戸島沖の下コーズという岩山に渡船で渡り、通しでメバル釣行。23cm前後の良型メバルを50尾程度釣る。翌日、私がクーラーごと持ち帰り、あちこち配る。(この1週間後、もう一度行くが私も同行した)

『「日本の神様」がよくわかる本』 戸部民夫著 PHP文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年5月25日読了
寸評:本書は数年前に購入し、今や座右の書のような存在である。現在同類の本を4冊読み進めているが、解釈の相違、古史伝や古事記伝、神名考等により同じ神様でも性格や呼び方も違ってくるし、違う神様が同一神となることもある。そのため拾い読みや同じ所を何度も読んだりで、どの本もなかなか読了には至らない。取り敢えずこの本は読了した。一般に神社に祀られている神様は、「古事記」「日本書紀」の神話・伝説に登場する神々と、偉大な業績を残した武人・文人を神格化した神々である。本書では本源となる神様を祀る神社や分霊等を祀る主要な系列社の紹介、個々の祭神の鎮座の由来や祀られ方、性格(荒魂、和魂)、霊力(ご利益)、神徳などそれぞれの特徴を紹介している。付録として神社、祈願のミニ知識として30頁余りあり、神々の簡略化した系譜(記紀より)も付いている。

 
6月3日、やっと来ました。ちょっと時期を逸した感がありますが、厚生労働省から「アベノマスク」。到達した日現在はマスクの品不足は解消されており、販売価格もバブル崩壊を迎えています。もう1か月も早く届いていれば有難味も倍増していたのですが、この日時点ではマスクも大量に確保済み、それにこのマスク、百均のマスクに非常に似ている。取り敢えずこのマスクは保存版にするか寄付するかします。

『ケネディの道』 シオドア・C・ソレンセン著 弘文堂 評価☆☆☆☆☆ ’20年6月17日読了 IM文庫所蔵(IM氏より頂いた書籍)
寸評:JFK、私にはライブ感がある。1963年11月22日、極右の中心地ダラスで遊説旅行中、人々に微笑みかけ手を振りながらのパレード中に狙撃され、ジャクリーン夫人が飛び散った夫の脳の一部を拾い集めている様子は何度も何度も繰り返しTVの映像で見た。当時小学低学年だった私は、ショックと共に未だに記憶に残っている。本書はJFKの側近中の側近と言われたソレンセンによるJFKとの11年間の回想録である。これほど米国大統領を完璧に書き上げたものはなく、今後もこれ以上のものは出てこないだろうと言われた著書である。ケネディが精力的に対決した現代史の諸事件と人間ケネディを描き、新たな感動を呼んだ歴史的証言である。ホワイトハウス入りしてからの外交は、常に共産主義陣営と自由主義陣営との紛争だった。イデオロギーや利害関係は続くが、強いアメリカが世界平和をリードするという信念の元に政治に取り組む。何だかトランプ大統領にも似ているかな。オリーブの木というのもJFKによって作られたものだった。1966年の初版本だが、字が小さくて分厚い本だったので読了に時間を要した。

『HIROHITO』 レナード・モズレー著 高田市太郎訳 毎日新聞社 評価☆☆☆☆☆ ’20年7月3日読了 IM文庫所蔵
寸評:昭和天皇の物語。ケネディの本と同じ54年前の本である。1945年8月15日、全く予期しなかったこの歴史的瞬間に導くまでの様々な事件やいきさつを描いた物語で、戦争と制服に熱中していた国の天皇の地位におかれながら、実は優しく、内省的で、学究的で、しかも平和を愛した一人の文化人の物語である。また、狂信的軍人と宮廷の陰謀をものともせず、天皇が如何に勇気をふるい、機略を用いて陰謀者どもの裏をかき、戦争を終結させたかという物語でもある。ワシントンの国立記録保管所の秘蔵文書や日本に滞在して皇室関係者、戦争に関与し天皇に関わりを持った生き残りの重要人物、極東国際軍事裁判の生き残りなど、実に大量の資料や取材により書かれている。その点、物語以上といえる。読み進める内、天皇も側近の木戸内府も重大な判断ミスを犯している場面が度々出て来る。天皇への情報が著しく欠如しており、軍部の独走、無能な内閣など、もしこれが無かったら或いは戦争が避けられたかも知れないとの思いが増大する。しかし、幸運なのは敗戦で自由主義国家となったことだろうか。
実はこの本も私が若い頃、書店で何度か手にしたことがある1冊である。嘱託を経て完全リタイアをする直前、40数年を経て遂に読了に至った。

【7月5日過去の釣行記録】
・1998年大井港より萩沖、18:00~00:00、船釣り、小潮、釣果=イカ、8人で200杯以上
・2014年徳山フェリー乗り場南端、05:40~12:30、小潮、釣果=キス6・キビレ1
・2015年櫛ヶ浜港防波堤、19:40~21:40、中潮、釣果=ボウズ

【この日の釣り情報】
・2014年上関鼻繰島、通し、小潮、釣果=メバル20(最大27㎝)・20~30㎝アジ入れ食い

【旧暦5月15日釣行記録】
・2006年06月10日、切戸川河口、18:10~21:10、大潮、釣果=キス12

 

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