千一夜第3章第208夜 最近の読書24

2020-02-27 19:57:40 | 読書

2020.02.27(木)


笠戸島の河津桜が満開を迎えている。淡い紅色の花が咲き誇る。既に散り始めた樹も多い。恐竜も花見か?

正月が明けてから30年振りのメニエルに2か月程度悩まされている。持病だと決め込み病院にも行かないので長引くが、友人は30年前よりは確実に良い薬が出ているから病院に行けという。30年前には自力(船釣りを日常的に開始)で治したという自負があるためなかなか病院に足が向かない。

最近読んだ本。記載するのは今回で24回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『アメリカの戦争責任』 竹田恒泰著 PHP新書 評価☆☆☆☆ ’19年12月9日読了
寸評:副題に「原爆投下の正当性を問わずに、日本の戦後は絶対に終わらない」とあるとおり、アメリカの原爆投下について論じる。戦後最大のタブーともいわれる「アメリカの戦争責任」について、原爆投下の目的が戦争終結を早めるためだったという言葉はどこまで正しいのか、ポツダム宣言を巡る米ソの攻防、削除された天皇条項など当時の資料を渉猟しながら、日本を降伏させないことをアメリカが考えるようになった驚愕の経緯を著者が解明していく。そうした問題を両国が直視し、互いの過ちを知ってこそ、真の日米友好の礎が築けるはずという。日本における戦後最大のタブー、原爆投下を正当化するアメリカの教科書、無条件降伏論が早期の終戦を妨げた、トルーマンの手中にあった4つの選択肢、なぜポツダム宣言から天皇条項は削除されたか、原爆投下前の対日参戦を目論んだソ連、原爆でもソ連参戦でもなかった降伏の真相、アメリカの行為は疑いなく戦争犯罪である、日米が真の友好関係を構築するために、これらの各章で詳しく検証していき、アメリカの、いやトルーマン大統領とバーンズ国務長官の戦争犯罪を暴く。

『応仁の乱』 呉座雄一著 中公新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年12月26日読了
寸評:2~3年前にベストセラーになった本である。応仁の乱と言えば副題にある通り戦国時代を生んだ大乱であり、この乱によって室町幕府は衰えやがて滅亡する、この大乱の東西の総大将は東軍が細川勝元で西軍が山名宗全であるが、この2人は元々仲が悪くは無かったらしい。この大乱のそもそもの始まりは畠山氏の家督争いにある。それに将軍後継問題(2人の将軍時代)や畠山、斯波氏の家督争いが絡み、11年にも渡って繰り広げられた争乱となったのである。両軍の総帥が死んで和議が成立した後も大乱は続く。最終的に誰が勝ったのかも良く解からない。また大名等も何のために戦ったのかも良く解からない。本書ではその良く解からないことを詳細に読み解いている。私も時間を掛けじっくり読み込んだ。


光市冠梅園の白梅。

『祈りの幕が下りる時』 東野圭吾著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年1月8日読了
寸評:2020年最初の読書が本書となった。東野圭吾に外れは無い。第48回吉川英治文学賞受賞作。加賀シリーズ第10の事件簿である。明治座に幼馴染の演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮刑事は近くで発見された焼死体との関連を疑う。その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに、日本橋署の刑事、加賀が激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていたからだ。本書で加賀自身の最大の謎が決着する。一気に読み終えた。

