A Challenge To Fate

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【私の地下ジャズ愛好癖】それはファグスとアイラ―から始まった~ESP DISKとの出会いと私的バートン・グリーン論への序章

2020年05月27日 00時48分29秒 | 素晴らしき変態音楽


最初に買ったESP DISKのレコードはファグス『Fugs 4, Rounders Score』だった。80年1月高2のとき中古レコード店吉祥寺ジョージにて購入。おそらく『Player』誌の八木康夫(現ヤギヤスオ)のコラムでパンクやアヴァンギャルドロックのルーツとしてファグスを知って聴きたいと思っていた。チンパンジーが描いた落書きをジャケットにしたベスト盤でヘタウマの極致の演奏は刺激的でもあり同時にバカバカしく感じた。初めて聴いたときから「I Couldn't Get High」という曲が「絶対以前に聴いたことがある」という強烈なデジャブ感があり、40年後の今までどこで聴いたのか解決できない謎として自分の中にわだかまっている。それはさておき、レコードジャケットの中にESP DISKのレコードリストが入っていた。その頃は貪欲に音楽知識を求めていたので、知らないアーティスト名が並ぶリストを詳細に眺めながら、どんな音楽だろうと妄想していた。FUGSやGODZ以外にもSUN RA、ALBERT AYLER、PHAROAH SANDERSといった名前が知らず知らず頭の中にインプットされたかもしれない。



Fugs - I Couldn't Get High


その次に遭遇したESP DISKは、81年浪人中にやはり中古で見つけたアルバート・アイラー『スピリッツ・リジョイス』だった。1年の間にフリージャズのことを多少は勉強したので、アイラ―がキャプテン・ビーフハートやポップ・グループやジェームス・チャンスなどのアヴァンギャルドロックに影響を与えたサックス奏者ということは知っていたが、テナー、アルト、トレランペットの三管にハープシコード、2ベース+ドラムの集団即興はどんな前衛ロックにも負けずにスリリングで、勉強一本やりの浪人生活に大いなる刺激を与えてくれた。予備校でたまたま隣の席に座った学生がフリージャズ好きだったので、お互いのレコードを貸し借りすることになり、彼が貸してくれたのがアルバート・アイラー・トリオの『スピリチュアル・ユニティ』だった。贅肉を削ぎ落したワンホーン・トリオの演奏は、『スピリッツ・リジョイス』とはまた違ったパンキッシュな魅力を感じた。ライナーノーツを間章が書いていて、私小説風の難解な文章に戸惑うとともに妙な憧れを感じた。



その当時ファグスとアイラ―が同じESP DISKだと意識していたかどうかは覚えていないが、モノクロ写真をメインにしたジャケットのセンスの良さ(チンパン・アートも見方によっては現代アート)と、それ以上にパンクロックに通じる粗削りで迫真性たっぷりの録音が、ティーンエイジャーの筆者には自由な表現の証と感じられたことは確かである。逆に洗練された音、例えばECMレコードの優等生的録音が苦手なのは、先にESPの奔放な音を知ってしまったからかもしれない。

Albert Ayler : Spirits Rejoice


レーベルとしてESPを意識したのは82年に大学に進学してからである。大学生協で年に2回開催される中古レコードセールで一番安い500円コーナーには、なぜかフリージャズ系レコードが多くESPのレコードもたくさんあった。日本盤もあればアメリカ盤やイギリス盤もあり、ESP以外にニュー・ジャズ・シンジケートやEEU(近藤等則・高木元輝・吉田盛夫)の自主制作盤もあったので、おそらく一人のフリージャズファンがコレクションを放出したのだろう。とはいっても1回限りではなく半年後のセールの際もフリージャズが安売りされていた記憶があるので、単に業者が価値を知らなかったためとも考えられる。ニューヨーク・アート・カルテット、チャールズ・タイラー、バイロン・アレン、ジュゼッピ・ローガン、パティ・ウォーターズ、バートン・グリーンなどESP DISKのレコードを生協で安く手に入れた。お金が足りず買えなかった盤もあるし、知識があればもっとレアなレコードを見つけられたかもしれない。タイムマシーンがあったらあの頃の大学生協セールに戻りたいものである。



ESP DISKの中で特に筆者が愛聴していたのはアルトサックス奏者のバイロン・アレンとピアニストのバートン・グリーンだった。バイロン・アレンについては以前ブログで取り上げたので、バートン・グリーンについて書こうと思ったが、ついつい回想モードに浸ってしまい紙幅が尽きた。たった2枚のアルバムしか存在が確認されていないバイロン・アレンと違って、60年代から現在まで多数の作品を残し、実直な活動を続けるバートン・グリーンに関しては、日本での評価や知名度が不当に低いと感じている。次回はそんな不遇のピアニストへの想いを書き連ねたいと思っているので、ご期待ください。

The Byron Allen Trio ‎– The Byron Allen Trio (full album) 1965

謎のフリージャズ・サックス奏者バイロン・アレン『バイロン・アレン・トリオ』『インターフェイス』

ESP
テレパシーの
自由音楽






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