文化遺産 | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 先日のアワビ口開け

 違反がないか検査してるとき

 「オオッ!懐かしいな」

 っていう声がして振り向くと

 現役の木船

 唯一残っていた船大工さんが津波で亡くなられ

 もう誰も作ることができなくなってしまった田老の木船

 現役で海に出ているのはおそらくこの1隻だけでしょう

 

 よほど大事に手入れしてる船であることは間違いありません

 

 私がアワビ漁にデビューしたときもこんな船でした

 プライバシー保護のためアワビにはモザイクをかけております

 

 万一のために必ず櫂は2本スタンバイ

 竿は全て竹製

 飲み物や軽食を入れる袋は青い酒ビンを入れる袋

 こうでしたハイ!

 

 船底が平らで軽く、喫水も浅いのでどんな浅場にも入っていける

 船を岩にぶつけても簡単には浸水しない

 浸水しても転覆しても木の浮力で完全に沈むことはない

 等々様々な長所があります

 

 でも小さくて軽く、身長160㎝ぐらいの人に合わせて作ってるので180cmオーバーの私が乗るとコワイ(汗)

 かじま(櫂を入れる部分)も木製ですね

 私が今乗ってる船のかじまはビニール皮膜された銅線に細綱を巻き付けたもので、全く伸びません

 木製のかじまは船を漕ぐときにほんの僅かですがしなる感じがします

 漕ぐと一呼吸あってスッと進んでいく感じ

 

 今はね、移動も電動スラスターで櫂は補助道具みたいになってます

 スラスターが無い時代は、アワビを採る技術と船を漕ぐ技術、そして腕力と持久力全てが備わった人だけがアワビを大漁できました

 風が吹くと場所をキープするだけで精一杯でアワビを採るヒマもなかったり(笑)

 そんな日は帰るとへとへとで身動きできなくなって

 

 ほとんどの船がスラスターで操業する中、櫂二本差しのオトーサン、かっこいいなあ

 私は遠慮しときます。疲れるので(笑) 

 


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