703 ~NAOMI’s Room~

最近観た映画たち9

2016年4月に「8」を書いたぶりの観だめ集。

観たのが新しい順に。


「キャロル」/2015年 米
(原題:Carol)



監督: トッド・ヘインズ
脚本: フィリス・ナジー
原作: パトリシア・ハイスミス
音楽: カーター・バーウェル
出演: ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン 他

配給: ファントム・フィルム

キャッチコピー「このうえもなく美しく、このうえもなく不幸なひと、キャロル」

心の底からため息が出るような、美しい作品だった。
劇場には足を運べなかったが、必ず見なければならないと思っていた。

ケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラ。それだけで震える競演。

舞台は1950年代。
当時の時代背景下、男が理想とする「道徳」に違和感と怒りを覚えながらも、
服従するしかなかった女性たち。
自身が置かれた状況と現実に葛藤するなかで出逢う、年齢も身分も異なる二人の愛は、必然的だったのか。

映像の質感も、音楽も、街並も、ファッションも..
全体を通じて芸術を観ているようなこの映画の中でも、
キャロル約のケイト・ブランシェットの「美しさ」は、もうため息もの。

特にラストのシーン。保守的なハリウッドで、あのような展開は驚きなのに、
その瞬間の、キャロルの表情。あの表情に鳥肌が立った。

心に残しておきたくて、写メまで撮った笑

テレーズ約のルーニー・マーラも、非常に素敵だった。
このようなストーリーのヒロインは、アイルランドとかユダヤ系の顔立ちの華奢な女性が選ばれがちに思うけど、
彼女は『ドラゴン・タトゥーの女』のルイーズの印象が強い分、可憐な変貌ぶりが好印象だった。
元々は、『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカがテレーズ役を演じるはずだったようだけれど、ケイト&ルーニーの『キャロル』で良かった。


この上なく贅沢な主演の二人が、所々で見せる細かな表情や所作、特にキャロルの手の動きに、
瞬間瞬間の内面が表れていて、その巧みさにぐっと来た。
意外と弱い人間らしさを秘めているキャロルが、垣間見えた。


ここ最近では、最も心に残った、ずっと観続けたい作品。

 

 






「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」/2017年 米
(原題:War for the Planet of the)



監督: マット・リーブス
製作: ピーター・チャーニン他
音楽: マイケル・ジアッチーノ
撮影: マイケル・セレシン
出演: アンディ・サーキス、ウッディ・ハレルソン、スティーブ・ザーン、アミア・ミラー 他

配給: 20世紀フォックス


映画館で。
SF系の映画はあまり好んで観ることがないけれど、
休日の暇つぶし感覚で観に行ったら、想像以上におもしろかった。

あっという間に世界への視点は、猿に。
悪者にしか見えない人間。


エイプと人間の勢力争いは、雪崩によって、あっという間に呑み込まれた。
そして生き残ったのは、エイプだった。
何よりも強くて世界を動かすのは、【自然】でしかないと改めて思い知る。

ノバ役の少女、アミア・ミラーが、無垢純粋な人間の象徴で、恐ろしく可愛らしかった。

実家の父も観たらしく、後日「涙を誘う場面もありよかったですね」とメールが来た。


 

 




「海辺の生と死」/2017年 日本




監督・脚本: 越川道夫
原作: 島尾ミホ
製作: 畠中鈴子(ユマニテ)
音楽: 宇波拓
撮影: 槇憲治
出演: 満島ひかり、永山絢斗、川瀬陽太、井之脇海、津嘉山正種 他

製作: ユマニテ
配給: フルモテルモ/スターサンズ

キャッチコピー「ついていけないでしょうか たとえこの身がこわれても 取り乱したりいたしません」



もう何年も前、ユマニテの畠中鈴子氏が映画雑誌のインタビューで話していたこと。
「満島ひかりの映画を製作している。奄美大島が舞台の作品」

これを楽しみに待って数年。満を持して鑑賞したこの作品は、
満島ひかりのための映画だった。4年ぶりの単独主演作品。

自身の古いルーツでもある奄美大島で、満島さんらしさが静かに爆発していた。

静謐な作品で満島ひかりが魅せる「人間そのもので勝負している」感じがとにかく好きだ。

この映画こそ、待ちに待った栄誉を獲得するにふさわしい作品だと思う。

相手役の永山絢斗も、精悍で良かった。お似合い。

 

 