『騎士団長殺し』 第1部(上)(下) 第2部(上)(下)計4冊 村上春樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年1月27日読了
寸評:「海辺のカフカ」「ダンス・ダンス・ダンス」と同類の小説である。村上春樹の小説は丁寧である。「結」の部分で急いで終わらせる作家が多いが、著者の作品は最後まできちんと書かれている。カズオ・イシグロに通ずる。今回は4冊にも及ぶ長編だったが、それでも幾つかの不明な部分も存在する。これは著者の意図する所かも知れないが、まず、主人公とまりえの3日間と4日間の共通点が不明に終わっている。共通点が無いのであれば、主人公は何故イデアである騎士団長を殺してまで異次元の世界に入り込まなくてはならなかったか。また、その世界で主人公が川の渡し守に差し出したまりえのイルカのフィギュアを、何時か返すと言ったが返却されていない。主人公は画家であるが、友人の父親の有名な日本画家の「騎士団長殺し」の絵の通りのことが進行する。その中で、主人公も事件に触発されてか、或いは必然か、「免色の肖像画」「白いスバル・フォレスターの男」「秋川まりえの肖像」「雑木林の中の穴」を書く。そしてその絵はこの怪奇じみた話の重要な証言者を代理する。読了後、多くの何故?が付き纏う小説だった。

『ルーズベルト・ゲーム』 池井戸潤著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年1月29日読了
寸評:直木賞受賞後の第1作である。著者の作品は最後は痛快に、ハッピーエンドで締め括る所が好まれるところだろう。但しその後の様々な余韻は残る。それは企業も人も生き続けていくからである。本書は野球好きのフランクリン・ルーズベルト大統領が、野球で一番面白いと言った8対7の試合を指す言葉を題名にしただけに、野球の物語が大きな柱となっている。そして野球と会社、2つの闘いが絶妙のバランスで配合されている。野球で言えば公式戦、会社で言えばライバル企業との戦い、そしてそれらに纏わる人間模様が幾重にも積み重ねられている。野球部のドラマと会社のドラマが不可分であり、奇跡の大逆転が生まれるべらぼうに面白い一冊である。

 
1月28日、東京オリンピック2020 100円のオリンピック記念硬貨が5種類発行された。これで累計13種類となる。最後の第4回発行は7月の見込みで、500円2種類を含めて9種類発行予定だ。

『雲霧仁左衛門』(前)(後) 池波正太郎著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年2月5日読了
寸評:池波正太郎と言えば「鬼平犯科帳」だが、この物語は鬼平より更に半世紀遡った火付盗賊改方長官安倍式部とその部下たちの活躍を描いたものである。現代のような化学的捜査方法が何も無かった時代に、己の義務に命を賭けて悔いなかった人間たちと、稀代の大盗賊雲霧仁左衛門一派(人を殺めず犯さずの正統派)の壮絶な戦いを描く。この小説では両者がヒーローであるように思う。盗賊たちにも喝采し共感を呼ぶし、火盗改にも盗賊らに煮え湯を飲まされた苦渋や口惜しさに憤慨し、足の捜査には感心させられる。また二重三重のどんでん返しがあり非常に面白い。

『真夏の方程式』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’20年2月14日読了
寸評:物理学者の湯川が主人公。夏の玻璃ヶ浦の旅館で起きた死体遺棄事件に巻き込まれ事件解決へと活躍する。湯川は海底金属鉱物資源機構の会議に出席のため東京から玻璃ヶ浦に来た。来るときに電車の中で知り合った小学生恭平がこの旅館の親戚で、夏休みの数日を過ごすために東京から1人で来た。恭平も知らず知らずの内に事件に巻き込まれていく。当初、この旅館に宿泊していた死亡客は、単なる崖からの転落事故と見られていたが、死亡したのが警視庁の元刑事だったことから、当時の部下(現在は偉い人)が死体を見に来る。そこでこれは単なる転落事故では無いと直ぐに見破る。一方、警視庁の偉いさんと湯川は旧知の仲で、これまでにも幾多の難事件を解決に導いている。今回も偶然ではあったが、捜査の手助けを依頼される。死亡した元刑事は、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがある。そこから事件は意外な展開を見せる。湯川が事件を解決に導いたと書いたが、本当の所は、半分未解決に終わらせているのが人間らしくてとても良い。事故か、殺人か、湯川は気付いてしまったが・・・。何故かほっとする結末だった。

