パラサイト 半地下の家族

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2020年 韓国

監督:ポン・ジュノ

出演:ソン・ガンホ / イ・ソンギュン / チョ・ヨジョン / チェ・ウシク / パク・ソダム

 

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品なんですって。

それだけの情報で観に行った。それだけで間違い無いと。

あと、上記のポスター。このポスターのビジュアルのインパクトにやられた。これは絶対に面白い映画だと思った。このポスターの時点で勝ちだと思った。

おそらくサスペンスものだから、なるべく前情報を入れたくなかった。ネタバレ厳禁だと。とにかく早く見に行かなければとソワソワした。見る前にこんなに楽しみにした映画はいつ以来だろう。

 

ーーーーーーーーーーー 以下ネタバレあり ーーーーーーーーーーー

 

 

 

大抵こういうサスペンスものって、誰かがサイコパスだったりして、狂気を描くものになりがちだし、正直ヘビーで胸糞なサイコサスペンスを勝手に期待していたが、いい意味で期待を裏切ってくれた。あくまでシニカルなブラックコメディだった。それがリアルで潔く心地良かった。

貧しいキム家族はとにかく図々しいクズな家族なんだけど、僕は彼らに気づいたら感情移入していて、ハラハラしながら応援していた。金持ちのギウ家族はただただ被害者で、本来ギウ家族が可哀想な筈なのに、なぜか僕はキム家族のほうに同情していた。

裕福なギウ家族はみんないい人なんだけど、きっとああいういわゆる「リア充」に対して、僕ら非リア充はなぜ心を開けないのか。彼らリア充は、自分がリア充だという自覚すらなく、それが当たり前だと思っているし、僕ら非リア充は勝手に僻み、勝手に敵視しているだけな場合が多い。ただの僻みなのだ。他人は鏡のように自分の歪んだ心が跳ね返っているだけなのだ。「リア充も話してみると実はみんないい人。」ということに目の前が曇って見えていないだけなのである。彼らリア充は余裕があるから優しい人が多い。貧乏なキム家族のお母さんが「私だってこの家のお金が全部私のものだったらもうちょっと優しくなれるわよ」という言葉が胸に刺さった。

裕福なギウ家族もきっといい人たちに違いないのだけど、彼らは全く悪気は無く無意識に非リア充を傷つけている。何気ない一言で「あ、やっぱりこの人は僕ら貧乏人を見下しているんだ」と感じてしまう。

そういう貧富の差の人間描写がこの映画のテーマなのかもしれない。誰かがサイコパスで〜みたいな即席なサイコサスペンスよりも、現実の人間関係のほうがよっぽどヒリヒリしたスリルがあるよね。と、ジワジワと心をえぐってくる。

とはいえ、僕も金持ちになってあんな立派な豪邸に住んでみたい。

あ、自分は貧しいサイドの心を持った側の人間なんだと改めて再確認させられる映画だった。めちゃくちゃ面白かったです。