「愚行録」/2017年 日本



監督: 石川慶
原作: 貫井徳郎
脚本: 向井康介
製作: 加倉井誠人
音楽: 大間々昂
撮影: ピオトル・ニエミイスキ
出演: 妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣 他

配給: ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野

キャッチコピー「仕掛けられた3度の衝撃。あなたの日常が壊される」


この作品で、貫井徳郎作品と出逢った。
映画公開の前に読んだ原作に衝撃を受け、何度も読み返し、
それぞれのキャラクターを誰が演じるかを、密かに想像して楽しんでいた。


以下は、2016年4月当時に残していた非公開ブログ。
かなり中途半端なまま、終わっているけれど、今読んでも、ワクワクしている自分が、大いに伝わる笑

ーーー


〜「愚行録」映画化(2017)にあたり勝手に配役予想〜


3月の半ば、どうにもこうにも見逃せない情報が公開された。

貫井徳郎氏の小説『愚行録』が、2017年、映画化される。


監督・脚本は、

監督:石川慶
脚本:向井康介


監督の石川慶氏は、ロマン・ポランスキーらを輩出したポーランド国立映画大学で演出を学んだ方で、
各国の国際映画祭でも注目されているのだそう。かなり若手の方のようだ。

そして今回の『愚行録』【第135回(平成18年/2006年)直木賞候補】が、長編デビュー作となるのだそう。

ちなみにロマン・ポランスキーと言えば、今のところ『戦場のピアニスト』と『反撥』しか観たことがないけれど、独特の世界観がずっしりと心と記憶に残っている。

脚本の向井康介氏は石井裕也監督と同じ大阪芸術大学を出ている。
こちらの方も若手で、まだ39歳。山下敦弘監督と度々タッグを組んでいるらしい。

配給は、ワーナー・ブラザース映画と、オフィス北野の共同配給。


これだけ見ても、かなり前衛的な作品になることが予想される。



公開前にここまで興味を持っているのは、

主演が、妻夫木聡と、満島ひかり。

注目しないわけがない。


二人のコメントも、どこか、覚悟を決めたような深い想いが伝わってくる。

「僕たちはこの泥沼に浸かることに決めました。追い込まれて、追い込まれて出た最後の命の一滴を最後まで見つめていただければ幸いです。」

好んでやりたいと思う役柄ではありませんが、育った環境の中で生まれてしまった独特の愛について、存在についてを、いままでと違った風に問いかけられる予感がして、参加しようと決めました。



撮影は、3月中には終えているような雰囲気。


早速、小説を購入し、2度読んだ。

とても苦しく、読後は暗い涙があふれた。
重く重く、精神をやられるような、フランス映画を連想した。

これらを、良い監督・脚本家が映画へ昇華させ、
良い役者が、全身全霊で命を吹き込むと思うと、もう苦しくてたまらない。


楽しみ、という表現は、少し違うかもしれないけれど、
ここ数日、映画化についてのことばかり考えている。
感性豊かな人々の想いが集まることで、この小説が、どんな風に表現されるのか。

キャストとして発表されているのは、今のところ妻夫木聡と満島ひかりのみ。

ここで、勝手にも、他の配役を予想してみる。

答え合わせは、また来年、このブログで。


ーーーー 2017映画『愚行録』 配役予想 ーーーー

■週刊誌の記者・田中・・・妻夫木聡
■田中の妹・光子・・・・・満島ひかり


被害者家族

<配役予想1> 妻/田向友希恵

キャストとして最も気になるのは、殺される田向一家の妻・友希恵役の女優。

田向友希恵は、田中光子と慶応大学時代の同級生の設定。
満島さん(来年32歳)が演じる田中光子は35歳の設定。

だとすれば、満島さんと同世代の女優かつ、
育ちの良い清楚なお嬢様系の美人で良い妻・田向の役を演じて絵になり、かつ大学時代のシーンも多くなることを考えれば、

沢尻エリカ・宮﨑葵・蒼井優・上戸彩 あたりか。いや、これではちょっと主役級すぎるか。
または、松下奈緒・水川あさみ・市川由衣・蓮佛美沙子・貫地谷しほり なんてゆう線もあるかもしれない。