『「黄金のバンタム」を破った男』 百田尚樹著 PHP文芸文庫 評価☆☆☆☆ ’20年2月18日読了
寸評:ファイティング原田の生涯を追うことによって日本ボクシング史だけでなく、さらに昭和史そのものまで追体験させてくれる。まるであの時代を生きた彼らと一緒に同じ空気を吸いながら生きているような錯覚を覚える。史上最強と言われた「黄金のバンタム」エデル・ジョフレを破り、日本人初の2階級制覇(誤審により本当は3階級制覇)をした。著者は当時のボクシングのステイタスは、世界でも日本でも今では考えられないほど高かったということを繰り返し書いている。何故なら、当時の世界チャンピオンは世界に僅か8人しかいなかったからである。つまり8階級しか無かったからで、現在は17階級、4団体、総計70人程度のチャンピオンがいる。当時のチャンピオンを賭けて闘った上位選手は、現代では全員何等かのチャンピオンになったことだろう。1960年代、日本人を熱狂させた男の闘いを描く。

 
昨年末の歳末大売り出しの日帰り旅行が当選した。招待旅行の当選は「クレヨンしんちゃん」の世界でしか知らなかったが・・・。

『熱海湯けむり 鎌倉河岸捕物控18巻』 佐伯泰英著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’20年2月21日読了
寸評: 金座裏9代目宗五郎、江戸開闢以来の御用聞きで、2代目の宗五郎が幕府の金子を守った功績により、時の将軍家光から金流しの十手を賜った。金流しの十手の親分として江戸八百八町は言うに及ばず、江戸を出て御用を務めてきたから全国的に有名な親分である。宗五郎たち一行は熱海に湯治旅に出るが、熱海でも事件を解決する。一方、留守を守る金座裏10代目政次も難事件を解決に導く。2代の金座裏が再会する時、鎌倉河岸に新たな風が吹く。シリーズ、読破しようかなあ。

『春の珍事 鎌倉河岸捕物控21の巻』 佐伯泰英著 ハルキ文庫 評価☆☆☆☆ ’20年2月25日読了
寸評:シリーズ物の2作目を読む。本来なら1の巻から読むのが理想だが、たまたま手に取ったのがこの2冊だったので致し方なし。江戸の金座裏の親分の捕物控である。宗五郎一家の飼い猫菊小僧が姿をくらます騒ぎと同時に、同心寺坂穀一郎の従兄弟が行方不明となり金座裏が動く。捕物帳は推理小説、サスペンス小説両方の要素を含んでいるので、気軽に気楽に読めるのが良い。それに詳細な時代考証もしっかりなされており、江戸時代初期の民衆の暮らしぶりや文化も満喫できる。

【2月27日過去の釣行記録】
・2010年櫛ヶ浜港防波堤、18:30~20:10、大潮、釣果=メバル3
・2016年櫛ヶ浜港防波堤、19:05~21:30、中潮、釣果=メバル6

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません

【旧暦2月4日釣行記録】
・1999年03月21日、末武川河口、昼干潮時、中潮、釣果=アサリ大漁
・2006年03月04日、第2埠頭東側、07:00~15:00、中潮、釣果=カレイ2
・2006年03月04日、笠戸寺崎、19:40~02:00、中潮、釣果=2人でメバル8・カサゴ2
・2006年03月04日、笠戸寺崎入口コーナー、昼間、中潮、釣果=57cmカレイ
・2006年03月04日、上関四代、15:00~21:00、中潮、釣果=メバル15
・2007年03月22日、第2埠頭東側、06:30~13:00、中潮、釣果=カレイ2(36cm)
・2009年02月28日、華西防波堤、18:50~22:40、中潮、釣果=メバル9
・2009年02月28日、笠戸日振沖、昼間、中潮、船釣り、釣果=カレイ14
・2010年03月19日、第2埠頭東側、09:00~11:00、中潮、釣果=ボウズ
・2012年02月25日、櫛ヶ浜港新防波堤、19:10~22:10、中潮、釣果=メバル6・セイゴ1
・2016年03月12日、第2埠頭東側、12:10~17:40、中潮、釣果=カレイ3・アイナメ2・ハゼ1・キビレ1・イイダコ1・ワカメ3束

 

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