ただし、無惨に殺される役かつ、ストーリーの鍵を握る重要な役。
さらに、映画の色が色で、主演二人と張り合える力。
そのあたりも、非常に重要になるだろう。

そのあたりの点を考慮すれば
もう少し年齢が上かつ味のある名脇役感のある女優をキャスティングする可能性もある。

真木よう子・吹石一恵・ミムラ..。



とても難しい。考えれば考えるほど難しい。
けれど、私が小説で想像したイメージと作品の世界観、そして大きな願望を込めて。

妻/田向の現在の予想は、【真木よう子】に一票。

ただ、満島さんと真木よう子の共演は、ちょっと違う気もするけれど。

ーーー

結局<配役予想1> しかしていない笑
それも、大外れも良いところで。

被害者役は、映画ではそれほど重要に描かれておらず、
やっぱり主演の妻夫木聡と満島ひかりの内面、壮絶な生い立ちから生まれた歪んだ闇が掘り下げられていた。

重く沈んだ気分になる。私の大好物な映画だった。
諸事情で、表舞台に出にくくなってしまい、本当に残念に思う。

 

 

 




「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」/2011年 日本



監督: 蔵方政俊
脚本: 小林弘利、ブラジリィー・アン・山田
音楽: ニック・ウッド
撮影: 柳田裕男
出演: 三浦友和、余貴美子、小池栄子、中尾明慶、吉行和子 他

配給: 松竹

キャッチコピー「いちばん近くにいるのに、一番わからないあなた。」
「人生は鉄道に乗った長い旅――夫婦の絆を描く、感動シリーズ第2弾」

富山地方の鉄道運転士役の三浦友和と、妻役の余貴美子。
子育ても終えた夫婦。人生の終着駅に向けてどう走るか。
そのなかで生まれるすれ違いは、必然的だと思う。
それぞれ事情と想いを抱える、どこにでもいそうで、どこにでもありそうな夫婦のすれ違いや葛藤と、根底にある家族愛に共感できた。

舞台である富山県の長閑な風景や、地方で暮らす家庭ならではの温かみのある雰囲気で、穏やかな気持ちになれた作品。
このブログで私が度々絶賛する小池栄子が演じる娘役も、良い味を出していた。

 

 





「怒り」/2016年 日本




監督/脚本: 李相日
原作: 吉田修一
製作: 市川南
音楽: 坂本龍一
撮影: 笠松則通
出演: 渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡 他

配給: 松竹

キャッチコピー「あなたは、殺人犯ですか」


主役級のキャストをずらりと並べた、近年流行らしいキャスト構成。
でも、そうならざるを得ない。

この作品では、出演者一人一人が非常に重要な役回りだからだ。

容疑者として挙る3人の男と、彼らと近い立場にあり、彼らを心底愛した3人の男女、
そしてその一人である最愛の娘を見守る父親。

映画館で観た当時は、テーマの重さ、出演者の演技に圧倒され、
この映画のことしか考えられず、数日間、死んだ様に過ごしていた。

しかし鑑賞後、約1年経ったいまとなっては、深く掘り下げて書く気になれない。
それだけ衝撃的な作品だった。


それでも言えるのは、やはり吉田修一作品は、好きだ。ということ。
「悪人」(2010)も非常に心に残った好きな映画だけど、この映画も同じ様な感覚が、長く続いた。

誰が「悪人」なのか。「悪人」とはどういう人物なのか。「悪」とは何なのか。
「悪人」の本質を考えさせられた映画【悪人】と同じように
映画【怒り】では、「怒り」の本質を考えさせられた。

いろいろなカタチの「怒り」がある。
映画内でも、被害者、容疑者、殺人犯それぞれの「怒り」が描かれている。

それでも「信じる」が裏切られた時の怒りが、私は最も共感でき、悲しく残酷な「怒り」だと思った。


役者陣の演技は、言うまでもなく全員圧巻だったが、想像以上に良かったのが、広瀬すず。
「悪人」の満島さん同様、李相日監督に、大いにしごかれたのか。
彼女への見方が変わった。それだけ良かった。

 

 

 




font color="red">「俳優・亀岡拓次」/2016年 日本



監督/脚本: 横浜聡子
原作: 戌井昭人
音楽: 大友良英
撮影: 鎌苅洋一
出演: 安田顕、麻生久美子、宇野祥平、新井浩文、染谷将太 他

配給: 日活


キャッチコピー「すんません。不器用に恋してます」


今までとは全く異なるコメディ。
注目の横浜聡子監督作品ということで観てみた。
あんまり映画では選ばないジャンルなので、何かを感じることは少なかったけれど、普通におもしろかった。

キャッチコピーが良いな。
脇役専門俳優・亀岡拓次役の安田顕さんも、想像通りこの作品ではゆるくて良かった。

たまには、くすっと笑える作品も観て行こうと思う。

 

 

 



映画の一言。
「闇に興味。」


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「MOVIE」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2022年
2021年
人気記事